堀井泰蔵(ほりい・たいぞう)|第32期相当・陸上自衛隊

堀井泰蔵は昭和39年(1964年)12月生まれ、秋田県出身の陸上自衛官。

二松学舎大学(国文)卒で陸上自衛隊に昭和63年3月の入隊であることから、32期相当ということになる。

幹候は69期で出身職種は普通科だ。

平成29年8月(2017年8月) 第5管区から数えて第37代第5旅団長・陸将補

前職は中部方面総監部幕僚副長であった。

2018年1月現在、第5旅団長を務める堀井だ。

一般大学の卒業生でありながら第32期(相当)のエースであり、32期組の陸上幕僚長候補に乗っている凄い男である。

そのキャリアは極めて充実しており、2019年夏の将官人事で陸将に昇るのはほぼ確実と言って良いだろう。

堀井が陸上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成19年1月、陸将補に昇ったのが平成25年8月なので、共に32期組の1選抜(1番乗り)だ。

その補職も、北は北海道から南は鹿児島まで幅広く、また都市防衛から国境防衛まで非常に経験が厚い。

連隊長職は第12普通科連隊長(鹿児島・国分)で務め、我が国にとって最大の防衛課題である島嶼防衛を経験。

陸将補に昇ると、CRF(中央即応集団)副司令官に補職され、我が国最高峰の精鋭を指揮。

さらに第1施設団長を務め、普通科と施設科の連携を現場感覚で身につけ、方面隊では政経中枢師団である第3師団を含む、中部方面隊で幕僚副長に着任。

我が国が抱える安全保障上の懸念について、経験していない要職は無いという程に、極めて充実したキャリアを歩んできた。

恐らく後職では、2019年8月にいずれかの師団長に補職され、陸将に昇ることになるだろう。

そして、2023年前後の陸上幕僚長候補して、方面総監などの要職を歴任していくことになるのではないだろうか。

なお、その際にライバルとなるであろう第32期の陸将補には、2018年1月現在で以下の者たちが補職されている。

いずれも劣らぬ、32期組のトップエリートだ。

梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長(2013年8月)

大塚裕治(第32期)・陸上幕僚監部装備計画部長(2013年8月)

森下泰臣(第32期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2013年8月)

堀井泰蔵(第32期相当)・第5旅団長(2013年8月)

中村裕亮(第32期)・陸上自衛隊研究本部幹事兼企画室長(2014年3月)

田尻祐介(第32期)・陸上自衛隊航空学校長兼ねて明野駐屯地司令(2014年8月)

鬼頭健司(第32期相当)・陸上自衛隊幹部候補生学校長(2014年12月)

木口雄司(第32期)・陸上自衛隊開発実験団長(2015年8月)

青木伸一(第32期)・西部方面総監部幕僚副長(2015年12月)

池田頼昭(第32期)・第10師団副師団長兼守山駐屯地司令(2016年3月)

※肩書はいずれも2018年1月現在。( )内は陸将補昇任時期。

※上記以外に、2017年12月に陸将補に昇任した斎藤兼一が32期と思われるものの、詳細不明のため一旦割愛する。

そうそうたるメンバーの中で、鬼頭と並び数少ない一般大学卒業生だ。

その活躍が、非常に楽しみな最高幹部である。

ちなみに堀井が補職されている第5旅団。

前任の正木幸夫・陸将補から第5旅団を引き継いだのだが、実は堀井はこの第5旅団長着任で、自衛隊史上初となる凄いことをしてしまった。

それは、日本に15個存在する師団・旅団の中で、防衛大学校第1期卒業生が師団長・旅団長に就き始めた1986年以降で初めてとなる、2代続けての防衛大学校以外からの連続した師団長(旅団長、第1~2混成団長)になるということだ。

前任の正木は東大卒であり、堀井は二松学舎大卒。

2代続けて一般大学卒業生の第5旅団長だ。

かつて陸上自衛隊の高級幹部人事は、戦後、自衛隊の黎明期に陸士や海兵から自衛隊に「再就職」し、その世代が師団長や旅団長以上の高級幹部になる時代が続いた。

しかしその後、これら陸士や海兵が”弾切れ”となり、防衛大学校1期生がまだそれら要職に就任する前の1983~1987年頃、全ての師団・旅団・第1~2混成団で一般大学卒業者が団長になるという時代を迎える。

第10師団などは1983年7月~1992年6月の間、第11代若月勲(中央大学)、第12代清水幸雄(神戸大)、第13代中俣壯一(九州大学)、第14代澤井福重(徳島大)、第15代里中哲朗(立命館大)と、実に5代続けて一般大学出身者が師団長に就任した事があるが、防衛大学校出身者が幹部に着任している現在では、まず更新される事はありえない記録になっている。

