安孫子一(あびこ・はじめ)|第36期・陸上自衛隊

安孫子一は昭和44年7月30日生まれ、福島県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第36期の卒業で職種は高射特科。

趣味はジョギングと座禅、書道だが、特にジョギングの走り込みは欠かさず、47歳で参加した京都マラソンでは見事フルマラソンを走りきっている。

平成28年8月(2016年8月) 京都地方協力本部長・1等陸佐

前職は第15高射特科連隊長兼ねて八重瀬分屯地司令であった。

安孫子の職種である陸自高射特科は、野戦特科が203mm自走榴弾砲や155mm榴弾砲、地対艦ミサイルといった地上もしくは海上の目標を撃破する兵科であるのに対し、中SAM(03式中距離地対空誘導弾)や短SAM(11式短距離地対空誘導弾)を用いて、領空侵犯を試みる敵の航空機や空対地ミサイル、巡航ミサイルの迎撃を行う。

航空自衛隊の高射群(高射隊)が運用するペイトリオットミサイル(パトリオットミサイル)が、高度数10kmでの弾道ミサイル迎撃を想定したシステムであるのに対し、巡航ミサイルや空対地ミサイルなどに対応するシステムであって、先の大戦中には目視・無誘導で行われていた対空砲火の役割に近い。

もちろん現在は目視・無誘導で迎撃するということはなく、精密な誘導を行い脅威を撃破する。

望むと望まざるとにかかわらず、専守防衛を防衛政策としている我が国の装備である。

陸自高射特科による仕組みは敵の攻撃から我が国を防衛するものであり、あくまでも攻撃を受けた際にその迎撃をするものであって、積極的に敵地を攻撃する機能はない。

その安孫子が2017年8月現在で補職されているのは自衛隊京都協力本部長であるが、安孫子のキャリアで目につくのはやはり平成19年からのイラク赴任、及びそれに続く防衛駐在官としてのスウェーデン赴任であろう。

平成19年からのイラク勤務ではイラクバグダッド連絡班長を務めているが、この任務はバグダットに駐在し、航空自衛隊がイラク国内において展開していたイラク復興支援派遣輸送航空隊を支援する役割を担う。

イラク北部のエルビル、中部に位置するバグダッド、そしてその南部に位置するクェートの間を定期便のように往復し、空輸にあたることで国連イラク復興支援の輸送任務にあたっていた航空自衛隊であったが、その輸送任務をイラク政府と調整しながら、自衛隊員の安全を担保し空輸を有効に機能させるための調整役だ。

難しい任務であったが、この仕事を無事にやり終えて帰国した安孫子に下った次の命令は、わずか2年も経たないうちに「スウェーデン防衛駐在官」。

幹部自衛官を命令一つで日本国内はもちろん、世界のどこにでも派遣してしまう鬼の自衛隊人事であるが、これもなかなかの、人使いの荒さである。

平成21年から3年間に渡り、防衛駐在官を務めることになる。

現在自衛隊がスウェーデンに派遣する防衛駐在官の数は1名。

もちろん防衛政策上、重要な意味がある国を選別して駐在させているわけだが、安孫子の赴任先であったスウェーデンという国も極めて興味深い。

定量的なデータでみると、国土は日本の1.2倍の広さがあるながら人口は約980万人と日本の1/10以下。

正規軍の数は12000人と、ロシアと国境を接している国であることを考えれば極めて小規模な軍備であると言えるが、人口比で考えれば我が国が1億2000万人の人口に対し23万人(実数)。

経済力などの格差も考慮に入れればそれほど大きな差があるというわけではなく、むしろ我が国と同じような構成であると言えるだろう。

それでいながらロシアと国境を接しており、ロシアの侵攻が始まれば対処の間もなく併呑されるのが確実な情勢であることから、ロシアを刺激するのを避けるためにNATO加盟を見送り続けているという歴史的な事情がある。

