大森丈義(おおもり・たけよし)|第28期・陸上自衛隊

大森丈義は昭和37年3月生まれ、静岡県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第28期の卒業で幹候65期、出身職種は輸送であり、後方支援のスペシャリストだ。

平成29年3月(2017年3月) 第38代北海道補給処長兼ねて島松駐屯地司令・陸将補

前職は輸送学校長であった。

なお、北海道補給処長としての指導方針は以下の通り。

【統率方針】

任務の達成

【要望事項】

備えを持て

【島松駐屯地司令要望事項】

伝統の継承

地域とともに

2017年12月現在、北海道補給処長を務める大森だ。

剣道を趣味にしており、好きな言葉は

「あきらめない」

「仲良く」

である。

エリート自衛官が好きな言葉を聞かれて、まるで子供を諭すかのような答えが返ってくるのも、大森の人柄を表しているようだ。

カッコイイ言葉ではなく、あくまでもわかり易い言葉で本質を伝えるという考え方を大事にしているのであろう。

とはいえ、その優しそうで威厳ある風貌とも相まって、エリート自衛官というよりもまるで小学校の校長先生を思わせる将官である。

その大森だが、陸自入隊以来一貫して後方支援に携わっており、小学校の校長経験はないが、陸自輸送学校長を経験している。

また京都の桂駐屯地司令などを歴任し、その現場指揮官としてのキャリアは補給もしくは後方支援だ。

その一方で、もちろん後方支援部隊から将官に上がるものには、全軍を俯瞰する能力が不可欠であり、これなくして将官に昇ることはない。

このようなこともあり、陸将補としての最初の補職である第4師団副師団長であった際には、毎年恒例の日米合同演習「ライジングサンダー」に参加。

この際、日本側派遣部隊において指揮を執り、陸将補としての能力の高さも証明してみせる演習となった。

なお、この「ライジングサンダー」は実動演習という名前が示すとおり、各種兵科が実戦を想定し、軽火砲、重火砲、ヘリからの狙撃訓練などあらゆる火砲を用い、敵陣の無力化を想定した訓練を行う大規模火力演習だ。

アメリカ・ワシントン州のヤキマに所在するヤキマ演習場などで行われるが、その内容は我が国が直面する脅威を想定したシナリオであることが多い。

そのためこの演習における経験は、大森にも非常に大きな知見となって蓄積されたのではないだろうか。

その大森が大事にする兵站の考え方は、

「計画」「物品」「運用の練度」「技術」

である。

どれ一つが欠けても、いつ訪れるかわからない有事に際して処として対応ができないと説き、覚悟を持って職務に邁進することを隷下部隊に求めている。

当たり前のことばかりかもしれないが、これも大森一流のわかり易い言葉で本質を説く指導方針だ。

これら4項目は会社経営にも通じるものであり、結局それが軍事組織であっても会社経営であっても、組織運営に責任を持つものが行き着く本質なのだということを、部外者にも気が付かせてくれる非常に興味深い考え方だ。

組織を本当に強くするリーダーとは、決してわかりにくい言葉を使わない。

そして、誰にでも理解できる言葉で本質を説き、その実現を要求する。

用兵に優れ、強く、そして優しいリーダー像が様々なエピソードから見え隠れする将官である。

その大森のキャリアを少し紐解いてみると、陸上自衛隊に入隊したのが昭和59年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成15年1月なので、28期組1選抜のスピード出世だ。

その後9年間、後方支援系を中心に現場指揮を執り続け、平成24年8月に陸将補に昇った。

こちらの方は同期1選抜から3年遅れということになるが、その分現場指揮経験が非常に厚い、頼りになる陸将補となっている。

なお、大森は2017年12月現在で陸将補の階級にあるエリートだが、28期組は既に陸上幕僚長レースの最終出走馬は決定しており、大森がそのレースに参加することはない。

