山田真史(やまだ・まさし)|第28期・航空自衛隊

山田真史は昭和36年8月生まれ、長崎県出身の航空自衛官。

防衛大学校第28期の卒業で幹候74期、専攻は応用物理学科であり、出身職種は飛行だ。

F-15戦闘機パイロット、いわゆるイーグルドライバー上がりであり、空自最高幹部で屈指の、空の現場を知り尽くす空将である。

平成29年8月 第21代航空支援集団司令官・空将。

前職は第42代西部航空方面隊司令官であった。

さて、28期組のエースであり、航空幕僚長候補のひとりでもある山田だ。

先述の通りF-15戦闘機パイロット上りであり、飛行隊長職は初任地である第6航空団の第306飛行隊で経験しているなど、常に国防の最前線に立ち、我が国の平和と安全のために、体を張り続けてきた。

また、平成14年からは飛行教導隊の隊長を務めるなど、その経歴はまさに、航空自衛隊のエリートパイロットそのもののような男である。

しかしながらこの山田。

ある意味で航空自衛隊らしい人事ではあるが、ちょっと「おかしな」出世スピードを持っている。

航空自衛隊に入隊したのが昭和59年であり、1等空佐に昇ったのが平成17年1月。

28期組の1選抜1等空佐は平成15年1月なので、1選抜から実に2年遅れである。

なぜ第6航空団306飛行隊長や飛行教導隊長を務めたようなキャリアを持つ山田が、ここまで1等空佐への昇進が遅かったのかは謎だが、防衛年鑑に間違いがない限り、事実のようだ。

しかしここからがまたすごい。

平成17年1月に1等空佐に昇った後はまさに一気の巻き返しである。

空将補に昇ったのが平成22年12月で、ちょうど6年。

さらに空将補を5年でパスし、平成27年12月に空将に昇った。

同期の空将1番乗りは平成27年3月なので、2年遅れで1等空佐に昇った山田は脅威の巻き返しで出世街道を駆け上がり、一番出世に9ヶ月の遅れで、同期の航空幕僚長に名乗りを挙げることになった。

なお2017年10月現在、29期組で空将に在るものは以下のとおりであり、この3名が29期組の航空幕僚長争いをしているということになる。

荒木文博(第28期)・航空開発実験集団司令官

山田真史(第28期)・航空支援集団司令官

武藤茂樹(第28期)・南西航空方面隊司令官

(肩書はいずれも2017年10月現在のもの)

またそれぞれの昇進時期は、

荒木・・・1佐15年1月 空将補22年3月 空将27年8月

山田・・・1佐17年1月 空将補22年12月 空将27年12月

武藤・・・1佐15年7月 空将補21年7月 空将27年3月

であり、いかに山田がよくわからない出世スピードで空将に昇り詰めたのか、お分かりいただけるのでは無いだろうか。

これだけのキャリアをもつ山田である。

その全てが印象深いポストばかりを歩んでいるが、敢えて特筆するべきキャリアを挙げると、それは平成22年12月から務めた第83航空隊司令(現・第9航空団)であろう。

この頃はちょうど、南西航空方面隊空域(海域)で、中国人民解放軍の傍若無人な振る舞いがいよいよ手がつけられなくなって来た頃にあたる。

航空自衛隊の再編が検討され、F-15戦闘機の南西シフトと南西航空混成団の南西航空方面隊への格上げ、さらに83航空隊を1個飛行隊から2個飛行隊体制とし、第9航空団へと格上げされることが閣議決定された時期でもある。

つまり山田が司令として補職されていた頃の第83航空隊は、我が国の国防最前線が南西方面であると、我が国が決心した頃に相当する。

そして、厳しさを増す安全保障環境の中で、なおかつ増強前の83航空隊を率いて、連日のように挑発行為を重ねる中国人民解放軍に対峙する厳しい任務をやり遂げたわけだが、その山田の評価が高まらないわけがないであろう。

そしてその後職として空幕の要職を歴任し、空将にまで昇り詰めた。

今後、航空幕僚長の椅子を争う有力候補としては、この沖縄方面における司令経験は何よりも大きなアドバンテージになるはずだ。

なお、2017年10月現在で航空幕僚長を務めている杉山良行(第24期)は、飛行隊長経験が第83航空隊隷下にあった時代の第302飛行隊(現:百里基地)であり、航空方面隊司令官(相当職)が南西航空混成団司令である。

