山口尚(やまぐち・たかし)|第36期・陸上自衛隊

山口尚は福井県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第36期(注)の卒業であり、職種は普通科。

平成29年8月(2017年8月) 陸上自衛隊冬季戦技教育隊長・2等陸佐

前職は第14普通科連隊副連隊長であった。

なお、冬季戦技教育隊長としての指導方針は以下の通り

【統率方針】

「For The Team」

【要望事項】
先駆者たれ
部隊に還元せよ

(注)
山口隊長に関する防衛省発表の一次ソースは非常に少なく、最終学歴・卒業年次に関する確実な情報はない。

一方で冬季戦技教育隊の公式Webサイトには、初任地が平成5年3月の第11普通科連隊である記述があり、なおかつ幹部候補生学校が92期Bとあるので、防大卒業生であることは間違いがない。

そのため、平成4年3月卒業の第36期と考えられるため、暫定的に記載しておく。

その場合、防大にストレート入学していると仮定すれば昭和44年(度)の生まれということになるが、こちらは様々な可能性があるのであてにせず、注意して欲しい。

いずれの暫定情報も、確実な情報が入り次第上書きをしていく。

ところで突然だが、こんな強面の部隊長はなかなか見かけない、相当インパクトのある写真である。

数多くの幹部自衛官にお会いし、また写真で拝見してきたが、こんなに怖い顔は初代中央即応連隊長を務めた山本雅治(第27期)・元陸将補以来だ。

写真を通して目を合わせるだけで、こんな部隊長の部下になったら翌朝になるのが怖くて、夜も寝られそうにない。

ちなみに山本元陸将補の、初代中央即応連隊当時の画像は今も防衛省の公式Webサイトで掲載されているが、こんなお顔であった。

・・・。

山口隊長とウリ二つである。

山口隊長も中央即応連隊の勤務キャリアを持っているので、この精鋭部隊で揉まれると、みんなこんな怖い顔になるのだろうか。

山本元陸将補と同じ27期組で、2017年8月現在で東北方面総監を務めている山之上哲郎(第27期)も第1空挺団中隊長、第1空挺団長の経験がある猛者だが、イケメンで優しい顔であった。

なぜここまで怖い顔になってしまうのかと、カメラの前では少しは笑って欲しいと願うばかりである。

ちなみに山本元陸将補は、今は退役され広島県の防災監を務められており、広島県のWebサイトでお変わりなくご活躍しているお顔を見ることが出来るが、この頃に比べ、憑き物が落ちたように優しい顔になっている。

特殊部隊の初代隊長を背負うということ、あるいは冬季戦技教育隊の隊長を務めるというのは、作り笑いをする気にもなれないほど、気が張っているポストであるのかもしれない。

話を元に戻す。

山口隊長の胸に見える徽章だが、自衛隊関係者であればともかく、一般の人にはかなり見慣れない徽章ではないだろうか。

一番下はお馴染みのレンジャー徽章だが、真ん中に見えるのは冬季遊撃行動徽章であり、一番上に見えるのはスキー徽章だ。

いずれも、山口隊長自身も冬季戦の教育訓練を受けた経験があり、また冬季遊撃行動徽章があるということは、いわゆる北方レンジャー、あるいは冬季レンジャーとも呼ばれる、この冬季遊撃行動課程の修了者であることを意味する。

2017年8月に山口隊長が補職された冬季戦技教育隊長のポストは、過酷な雪山における特殊戦教育を行う教育隊であり、全国の様々な職種から選ばれ、隊から特に推薦を受けたものだけがその教育課程に臨むことを許される。

雪山用の白い迷彩服に身を包み、1ヶ月以上、北海道大演習場やニセコの雪深い山中や野山に分け入り、冬季戦ならではのレンジャー訓練を受けることになるわけだが、通常のレンジャー資格者でも脱落者は多く、その場合原隊復帰が命じられることになる、極めて厳しい訓練を行う。

それもそのはずであり、この部隊は元々、冷戦時代に対ソ戦を想定してその教育課程が組まれた特殊部隊である。

雪中戦ならではの地形の活かし方、守り方、攻め方、特殊戦の在り方や体力温存の方法など、厳寒雪中の中におけるあらゆる技量を身につけることを要求されており、そのモデルはソ連が大いに苦しめられた、フィンランドとの冬戦争が原型だ。

本題ではないので詳述を避けるが、装備や数で圧倒的に勝るソ連軍からの侵攻を受けたフィンランド軍は、雪深い山中に潜み、雪原を進軍するソ連軍を挑発し狭隘地に誘い込み、大軍を分断した上で各個撃破。

