原田智総(はらだ・ともふさ)|第31期・陸上自衛隊

原田智総は昭和39年11月5日生まれ、鹿児島県出身の陸上自衛官。

防衛大学校31期卒業で幹候68期、出身職種は通信だ。

平成28年7月(2016年7月) 第5代第15旅団長・陸将補。

前職は陸上幕僚監部運用支援・情報部長であった。

【統 率 方 針】ー
【要 望 事 項】県民とともに

2017年10月現在、我が国の新たな国防の最前線と言っても良い、第15旅団(那覇)を預かる原田である。

見た目がそのまま、南方系の、どこか西郷隆盛を感じさせる風貌だが、その出身は明治維新以来の名門・鹿児島県。

我が国の最重要方面で旅団長を任される程の最高幹部であるわけだから、どれくらいのエリート自衛官かと気になるかもしれないが、とんでもないスーパーエリートである。

まずはその昇任時期とキャリアについて見てみたい。

陸上自衛隊に入隊したのは昭和62年3月で31期。

この年に入隊した者は、1選抜(1番乗り)で1等陸佐に昇るのは、本来であれば平成18年1月である。

そして31期組のエースたちは皆、平成18年1月に1等陸佐に昇っているのだが、原田はなぜか「平成17年6月」。

自衛隊人事考課制度を無視した昇任時期なわけで本来はありえないのだが、実は原田はこの17年6月から、防衛駐在官として米国に渡っている。

納富 中(第29期)のページでもご紹介しているのだが、納富は本来、1等陸佐として6年のキャリアが必要な陸将補への昇任を僅か4年で成し遂げている。

そしてこの際、やはり同様に陸将補の身分で防衛駐在官として米国に赴任した。

どうやら外務省に出向する際には、もしくは防衛駐在官として米国に渡る前には、特別な昇任の制度があるらしいということだけは窺えるのだが、その詳細については残念ながら承知していない。

一つハッキリといえることは、米国防衛駐在官のような「将来を約束された」とも言える程の重要な任務につく者は、いずれ1選抜で、その階級に昇任していたことは確実であろうということだ。

そのため、あるいは昇任の先取りをした上で外務省に出向させ、米国に赴任させるという慣例があるのかもしれない。

いずれにせよ、原田は同期1選抜というレベルではない速さで1等陸佐に昇任。

そして米国防衛駐在官を3年間務め、帰国後は陸幕などで要職を務めた後、こちらは規定通りの枠内で最速となるスピード出世で平成24年7月、陸将補に昇任した。

なお余談だが、原田が米国防衛駐在官時代には、同期である前田忠男(第31期)がAWC(米陸軍戦略大学)に留学中であった。

お互いに研鑽し合う同期のライバル同士だが、この時期、AWCで開かれた各種会合で同席するなど、同期として楽しい時間を共有するようなこともあったようである。

次に、原田のキャリアについて見てみたい。

第15旅団長というポストが2017年10月現在、どれほどの要職であるかは多くの論を必要としないだろう。

我が国の最前線であり、宮古島に陸自の新駐屯地が建設されるタイミングであり、石垣島にも新駐屯地の建設を進めている時期でもあり、厳しさを増す南西諸島の島嶼部防衛が佳境を迎えている時だ。

これら新駐屯地に陸自が展開すると、中国人民解放軍にとっては大打撃とも言える、我が国の防衛体制が構築されることになる。

大したことでないように思われる方もいるかもしれないが、この防衛体制が固まれば、中国は第1列島線から容易に抜け出せなくなるほどの、極めてインパクトのある配置なのだが、話が逸れるのでここでは割愛する。

詳細は下記のコラムで確認して欲しい。

【コラム】「市民団体」が陸上自衛隊の沖縄新基地に反対する本当の理由とは

このようなこともあり、2010年代に入ってからは、各年次のトップエリートとも言える高級幹部は西部方面隊隷下の連隊や師団・旅団で指揮を執ることが目立つようになって来ているのだが、原田もその一人ということであろう。

陸将補昇任での最初のポストは西部方面総監部幕僚副長であり、さらに中央即応集団副司令官も経験した。

そして第15旅団長とくれば、もはや原田の「キャリアの色」は鮮明だ。

国防の最前線で、もっとも厳しい部隊の指揮を執らせ、将来的には最高幹部まで育てるという人事権者の強い意志を感じるものである。

恐らく2018年夏には、31期組の1番乗りとなる陸将に間違いなく昇任するだろう。

そしてそのポストは恐らく、第8師団長だ。

第4師団長の可能性もあるが、より鮮明に南方シフトを感じさせる配置になるのではないだろうか。

そしてその後、統合幕僚副長や陸上幕僚副長、あるいは防衛大学校幹事に着任し、西部方面総監に就いて、我が国の最前線で国防の指揮にあたることになると予想される。

あるいは西方にばかり偏るのを避けるために、CRF(中央即応集団)のキャリアを活かし、2018年3月に新設が予定されている陸上総隊の方に、そのキャリアのルートが乗っていくかもしれない。

