岸川公彦(きしかわ・きみひこ)|第28期・陸上自衛隊

岸川公彦は昭和36年7月25日生まれ、兵庫県多可町出身の陸上自衛官。

防衛大学校第28期(土木工学)の卒業で幹候65期、出身職種は施設科だ

平成29年8月(2017年8月) 第34代中部方面総監・陸将。

前任は防衛大学校幹事であった。

なお中部方面総監としての指導方針は以下の通り。

【統率方針】

任務の完遂

【要望事項】

「日々練成」「融和団結」「地域と共に」

兵庫県の内陸部、人口僅か20000人余の山村である兵庫県多可町出身の岸川だ。

多可町は早くから過疎化が進み、1990年(平成2年)には同町を走る唯一の鉄道路線であった鍛冶屋線も廃線となり、陸の孤島となった小さな町である。

その多可町から防衛大学校に進み、2017年8月、同地域をも管轄下に治める中部方面隊の方面総監に就任した。

好きな曲はKelly ClarksonのBreakaway。

Grew up in a small town
And when the rain would fall down
I’d just stare out my window

(小さな街で育った そして雨が降ると、ただ窓の外を見つめていた)

で始まるこの曲は、きっと岸川の原点であり、故郷を思い出す心の歌であるのかもしれない。

その岸川だが、2017年11月現在、ついに頂点のイスに片手がかかるところまで昇り詰めている。

すなわち、次期陸上幕僚長として極めて有力な候補の一人であり、28期組から陸上幕僚長が誕生する場合には、必ず岸川の名前も含めて選考が進められるであろう。

なおこの際、ライバルとなる28期組の将官には以下のものが陸将の階級にあり、これらのもので次期陸上幕僚長レースが争われることになる。

田浦正人(第28期)・北部方面総監 機甲科出身

住田和明(第28期)・東部方面総監 高射特科出身

岸川公彦(第28期)・中部方面総監 施設科出身

湯浅悟郎(第28期)・西部方面総監 普通科出身

岩谷要(第28期)・陸上自衛隊研究本部長 施設科出身

これら陸将のうち、恐らく陸上幕僚長候補に最終的に残るものは2名であろう。

すなわち、住田と岸川だ。

その理由についてはこちらのコラム、

【コラム】初代陸上総隊司令官人事予想|2017年10月

で詳述しているので詳細は割愛するが、要約すると、田浦は師団長と方面総監の間で一つ要職を経験しておらず、また4代続けての北部方面総監出身者からの陸幕長着任は極めて厳しいこと。

湯浅には年齢の問題があり、現陸上幕僚長の山崎幸二(第27期)よりも年長者なこと。

岩谷は、やはり教育訓練研究本部の初代本部長という役職(予想)は極めて重要だが、いきなりのジャンプアップは考えづらいこと、といったところである。

そして最終的に、住田・岸川の両名による切磋琢磨の結果、おそらく陸上幕僚長人事は2019年夏頃に動くことになるのではないだろうか。

まさにこれからの1年が勝負であり、その他の候補者も含め、28期組には最後の大仕事に取り組んでもらいたい。

さて、その岸川のキャリアについて少し詳しく見てみたい。

出身職種は、現陸幕長である山崎と同じ施設科であり、平成15年にからは米陸軍戦略大学への留学経験もあるなど、非常に充実したキャリアを積み上げてきた。

第6施設群長、第1施設団長、研究本部総合研究本部長、第14旅団長、第8師団長、防衛大学校幹事、中部方面総監といったキャリアアップも、まさに施設科出身のエリート自衛官が歩む王道であり、非の打ち所がない。

特に、西部方面総監部幕僚副長(健軍)や第8師団長(北熊本)と言ったキャリアでは、2017年現在の我が国の国防最前線である南西方面で指揮を執っており、有事に対する現場感や肌感覚の上でも問題がない。

柔和な人柄、穏やかで親しみやすい語り口、そして変な言い方だが、陸幕長としての写真写りや顔立ちでも、陸上自衛隊のトップにふさわしい知性ある紳士であると言えるだろう。

敢えて問題を上げるとすれば、現陸上幕僚長の山崎が施設科出身であり、2代連続しての施設科出身陸幕長というのが、この厳しい安全保障環境の中で実現するか、ということであろう。

南西方面でいつ戦闘が始まるかもしれない状況の中では、戦闘現場に肌感覚があるものが起用される可能性が高まらざるを得ない。

その一方で、だからこそ戦闘指揮は、2018年3月に新設される陸上総隊司令官に任せ、陸上幕僚長は文字通り、幕僚として最高指揮官である内閣総理大臣を支える。

このような役割分担を機能させるのであれば、逆に住田ではなく岸川が幕僚長に昇る可能性もあるだろう。

住田か岸川か。

いずれも知性溢れる、幹部曹士の尊敬を集める人望ある最高幹部であるだけに、難しい人選だ。

しかも、28期組には他にも候補者がおり、いずれも能力ある人格者ばかりだ。

大豊作の28期組だが、次期陸上幕僚長人事ほど楽しみなものは中々ない。

これら最高幹部の活躍を楽しみに、その時を待ちたい。

本記事は当初2017年8月13日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年11月11日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年8月に公開した当時のものをそのまま残している。

余談だが、冒頭触れた岸川のお気に入りであるKelly Clarksonの歌、Breakawayは、このような歌詞で終わる。

I gotta take a risk, take a chance, make a change
And breakaway

(私はリスクを取り、チャンスを掴み、変化を起こし、そして自分を変えてみせる)

陸自の最高幹部である陸将であり中部方面総監にまで昇り詰めた岸川の人生とは、常にこのようなものであったのかもしれない。

そのキャリアもいよいよ大詰めだが、最後にもまた大化けし、大きなことを成し遂げるところをぜひ見てみたい。

◆岸川公彦(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 陸上自衛隊入隊(第28期)

平成
年 月 第5施設大隊中隊長
年 月 外務省出向
年 月 陸上幕僚監部調査部

7年1月 3等陸佐
10年7月 2等陸佐
15年1月 陸上幕僚監部教育訓練部 1等陸佐
15年3月 中央資料隊付(米陸軍戦略大学)
16年8月 陸上幕僚監部装備部後方計画班長
18年8月 第6施設群長(豊川)
19年7月 陸上幕僚監部広報室長(市ヶ谷)
21年7月 西部方面総監部幕僚副長(健軍) 陸将補
22年6月 第1施設団長(古河)
23年8月 陸上自衛隊研究本部総合研究本部長(朝霞)
25年8月 第14旅団長(善通寺)
27年8月 第8師団長(北熊本) 陸将
28年7月 防衛大学校幹事(小原台)
29年8月 中部方面総監(伊丹)

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 中部方面隊公式Webサイト(顔写真及び着任式)

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/soukan/soukan.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/

防衛省 防衛大学校公式Webサイト(着任式画像)

http://www.mod.go.jp/nda/times/no183.html

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