【退役】深瀬尚久(ふかせ・なおひさ)|第27期・航空自衛隊

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深瀬尚久は昭和36年3月生まれ、和歌山県出身の航空自衛官。

防衛大学校第27期の卒業で幹候は73期だ。

 

平成29年12月(2017年12月) 北部航空方面隊副司令官・空将補のポストを最後に退役が決まった。

前職は第3補給処長であった。

 

【以下、2017年12月18日加筆】

また一人27期組の、長年に渡り我が国の平和と安全に貢献し続けた、誇り高き自衛官が制服を置くことになった。

深瀬尚久だ。

同期である丸茂吉成(第27期)・航空幕僚副長の航空幕僚長着任に伴い、退役となった形である。

 

実は、サイト運営上のお話で恐縮だが、深瀬の記事は当初12月14日に公開する予定で、12月11日の段階では書き終えていた。

ところが12月13日の、将官人事の発表である。

慌ただしく丸茂の記事を更新し、また人事異動の記事を更新する作業を優先し、深瀬の記事の修正と公開を後回しにすることにした。

やっと人事異動関連の記事を書き終えたので、今このようにして深瀬の記事を修正し、公開することにしている状態で、最初の公開でありながら退役の記事となってしまっている。

 

統合幕僚学校副校長時代の軍人外交には、特に卓越した手腕を発揮した、いつまでも記憶に残るであろう空将補だった。

 

長い間、本当にお疲れ様でした。

まずは積年のお疲れを、ご家族様と過ごしながらゆっくりと癒やして下さい。

深瀬空将補の第二の人生が素晴らしいものになりますことを、心から祈念いたします。

 

 

【以下、2017年12月11日時点の記事】

2017年12月現在、我が国の北の空の最前線、北部航空方面隊の副司令官を務める深瀬だ。

1976年にベレンコ中尉亡命事件が発生したように、北空は極めて高度な緊張状態にある冷戦時代を経験し、陸自の北部方面隊とともに、我が国のエリートが担当する方面隊であり続けた。

時代が変わり、ソ連がロシアとなって緊張状態の緩和が演出されているものの、相手はロシアである。

政治的な緊張状態の緩和が永続するわけもないことは歴史が証明する通りであり、北空の重要性にはいささかの変わりもない。

その副司令官ポストにある深瀬の責務は極めて重い。

 

その深瀬だが、出身職種は高射であり、わかりやすく言えばPAC-3などに代表される防空任務を担ってきた高級幹部である。

特に2017年度は、北の上品な家の坊っちゃんが高価なおもちゃを次々に乱射した年になったが、そのうちの幾つかは北海道上空を通過。

空自の高射隊が機動展開訓練を繰り返すなど忙しい年になったが、ちょうどそのタイミングで深瀬が北空の副司令官に着任した。

F-15戦闘機パイロット上りである北部航空方面隊司令官(2017年12月現在)・城殿保(第29期)を補佐する役割を担うものとして、これ以上無いタイミングでの補職になったのではないだろうか。

 

また深瀬は1等空佐時代、高射の現場で指揮をとる一方、空幕では総務系の要職を歴任。

また静岡地本長を務めるなど高いコミュニケーション能力を活かした補職が目立つほか、統合幕僚学校副校長として軍人外交を繰り返しこなすなど、非常に幅広い分野にその才能をみせた最高幹部である。

第3補給処長を務めるなど、兵站の上から全軍を俯瞰する経験も抜かりはないキャリアになっている

 

 

さて、その深瀬であるが、防衛大学校第27期の卒業なので昭和58年の自衛隊入隊である。

1等空佐に昇ったのが平成14年7月なので、同期1選抜からは半年遅れでの昇任であった。

空将昇任は平成25年8月なので、11年間を1等空佐として過ごしたことになるが、その分極めて豊富な現場指揮経験を誇り、確かな知見に裏付けられた厚みのある指揮が持ち味である。

 

一方で27期と言えば、第36代陸上幕僚長の山崎幸二(第27期)の同期生となる。

また、第34代航空幕僚長・杉山良行(第24期)の空幕長としての任期は恐らく2017年12月か、長くとも2018年春までとなるだろう。

そしてその後任には、間を2期以上飛ばして、第27期組もしくは28期組から選ばれる可能性が高い。

25期には空幕長に昇るポストの空将がおらず、26期の空将もその可能性が極めて低いためだ。

 

なおこの際、杉山の後継となる航空幕僚長候補には、2017年12月現在で以下の空将たちがいる。

 

前原弘昭(第27期)・航空総隊司令官

丸茂吉成(第27期)・航空幕僚副長

荒木淳一(第27期)・航空教育集団司令官

山田真史(第28期)・航空支援集団司令官

 

その人事予想についてはここでは割愛するが、おそらく丸茂である可能性がもっとも高い。

もしかしたら、間もなく航空幕僚長人事が発表されるのではないかと、その際には深瀬も退役になってしまうのではないかとハラハラしながら書いている状態である。

 

何れにせよそうなれば、自衛隊の慣例に従い、27期より前の将官たちは早期退職勧奨を受け、長年親しんだ自衛隊の制服を置く時が来る。

深瀬についても、北部航空方面隊副司令官のポストを最後に自衛隊を勇退する可能性が極めて高く、そしてそれは、恐らく間もなくであろう。

これほどのキャリアを持ち、多彩な方面に能力を発揮した将官であっても自衛隊を去る時が来るのかと思うと寂しい限りだが、これも自衛隊が精強さを保つために仕方がない人事制度ということなのだろうか。

 

長年に渡り我が国の平和と安全に最前線で尽力し続け、大きな功績を残し続けた深瀬だ。

その活躍には最後まで注目し続け、追い続けたい。

 

◆深瀬尚久(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
58年3月 航空自衛隊入隊(第27期)

平成
6年1月 3等空佐
10年1月 2等空佐
10年3月 幹部学校付
11年8月 第6高射群第21高射隊長
13年3月 航空幕僚監部人事課
14年7月 1等空佐
14年8月 幹部学校付
15年8月 防衛研究所主任研究官
17年4月 航空幕僚監部装備体系課第2班長
18年8月 航空幕僚監部服務室長
19年8月 静岡地方協力本部長
21年12月 第4高射群司令
24年7月 航空教育集団総務部長
25年8月 統合幕僚学校副校長 空将補
26年8月 第3補給処長
28年12月 北部航空方面隊副司令官

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省航空自衛隊 北部航空方面隊公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/asdf/nadf/katsudoujyoukyou/fukusireikannkoutai/index.html

防衛省 統合幕僚学校公式Webサイト(親善行事写真)

http://www.mod.go.jp/js/jsc/school/section_education_overseas_260714.html

防衛省航空自衛隊 第3補給処公式Webサイト(補給本部長視察写真)

http://www.mod.go.jp/asdf/3dep/katsudou/index.html

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