杉山が航空幕僚長に就任した2015年当時の安全保障環境を考えると、極めて妥当な人事であったといえるだろう。

とりあえずのところ、2017年10月現在の予想だが、杉山の後任である第35代航空幕僚長には27期組の将官が就任する可能性が高いと予想している。

そのため、28期組から航空幕僚長が誕生するかは微妙なところだが、山田はその有力候補の一人であり、そして在り続けている。

現職は航空支援集団司令官という、輸送業務や航空管制を一手に担う部署の指揮官ということになるが、パイロット出身である山田であるからこそ、この組織をさらに精強に力強い集団へと育てる独自の視点があるはずだ。

ぜひその手腕を如何なく発揮し、さらに空幕長候補として大いに名を挙げてもらうことを期待したい。

本記事は当初2017年7月3日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年10月18日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年7月に公開した当時のものをそのまま残している。

一方で、山田が第83航空隊司令時代の平成23年には、隷下の204飛行隊所属であった川久保裕二・2等空佐(特別昇進)操縦のF-15戦闘機が那覇基地の北西200kmの海域に墜落するという痛ましい事故が起きており、今も忘れがたい記憶として多くの人々の心に残っている。

川久保2佐はF-15戦闘機のパイロットとして1700時間の飛行時間を誇るベテランであり、この任務でも編隊長を務め訓練を指揮していた。

墜落の原因は意識レベルの低下と推測されたたが、今もご遺体は見つかっておらず、遺族の心中を思うと心が痛む。

なお、本件の事故が起きた際の那覇市長は、現沖縄県知事の翁長雄志氏であった。

事故の連絡がもたらされると、翁長は直ちに山田に対し、報告のため市役所に来るよう求めたことが報じられ一部で物議を醸した。

F-15戦闘機の事故は、平成21年(2009年)の沖縄配備以来初めてのことであり、立場上そのような要請を出すことには理解できるものの、何よりもまずは、行方不明になっているパイロットの捜索と救出が最優先の任務であり、人としての道のはずだ。

その陣頭指揮に当たっている山田には、人命救助より優先するべきことなど無いはずであり、そのことは翁長にもわかっているはずなのだが、極めて残念である。

政治的な立ち位置を、人の道より優先するような政治家ばかりがあふれるこの国であるが、そんな中でも任務に実直に邁進する自衛官には、本当に感謝と敬意以外の言葉が見つからない。

どうか、一部の政治家による心無い言葉には心惑わされず、国民は常に自衛隊に寄り添って、その活躍を見守り、また応援していることを心に置いて貰えれば幸いだ。

なおこの際、原因究明と事故の再発防止に一定のめどが付いた後、F-15戦闘機の訓練を再開した山田に対し翁長は、「納得できない」とする記者発表を行っている。

クソクラエである。

ところで、先任の紹介である。

山田の下で、西部航空方面隊を文字通り縁の下から支える第5代准曹士先任は、熊本県出身で新隊員210期(曹候10期)の前田寿仁(まえだすみとし)准空尉だ。

西部航空方面隊の現場を支えるプロフェッショナルであり、実質的に我が国の西部方面における安全保障を左右するキーマンである。

ぜひ航空祭などで見かけたら、前田以下の曹士にも、応援の声を掛けて欲しい。

◆山田真史(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 航空自衛隊入隊(第28期)
62年5月 第6航空団303飛行隊(石川県)

平成
3年8月 防衛大学校(神奈川県)
5年8月 飛行教導隊(宮崎県)
7年1月 3等空佐
9年3月 航空幕僚監部人事計画課(東京都)
11年1月 2等空佐
11年3月 第6航空団防衛班長(石川県)
12年3月 第6航空団306飛行隊長(石川県)
14年3月 飛行教導隊(宮崎県)
14年8月 飛行教導隊教導隊長(宮崎県)
16年8月 幹部学校付(東京都)
17年1月 1等空佐
17年7月 航空幕僚監部運用課(東京都)
17年8月 航空幕僚監部運用課部隊訓練班長(東京都)
18年3月 航空幕僚監部運用支援課部隊訓練1班長(東京都)
19年12月 西部航空方面隊司令部防衛部長(福岡県)
21年3月 航空幕僚監部運用支援課長(東京都)
22年12月 第83航空隊司令(沖縄県) 空将補
24年3月 航空総隊司令部防衛部長(東京都)
25年8月 航空幕僚監部運用支援・情報部長(東京都)
27年12月 西部航空方面隊司令官(福岡県) 空将
29年8月 航空支援集団司令官(東京都)

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省西部航空方面隊Webサイト(顔写真及び視察写真)

http://www.mod.go.jp/asdf/wadf/commander/index1.html

http://www.mod.go.jp/asdf/wadf/activi/activ3/28act/2802/index1.html

http://www.mod.go.jp/asdf/wadf/cmsaf/index.html