そして1980年代後半から防衛大学校1期生が高級幹部に供給されるようになると、やはり高級幹部は防大卒業生で占められていく。

以降2017年に至るまで、一般大学卒業生が連続して師団長や旅団長に就任する事例は皆無となっていたところ、第5旅団でそれが実現したということだ。

偶然といえば偶然だが、32期(相当)のエースである堀井がそんな記録に関わったというのも、意味があることなのかもしれない。

一般大学卒業生の活躍は、後に続く後輩たちにも大きな目標になり、励みになるだろう。

ぜひ今後も要職を歴任し、活躍を見せて欲しい。

本記事は当初2017年8月10日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年1月2日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年8月に公開した当時のものをそのまま残している。

その堀井について、やはり印象的な任務は平成27年9月の鬼怒川豪雨での災派(災害派遣)であろうか。

この災害は2015年9月に茨城県の鬼怒川沿いで発生したもので、死者14名、行方不明者79名、全半壊家屋4000棟を越える甚大な被害を出したことで、記憶に新しい人も多いだろう。

今にも流されそうな家屋や、必至に電柱にしがみつく要救助者を前に、自衛隊のヘリが驚くほど適切な「救助にあたる順番の割当て」を見せ、次々と被災者を救い出す様子は繰り返しテレビで流され、自衛隊の練度の高さに改めて驚かされた国民も多かったはずだ。

そしてこの災害の際に、現地で指揮官の任にあたっていたのが当時、茨城県古河市に所在する第1施設の団長であり、古河駐屯地司令を兼ねていた堀井であった。

ほとんどの家屋が流される中で、ヘーベルハウスだけが耐えたことでその後ヘーベルハウスに問い合わせが殺到したというエピソードもあるが、一方で堀井が直率する第1施設団隷下の部隊は、胸まで水に浸かりながらボートを手押しし、人力で要救助者を救助。

実に160名の住民を救出する活躍を見せた。

水害では1分1秒の遅れが要救助者の命を奪う。

9月10日から11日にかけて不眠不休で救助活動にあたり、自らも被災するリスクの中で多くの国民の命を救い出した堀井以下自衛隊員の勇気と献身、その活躍は素晴らしいものであった。

またこの際、災派にあたっていた自衛官が

「東日本大震災に比べ規模は小さいかもしれないが、被災者の心痛は変わらない。出来る限りのことをしたい」

と語っていたのが印象的であった。

我が国の自衛官はどんな災害の現場にあっても、常に強く、そして優しい。

体を動かすのが趣味という堀井は、全国どこに赴任しても必ず走り込んでいるというが、上の画像は第1施設団当時に部下がこっそり撮影したものであろうか。

公式Webサイトから、防衛省のルールに従い適切に拝借したものだが、とても良い写真なのでアイキャッチ画像にも使わせてもらった。

50歳を超えてもなお細マッチョの体を維持する堀井。

今後もおそらく、師団長や陸幕の要職を歴任し、陸自最高幹部の一人として活躍し続けるであろう。

一般大学の卒業者としてどこまでキャリアを積み上げていくのか。

注目しながら追っていきたい。

◆堀井泰蔵(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
63年3月 陸上自衛隊入隊(第32期相当)
63年9月 第10普通科連隊(滝川)

平成
幹部候補生学校(久留米)
第37普通科連隊(信太山)
幹部学校(目黒)
富士学校(富士)
第21普通科連隊中隊長(秋田)
陸上幕僚監部教育訓練部教育課(市ヶ谷)
陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課(市ヶ谷)

11年1月 3等陸佐
14年7月 2等陸佐
17年3月 陸上幕僚監部監理部総務課広報室(市ヶ谷)
19年1月 1等陸佐
19年3月 幹部学校(目黒)
20年4月 富士学校主任教官(富士)
20年8月 陸上幕僚監部装備部装備計画課後方計画班長(市ヶ谷)
22年7月 第12普通科連隊長(国分)
24年1月 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援課長(市ヶ谷)
25年8月 中央即応集団副司令官(国内)(座間) 陸将補
26年12月 第1施設団長(古河)
28年3月 中部方面総監部幕僚副長(行政・防衛)(伊丹)
29年8月 第5旅団長

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第5旅団公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/5d/11_bcg.html

防衛省陸上自衛隊 第1施設団公式Webサイト(ランニング画像)

http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/kogasta/3sirei-26-1.html

防衛省 統合幕僚学校公式Webサイト(講習会画像)

http://www.mod.go.jp/js/jsc/school/section_education_domestic_261016.html

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