いずれにせよ、最前線のポストを歴任し、31期組の陸上幕僚長候補になることだけは間違いがないトップエリートである。

なお本来であれば、ここで2017年10月現在の、原田のライバルとなる31期組の陸将補をご紹介したいところなのだが、その数は14名もおり、一人ひとりを紹介し略歴に触れるだけでも大変なので、一覧をご紹介するだけに留めたい。

順調に行けば原田がこのまま出世コースに乗り、キャリアを伸ばすと思われるが、これらライバルの動向によってはまだまだどうなるかわからない状況である。

鵜居正行(第31期)・第3施設団長  兼ねて南恵庭駐屯地司令

沖邑佳彦(第31期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長

片岡義博(第31期)・第1特科団長兼ねて北千歳駐屯地指令

亀山慎二(第31期)・中央情報隊長

竹本竜司(第31期)・第11旅団長

中野義久(第31期)・東部方面総監部幕僚長兼ねて朝霞駐屯地司令

野村悟(第31期)・中央即応集団副司令官

原田智総(第31期)・第15旅団長

蛭川利幸(第31期)・中部方面総監部幕僚長

藤岡登志樹(第31期)・陸上自衛隊富士学校副校長

前田忠男(第31期)・陸上幕僚監部防衛部長

眞弓康次(第31期)・陸上自衛隊武器学校長兼土浦駐屯地司令

森脇良尚(第31期)・第2師団副師団長

吉野俊二(第31期)・陸上自衛隊化学学校長兼大宮駐屯地司令

(肩書はいずれも2017年10月現在)

これらのうち、陸将補昇任がもっとも早かったのが沖邑、竹本、原田、前田の4名であり、その時期は全員、平成24年7月である。

まずはこの4名の中から、2018年の夏に陸将に昇るものが必ず出る。

そしておそらく、そのタイミングで師団長に就任し、将来の陸上幕僚長候補として名乗りを上げるだろう。

ぜひそんな観点からも、2018年夏の人事には注目して貰いたい。

本記事は当初2017年6月27日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年11月1日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年6月に公開した当時のものをそのまま残している。

第15旅団長経験者は、次の異動では陸将・師団長に昇任することが予想されるが、2017年6月現在、第15旅団長経験者から陸上幕僚長及び方面総監クラスは誕生していない。

一方、第1混成団時代にまで遡ると、東北方面総監在任中に東日本大震災を経験し、戦後初の陸海空統合任務部隊JTF(Joint Task Force)指揮官を務め、後に陸幕長に昇った君塚栄治が、第19代の第1混成団長であった。

第1混成団時代は、必ずしもエリートのためのポストとは言えない側面もあったが、時代は完全に変わり、第1混成団が第15旅団に昇格をしてからは全くその様相が変わったといえる。

まさに原田のようなスーパーエリートのためにあるようなポストであり、我が国の国防を担う上での最重要任務であるとも言える役職となってきた。

原田にはぜひ、この最前線での任務で大いなる期待に応え、さらにキャリアを伸ばしてくれることを期待したい。

◆原田智総(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
63年3月 第9通信大隊

平成
6年8月 調査学校
7年8月 幹部学校付(CGS学生)
9年8月 陸幕防衛部(運用)
10年1月 3等陸佐
11年1月 陸幕防衛部付(平和協力隊UNDOF司令部)
12年4月 陸幕人事部(補任)
13年7月 2等陸佐
14年8月 第104基地通信大隊長
15年8月 幹部学校付(防研)
17年6月 外務事務官(米国防衛駐在官) 1等陸佐
20年8月 陸幕運用支援・情報部 運用支援課 企画班長
21年12月 東部方面通信群長
23年4月 陸幕人事部人事計画課長
24年7月 西部方面総監部幕僚副長 陸将補
25年12月 中央即応集団副司令官(国際)
26年8月 陸幕運用支援・情報部長
28年7月 第15旅団長

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第15旅団公式Webサイト(顔写真及び現場指揮写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/ryodancyo.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/saisinnews.html

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