その一方でロシアはスウェーデンを牽制し続け、その国土に対し核攻撃訓練を繰り返すなど、いわば、

「NATOに加盟すればまずスウェーデンから叩き潰す」

という、露骨な圧力をかけ続けている。

その為、NATO加盟こそ見送っているものの、その一方で安全保障環境を確保するため、隣国フィンランドと準軍事同盟を締結。

英国と個別に軍事協力関係を結ぶなど、難しい国際環境の中で外交による軍事力のバランス維持に腐心する政策を採り続けており、大国に隣接する小国が独立を守るため、あらゆる手段を講じている状況だ。

このような立地と安保政策は、当然我が国の安保政策にも参考になるところが大きい。

対ロシア政策を考える上では、ロシアからの圧力に常に苦しんできた周辺国家の知恵は共有するべき双方にとっての利益であり、事ある時には様々な形でお互いの利益の為に協力できることがあるだろう。

バグダッドで見せた調整能力を評価され、その後直ちにスウェーデンに渡った安孫子に託された任務は極めて重く、そして我が国の国防政策をも左右するほどの知見を得る勤務になったはずだ。

帰国後は陸幕勤務と高射特科の現場を経験し、京都地方協力本部長に就任することになったわけだが、それこそこのポジションは、およそ陸自の高級幹部とは思えないほどの社交性と人当たりの良さ、人としての魅力、情熱を感じさせる熱い心、そして面倒見の良さなど、あらゆる人間力が必要になる役職だ。

無骨な陸自の高級幹部では苦労することも多いポジションであろうと思われるが、京都地本のWebサイトと活動履歴を見ていると、水を得た魚のように大活躍をしている安孫子の様子がよく伝わる内容になっている。

さすがに、調整役としての難しいPKO任務をこなし、人脈を作り親交を築くことが重要な仕事である防衛駐在官を任された男の力量であろう。

まだ36期という若さだが、おそらく2018年にはいずれかの師団の幕僚長か旅団副長を経験し、程なくして将に昇ることが予想される。

様々な領域で多彩な能力を発揮し、大きな成果を挙げ続けてきた安孫子のキャリアが今後どこまで積み上がるのか。

ぜひ注目して追っていきたい、高級幹部の一人だ。

◆安孫子一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成4年 防衛大学校卒業(36期)
平成4年 第1高射特科群(東千歳)
平成 年 第1高射特科団本部(東千歳)
平成13年 幹部学校付(市ヶ谷)
平成15年 西部方面総監部防衛部訓練課(健軍)
平成18年 統合幕僚事務局第5室(市ヶ谷)
平成 年 統合幕僚監部運用部運用第2課(市ヶ谷)
平成19年 イラクバグダッド連絡班長(イラク)
平成 年 統合幕僚監部運用部運用第2課(市ヶ谷)
平成 年 陸上幕僚監部運用支援・情報部付(市ヶ谷)
平成21年 在スウェーデン防衛駐在官(スウェーデン)
平成24年 統合幕僚学校教官(目黒)
平成24年 陸上幕僚監部運用支援・情報部情報課武官業務班長(市ヶ谷)
平成26年 第15高射特科連隊長兼ねて八重瀬分屯地司令(八重瀬)
平成28年 京都地方協力本部長

◆姓名判断

抜群の行動力があり、強い意志と社交性の高さから幅広い仕事で成果を収めるが、一方で性格は極めて慎重で、前例のない仕事の分野では一転、凡人の成果しか残せない人物に多く見られる相。

面倒見がよく指導者としても大成しやすいが、苦手意識のある職域や人物への対応が課題に。

基礎運には抜群の強さがあるので、人生を通して運の悪さを感じる場面はほとんどない。

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。

【引用元】

防衛省 京都地方協力本部公式Webサイト(顔写真及び予備自衛官招集写真)

http://www.mod.go.jp/pco/kyoto/sp/soumuka/index.html

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