極めて巧みな雪中戦を展開し、誰もが時間の問題でフィンランドの亡国を予想していた中、多くの犠牲を払いながらもソ連の大軍を押し返すことに成功し、独立を守った。

もし冷戦時代にソ連が北海道への侵攻を実行していたとすれば、かなりの確率で冬季の戦いになっていたであろう。

寒中や雪中での戦いは、一般にソ連軍のほうが気候慣れしている分、気候の優位性を得られると考えられるからだ。

そのような時、この冬季戦技を身に着けた雪山特殊戦のエキスパートである冬季戦技教育隊が、ソ連軍の後方を撹乱し、あるいは陣地に切り込み、我が国の防衛戦において飛車角となって、縦横無尽に活躍する切り札になっていたであろう。

実際に、冬季戦技教育隊は、平時における任務は冬季戦の教育と研究が任務であるが、有事においては実力部隊として臨時編成されることが想定されており、教育訓練を行うだけの部隊ではないのだが、詳細は秘匿事項であり、正式に発表されているものはない。

現在の国際情勢では、ソ連の突然の北海道侵攻は想定しづらいが、防衛技術は100年に渡り紡ぎ、磨き上げ、次の世代に渡していく防人たちの壮大なリレーのようなものだ。

具体的な脅威が今現在近くにないことは、技量の練成を行わない、あるいはその密度を低くしても良いと言う理由には全くならない。

一例を挙げたい。

陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊は、一時期6個ミサイル連隊体制が段階的に3個ミサイル連隊体制まで縮小される方針が中期防で決定され、そして実際に2011年、第6ミサイル連隊は廃止された。

しかしながらその後、中国の傍若無人な海洋進出の影響を受け、南西諸島方面における野戦特科、とりわけ地対艦ミサイル連隊の役割が再検討され、その結果最新の中期防では、残された5個連隊の体制は維持された上に、装備の更新にまで予算がつくこととなった。

無限に予算が無い以上、整備される部隊にはプライオリティがあるのはもちろん当然だ。

しかしながら、短期的な時代の流れの中で兵科そのものを廃止し、あるいは大幅に縮小することには大いに慎重になるべきであろう。

失われた兵科は再び装備を揃えたからといって、1年で5個ミサイル連隊を10個ミサイル連隊に増員できるものではない。

長い時間を掛けて積み上げた技術と知見のリレーがあってこそ、連隊は機能し、兵器には魂がこもる。

そういった意味で、ソ連の脅威が遠くに見える今こそ、冬季戦技の技量を磨き、将来の有事に備え知恵を絞り、新しい戦い方を検討するべきチャンスであると言えるだろう。

目の前に具体的な脅威がある時は、想定された訓練と戦い方にシミュレーションが収まってしまい、部隊運用のオプションが狭くなってしまいがちだ。

一般のビジネスに例えれば、ルーティンワークに忙殺され新しい企画に取り組む余裕が無い状態と言ってもいいだろう。

今の冬季戦技教育隊は、その意味では長期の変革に取り組める大きなチャンスであり、教育や装備の在り方、新しい戦い方など、その全てを見直し、シミュレーションすることが出来る時代であるといえる。

そのような時に、南スーダンで実戦さながらの現場に立ちPKO活動を経験し、また中央即応連隊の精鋭の中でもまれ、それでいながらスキー徽章持ちで冬季遊撃行動課程修了者(冬季レンジャー有資格者)でもある山口は、この任務を任される最適任者である。

2018年3月に向け大変革のさなかにある陸上自衛隊の中において、この北方レンジャーの現場でも、新しい時代に応じた教育の変革を成し遂げてくれることを期待したい。

◆山口尚(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
5年3月 第11普通科連隊(東千歳)
13年3月 東方総監部調査部企画幹部(朝霞)
15年3月 富士学校付(富士)
16年3月 第11普通科連隊中隊長(東千歳)
17年8月 富士学校総務部人事班長(富士)
19年8月 陸幕監理部総務課部外広報(市ヶ谷)
23年4月 中央即応連隊第3科長(宇都宮)
24年1月 南スーダン施設隊第3科長
24年4月 中央即応連隊第3科長(宇都宮)
24年8月 研究本部先進部隊(朝霞)
27年4月 富士学校教育訓練班長(富士)
28年8月 第14普通科連隊副連隊長(金沢)
29年8月 陸上自衛隊冬季戦技教育隊長(真駒内)

◆姓名判断

強いリーダーシップで部下を率い、また広く様々な方面に才能を発揮するので、小さな組織から大きな組織まで、過不足無く統率する力量に恵まれる。

その一方で結果には厳しく、結果本位の指導の傾向が強いことから任されるポストによってはその方針が裏目に出ることも。

忍耐力があり、また努力を重ねる強さも持ち合わせているので、長期的な成果と結果で部下を掌握する技術を身につけることが更に上に昇る上での鍵に。

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 冬季戦技教育隊公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/cwct/00-taityounoheya/taityounoheya.html

防衛省陸上自衛隊 中央即応連隊公式Webサイト(山本元陸将補 顔写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/crr/rekidairenntaityou/shodairentaichou.html