【退役】井上司(いのうえ・つかさ)|第28期・海上自衛隊

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井上司は昭和35年12月生まれ、神奈川県出身の海上自衛官。

防衛大学校第28期の卒業で幹候35期、潜水艦艇出身の将官だ。

 

平成30年3月(2018年3月) 自衛艦隊司令部幕僚長・海将補のポストを最後に退役となった。

前職は幹部学校副校長であった。

 

陸海空の自衛隊で、28期組の退役が本格的に始まった2018年3月の将官人事。

井上もまた、この時の将官人事で、長かった海上自衛官生活に別れを告げ、2018年3月27日に自衛隊を去った。

 

文字通り、海の底から我が国の平和と安全を守り続けた自衛隊の最精鋭、サブマリナーとしての輝かしい自衛官生活であり、その軌跡は極めて充実したものである。

潜水艦隊の司令官としては、第4潜水隊司令や潜水艦隊司令部幕僚長として指揮を執り、一方で中央では20年後、30年後の我が国の平和と安全を担う幹部曹士を育てる教育系のポストを歴任し、辣腕をふるい続けた。

その集大成として、2016年からは我が国の安全保障体制において中心的役割を果たす組織の一つ、自衛艦隊幕僚長として最後まで要職に在り続け、持てる力を全て出しきった上での、晴れの退役の日となった。

 

この記事を更新しているのは、退役からまだ数日後のことだ。

やり切った清々しい思いとともに自衛隊を去ったものの、まだ生活習慣が落ち着かず、そわそわした生活を送られている頃かも知れない。

 

まずは本当に、お疲れ様でした、ありがとうございました。

例年より早く満開を迎えている各地の桜を眺めながら、どうぞ積年のお疲れを癒やしてのんびりとお過ごし下さい。

 

井上海将補の第2の人生も、充実した素晴らしいものとなりますことを、心からお祈りしています。

 

【以上、2018年3月30日加筆】

※以下は2017年12月4日までに記してきた記事であり、最新の情報を反映していない。

 

 

2017年11月現在、自衛艦隊司令部幕僚長の要職にある井上だ。

自衛艦隊司令部は海上自衛隊のほぼ全ての実力艦艇をその隷下に置き、平時における運用の全てを担う部署であって、その組織のトップは次期海上幕僚長にもっとも近いポストになる。

その司令部において、スタッフチーフにあたるのが幕僚長であり、事実上の用兵・采配の実務運用者であると言って良いだろう。

航空自衛隊でいうところの航空総隊に相当する組織ということになる。

 

その井上が海上自衛隊に入隊したのが昭和59年3月。

1等海佐に昇ったのが平成15年1月であったので、28期組堂々の1選抜(1番乗り)でのスピード昇任だ。

1等海佐では、中央においては海幕の教育課や運用課の要職を歴任し、現場においては横須賀の第2潜水群隷下、第4潜水隊司令を務めた他、大湊警備隊司令のポストも務めた。

 

第4潜水隊は、2017年11月現在でずいりゅうやこくりゅうが配備されている、最新鋭かつ強力な抑止力を運用する実力部隊である。

井上が司令を務めていた頃は、はるしお型潜水艦5番艦のわかしお、おやしお型潜水艦の8番艦、9番艦、10番艦であるたかしお、やえしお、せとしおを率い、我が国の強力な抑止力の切り札として、文字通り海の底から睨みを効かせる司令であった。

 

その後、平成24年12月に海将補に昇ると、海幕での教育畑のキャリアそのままに幹部学校副校長を経験。

また現場においては潜水艦隊司令部の幕僚長を務め、そして水上艦艇はもちろん、潜水艦隊や航空部隊を含めた実力集団全てに対してその運用を指揮する、自衛艦隊司令部の幕僚長に着任した。

海自のエリートらしい補職を歴任した、非常に経験豊富な将官の一人である。

 

 

さて、その井上を含む28期組の「海上幕僚長レース」だが、こちらの方は既に、その最終出走馬は出揃っていると言って良いだろう。

海上自衛隊は、同期の中で将官に昇るものは非常に限られており、1選抜で海将に昇ったもののアドバンテージは非常に大きい。

 

そして、2017年11月現在の状況だが、28期組で海将の階級にあるものは以下の通りだ。

 

山村浩(第28期)・・・海上幕僚副長(2015年8月)

菊地聡(第28期)・・・舞鶴地方総監(2015年12月)

佐伯精司(第28期相当)・・・潜水艦隊司令官(2016年12月)

佐藤直人(第28期)・・・海上自衛隊補給本部長(2016年12月)

※肩書はいずれも2017年11月現在 ( )内は海将昇任時期。

 

このようにしてみると、28期組の海上幕僚長候補は山村と菊地に絞られたと考えて良いだろう。

なおかつ山村のキャリアは特に目立ったものになっており、場合によっては第33代海上幕僚長である村川豊(第25期)の跡を継ぎ、第34代の海上幕僚長に着任する可能性も考えられるかもしれない。

あるいは2017年12月の人事で横須賀や佐世保の地方総監に転じれば、その可能性も更に高まるのでは無いだろうか。

 

とはいえ、常識的に考えれば、第34代海上幕僚長は山下万喜(第27期)であり、山村もしくは菊地が候補となるのはその次となるだろう。

まさにこれからの3年間、28期組は海上自衛隊の中枢において、その最高意思決定を行っていく世代となる。

 

井上も同様に、自衛艦隊司令部幕僚長として辣腕を振るい、まさに今、その全身に我が国の平和と安全が託されているトップエリートの一人だ。

傍若無人に振る舞う近隣諸国からの挑発が続き、気の休まることがない日々が続くが、国防に対する強い意志と姿勢が揺らぐことは決して無い。

その活躍に今後も注目し、応援をしていきたい。

 

 

◆井上司(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 海上自衛隊入隊(第28期)

平成
7年1月 3等海佐
10年7月 2等海佐
15年1月 1等海佐
16年 月 統合幕僚学校
17年7月 海上幕僚監部教育課
18年3月 海上幕僚監部教育課教育班長
20年4月 第4潜水隊司令
21年8月 大湊警備隊司令
22年7月 海上幕僚監部運用支援課長
24年12月 潜水艦隊司令部幕僚長 海将補
27年8月 幹部学校副校長
28年7月 自衛艦隊司令部幕僚長
30年3月 退役

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 公式youtubeサイト(顔写真)

https://www.youtube.com/channel/UCqcufnRichGBohzClI3DalA

防衛省海上自衛隊 自衛艦隊公式Webサイト(イベント写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/W006H0000610.html

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