岸川公彦(きしかわ・きみひこ)|第28期・中部方面総監

岸川公彦(きしかわ・きみひこ)は昭和36年7月25日生まれ、兵庫県多可町出身の陸上自衛官。

防衛大学校第28期(土木工学)の卒業で幹候65期、出身職種は施設科だ

平成29年8月(2017年8月) 中部方面総監・陸将

前職は防衛大学校幹事であった。

なお中部方面総監としての指導方針は以下の通り。

【統率方針】

任務の完遂

【要望事項】

「日々練成」「融和団結」「地域と共に」

(画像提供:陸上自衛隊中部方面隊公式twitter

2019年6月現在、中部方面総監を務める岸川だ。

大阪を中心とした京阪神・近畿のみならず、名古屋を中心とした中京経済圏、さらに静岡を除く東海全域、北陸に加え、四国までをもその担当地域に収める大部隊の指揮を執る。

その任務は、都市部に対するテロ攻撃への備えという意味でもとても大きいが、やはり我が国有数の人口密集地域に所在する部隊である。

それだけに、災害時の国民保護という意味でも、岸川と中部方面隊にかかる国民からの期待は極めて大きい。

実際に阪神大震災の際には、地元首長からの災派(災害派遣)出動要請を待たずに、「近傍派遣」を援用して独断で救命救急活動を始めた第36普通科連隊(伊丹)の孤軍奮闘など、その活躍と”伝説”は枚挙にいとまがない。

近い将来に想定される、南海・東南海地震においても、きっと中部方面隊は国民保護の中心となって活躍してくれるだろう。

いつの時代も、自衛隊と自衛官は決して目立つことはないが、いざという時には私たち国民のそばに居てくれた。

そして、何かあったら必ず駆けつけてくれた。

なお上記の2枚の写真も、2018年西日本豪雨に際し中部方面隊が災派で出動し、前線指揮を執っている岸川を撮影したものだ。

不幸にして、岸川の中部方面総監在任中は、数十年に一度クラスの大災害がこの地域に頻発してしまったがその全てで中部方面隊は極めて迅速に、人命救助から災害復興活動までを完璧にやり遂げてくれた。

もちろん、その全ての現場に岸川の姿があり、そして全軍を先頭に立って率いた。

そしてその岸川が、間もなくとなる2019年夏の将官人事で引退する。

岸川に限らず、28期組は陸上幕僚長に着任した湯浅悟郎(第28期)を除き、全員が退任するだろう。

そのため、28期組の退役まで残り1ヶ月余りとなったこの時期に、28期組の将官を改めてご紹介したいと予告していたのは、ご案内している通りだ。

今日の記事は、その3人めとなる岸川である。

そんな退役間際の岸川の最後のご紹介だが、最初に少し、その岸川の田舎についてお話しをしてみたい。

実は岸川の出身は、まさにこの中部方面隊司令部のお膝元である兵庫県だ。

山間に所在する、今となっては人口僅か20000人余の内陸部の山村、兵庫県多可町の出身である。

早くから過疎化が進み、1990年(平成2年)には同町を走る唯一の鉄道路線であった鍛冶屋線も廃線となり、陸の孤島となった小さな町だ。

その多可町から岸川が防衛大学校に進んだのが、まだまだ全国に田園風景が広がっていた時代である1980年(昭和55年)3月。

初めて親元を離れた、右も左もわからなかった初々しかった18歳の少年は、それから37年の時を経た2017年8月、同地域をも管轄下に治める中部方面隊の方面総監に着任した。

いわば、「故郷に錦を飾る」大出世を果たしたというところだろうか。

これ以上はない形での地元での任務であり、また自衛官人生最後の任務となった形だ。

そして余談だが、岸川の好きな曲はKelly Clarksonの「Breakaway」である。

Grew up in a small town
And when the rain would fall down
I’d just stare out my window

(小さな街で育った そして雨が降ると、ただ窓の外を見つめていた)

こんな歌詞で始まる曲だが、その描写はきっと岸川の原風景であり、故郷を思い出す心の歌であったのだろうか。

そして寒村の窓から、降りやまない雨を静かに見つめていた少年はより広い世界を求めて町を飛び出し、国防の世界に身を投じた。

そしてその人生の全てを、我が国と世界の平和のために献身的に捧げてきた最後の任務として、自身の故郷をも含む中部方面隊のトップに就いた。

退役間近の今、この「Breakaway」を聞きながら、特に思うところがあるのではないだろうか。

まさに「人に歴史あり」だが、岸川と「中部方面総監」というポストには、そんな偶然の繋がりがあった。

では、そんなエリート街道を駆け上がってきた岸川とは、これまでどのような自衛官人生を過ごしてきたのだろうか。

少し詳細に、そのキャリアを見ていきたい。

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