荒木淳一(あらき・じゅんいち)|第27期・航空自衛隊

荒木淳一は昭和36年1月生まれ、宮崎県出身の航空自衛官。

防衛大学校第27期の卒業で73幹候。

平成28年12月(2016年12月) 航空教育集団司令官・空将

前職は南西航空混成団司令であった。

2017年9月現在で荒木が補職されているのは航空教育集団司令官のポストだが、空自の航空教育集団という組織は陸や海とはやや趣を異にしており、幹部学校以外の全ての教育集団をその管轄下に収めている。

いわば航空自衛隊の能力を左右し、「戦力とは何か」を定義し、空自と我が国の将来を決める要職であるといえるだろう。

慣例として、陸上自衛隊や海上自衛隊では、教育機関の校長職は将官の職ではあるものの、その多くが頂点のイスを狙うコースにあるポストではない。

しかしながら空自の場合、個別の教育機関を束ねるこの組織は極めて重要な職となっており、航空幕僚長に就任する前の、最後のポストの一つとして数えられている。

突然話は変わるが、我が国が先の大戦で敗れる前に存在していたのは陸軍と海軍のみ。

空軍は存在していなかったが、かつて日本陸軍には「陸軍3長官」と呼ばれるポストが有った。

そのポストとは、

・陸軍大臣
・参謀総長
・教育総監

であり、陸軍の意思決定を行う最高首脳ポストであったが、この中に、陸軍の全ての教育機関を指揮監督する教育総監が含まれていたことが印象的だ。

そして、戦前にはその母体が存在していた陸上自衛隊や海上自衛隊では現在、この教育を司る独立した最高責任者ポストは存在しないにも関わらず、戦後になって初めて組織された航空自衛隊にはその最高責任者ポストが存在する。

さらに、その司令官ポストは軍トップ(航空自衛隊トップ)扱いとされているところに、実は日本陸軍の組織のあり方を踏襲しているのは航空自衛隊なのではないかと思えるほどに、このポストは重視されてきた。

2017年9月現在、荒木が補職されているのはそのような要職であり、10年後、20年後の我が国の安全保障体制を左右するほどの重要なポジションであるといえるだろう。

ちなみに日本陸軍の教育総監出身者には、第18代内閣総理大臣の寺内正毅、日露戦争の第4軍司令官を務め「奇跡の勝利」に貢献した野津道貫・陸軍元帥、「坂の上の雲」で一躍有名になった秋山兄弟の兄、秋山好古など著名な政治家や元帥クラスの軍人が多数存在する。

このような伝統をどこか継承しているのかもしれない航空自衛隊の組織になっているわけだが、教育を重視し、その責任者を配置するあたりは、「空の勝利は技術にあり」という、飛行開発実験団の精神に通じるものがあるのかもしれない。

さて、そのような要職にある荒木だが、その防衛大学校卒業年次は27期。

陸上自衛隊では山崎幸二(27期)が2017年8月、陸上幕僚長に就任したこともあり、27期より前の最高幹部はそのほとんどが退職勧奨を受け退役し、一部は28期組にも退役勧奨を受け、自衛隊を去るものも出始めてきた。

そのような中、航空自衛隊のトップである航空幕僚長は杉山良行(第24期)

その就任年月日は2015年12月なので、2017年12月にはその任期を終え、退役するか統合幕僚長に昇るのはほぼ間違いないだろう。

その際の後任の航空幕僚長人事を考えた場合、過去の慣例から考え、候補になるのは以下のポストにあるものたちだ。

航空総隊司令官 前原弘昭(27期)

航空幕僚副長 丸茂吉成(27期)

そして荒木淳一だ。

外形的には、情報本部長である宮川正(26期相当・日大出身)や補給本部長である三谷直人(第29期)も考えられなくはない。

しかしながら、我が国の厳しい安全保障環境を考えると、今この状況で、宮川を航空幕僚長に就任させる抜擢人事をする余裕はない。

なおかつ、陸上自衛隊と海上自衛隊との人事の兼ね合いで、26期組相当である宮川をトップに据えると組織の若返りが遅れ、好ましくないという判断がなされるだろう。

意外なようだが、自衛隊はすでに27期以降のトップを求めて陸海空が動き始めている。

一方で三谷直人だ。

まず、いくらなんでも24期の杉山の後任に29期の三谷という飛び石抜擢人事は余りにも荒唐無稽だ。

なおかつ、中部航空方面隊司令官を終えてキャリア十分ではあるものの、航空幕僚長にはかつて、補給本部長からジャンプアップしたものはいない。

いわば慣例として、トップに立つポストではない扱いになっていることから、三谷が2017年12月に航空幕僚長に就任する可能性はまず皆無であろう。

このようなことを考えると、第35代航空幕僚長に就任する可能性が高いのは、前原か丸茂、そして荒木の3人で、この27期組3人衆の中から2017年12月に、航空自衛隊のトップに就くものが選ばれるだろう。

この中で圧倒的に可能性が高いのは、直近の人事の慣例を考えればやはり前原だ。

航空総隊司令官の職はやはり重みが段違いであり、特に今の我が国を取り巻く安全保障環境を考えると、航空総隊司令官職を経験していることは大きい。

一方で荒木は、南西航空混成団(現・南西航空方面隊)で指揮を執っている経験が大きい。

実は前原のキャリアはそのほとんどが関東以北であり、唯一、南方で要職に就いたのは西部航空方面隊司令部の防衛部長のみだ。

そういった意味において、航空自衛隊が直面する最前線の危機は西方及び南西であり、その司令官職の経験は必須であろう。

実際に、2017年9月現在で航空幕僚長を務めている杉山は、南西航空混成団司令から航空総隊司令官に昇り、そのまま航空幕僚長に就任した。

南方重視の我が国の航空自衛隊の人事にあっては、前原、丸茂、そして荒木の3名のいずれもがそのキャリアから考え甲乙つけがたく、誰が航空幕僚長に昇っても、十二分な働きをしてくれることだけは間違いない。

その中で、一步先んじているのは前原であることに変わりはない状況だが、その他の2名が選ばれても決してサプライズではない。

いずれにせよ、その答えが出るまであとわずか3ヶ月余りのはずだ。

その時を楽しみに、航空幕僚長人事を待ちたい。

◆荒木淳一(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
58年3月 航空自衛隊入隊(第27期)

平成
6年1月 3等空佐
10年1月 2等空佐
12年8月 航空幕僚監部防衛課
14年7月 1等空佐
14年9月 航空自衛隊幹部学校付
15年8月 航空幕僚監部編成班長
18年3月 南西航空混成団防衛部長
19年7月 航空幕僚監部運用支援課長
21年3月 第7航空団司令 空将補
23年12月 第1輸送航空隊司令
25年3月 統合幕僚監部総務部長
26年12月 南西航空混成団司令 空将
28年12月 航空教育集団司令官

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【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照し、その確度を確保している。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。

【引用元】

防衛省航空自衛隊 航空教育集団司令部公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/asdf/atc/shireikan/index2.html

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