恐らく2019年夏あたりをめどに陸上幕僚長に昇るものを排出する世代になることが予想されているが、その際に候補になるのは以下の陸将たちだ。

田浦正人(第28期)・北部方面総監 機甲科出身

住田和明(第28期)・東部方面総監 高射特科出身

岸川公彦(第28期)・中部方面総監 施設科出身

湯浅悟郎(第28期)・西部方面総監 普通科出身

岩谷要(第28期)・陸上自衛隊研究本部長 施設科出身

※肩書はいずれも2017年12月現在

上記5名の中から誰が陸上幕僚長に昇るのか。

その予想は下記

【コラム】次期陸上幕僚長人事予想|第37代・2017年10月予想

で詳述しているのでここでは割愛するが、その時期はおそらく2019年夏から冬にかけてとなるだろう。

自衛隊には、同期が幕僚長に昇ると、将官にあるその他の同期は原則として退役する慣例がある。

そのため、もしかしたら大森にとっては、北海道補給処長のポストが最後の奉職になるかもしれない。

寂しいことだが、どれだけ能力が高く、我が国に貢献してくれた自衛官であっても、退役の時は必ず訪れてしまう。

大森にも、数年以内にその時が来てしまう事が予想されるが、その数々の成果や我が国に対する貢献は決して色褪せず、将来に渡って陸上自衛隊の財産として活き続けるだろう。

28期組最高の兵站屋であり、後方支援のスペシャリストである大森。

その活躍から、最後まで目を離さずに応援していきたい。

本記事は当初2017年7月25日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年12月6日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年7月に公開した当時のものをそのまま残している。

また大森は平成16年から2年間、総務庁消防庁に出向し、国民保護運用室長のポストに補職されている。

この画像は消防官の制服を着用し任務に励んでいた日々の大森を撮影した貴重な一枚だ。

陸自の礼服ももちろん似合っているが、消防庁の礼服でも男前である。

陸自の資料アーカイブに残されていたものをルールに従い引用したものだが、他省庁出向中の陸自幹部の制服姿が防衛省に残されているのは、かなりレアだ。

なおこの時代、大森の担当した仕事は、平成15年に成立した「国民保護法」の骨格を作るため、防衛省と消防庁が一体となり具体的な組織と運用づくりを行うというものであった。

国民保護法は、有事の際の住民避難や安否確認などを行い、武力攻撃や大規模災害が発生した場合、どのようにして防衛省や消防庁、警察機関などが一体となって国と国民を守るかを定めたものだ。

大森はこの職務にあった時、

「これまで絵空ごとの世界で論じられていた国民保護が、共通にイメージできる世界となった」

とその成果を振り返っているが、このような国家的有事や大規模災害を想定した法律や仕組みがそれまで無かったという方が、ある意味で恐ろしい気がする。

そして大森が尽力し、その端緒を付けた仕事から5年後、あの東日本大震災が発生した。

偶然と言うにも出来すぎた話であるが、大規模災害を想定し消防庁と一体となって作り上げた仕組みが形になり始めた時に、未曾有の国難である東日本大震災が発生したことになる。

もし国民保護法が施行されておらず、あるいは大森以下、関係者の組織や運用づくりにかけた尽力が無ければ、あの震災ではさらに混乱が広がり、そして多くの生命が失われていたであろう。

そのような意味ではやはり、自衛官の職務は常在戦場であり、何気ない事務作業ですら10年後の国民の生命保護に直結する重要な職務ばかりである。

有事の際はインフラが寸断され、また物資輸送などが確保できず混乱が拡大することが多い。

大森のような、後方支援のスペシャリストに掛ける国民の期待は極めて大きい。

◆大森丈義(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 陸上自衛隊入隊(第28期)
60年3月 東北方面輸送隊(霞目)

平成
2年3月 輸送学校教育部(朝霞)
4年8月 幹部学校#38指揮幕僚課程(市ヶ谷)
6年8月 防衛庁長官官房広報課(檜町)
7年1月 3等陸佐
8年8月 陸上幕僚監部人事部補任課(檜町)
10年7月 2等陸佐
10年8月 第4後方支援連隊輸送隊長(福岡)
12年8月 陸上幕僚監部防衛部運用課(市ヶ谷)
15年1月 1等陸佐
15年8月 防衛研究所#51一般課程学生(目黒)
16年8月 総務省消防庁国民保護運用室長(出向)(霞ヶ関)
18年8月 陸上幕僚監部装備部装備計画課輸送室長(市ヶ谷)
20年8月 第2後方支援連隊長(旭川)
21年7月 統合幕僚監部首席後方補給官付後方補給官(市ヶ谷)
22年12月 中部方面後方支援隊長兼ねて桂駐屯地司令(桂)
24年8月 第4師団副師団長兼ねて福岡駐屯地司令(福岡) 陸将補
26年3月 東北方面総監部幕僚副長(防衛)(仙台)
26年8月 東北方面総監部幕僚副長(行政)(仙台)
27年3月 輸送学校長(朝霞)
29年3月 北海道補給処長兼ねて島松駐屯地司令(島松)

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 北海道補給処公式Webサイト(顔写真及び式典写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/nadep/depcho.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/nadep/katudo.html

防衛省情報検索サービス 防衛白書より(出向時写真)

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/html/1733c100.html

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