高島辰彦(たかしま・たつひこ)|第28期相当・海上自衛隊

高島辰彦は昭和35年8月生まれ、兵庫県出身の海上自衛官。

京都大学卒業後、昭和59年3月に海上自衛隊に入隊しているので第28期相当の幹候35期ということになる。

昭和35年度の生まれであれば、本来であれば第27期の年令になるが、どの段階で1年遅れになったのかは明らかでない。

出身は潜水艦幹部。

平成29年12月(2017年12月) 潜水艦隊司令官・海将

前職は統合幕僚監部総務部長であった。

2018年4月現在、潜水艦幹部出身の者にとって最高の栄誉とされるポストの一つ、潜水艦隊司令官を務める高島だ。

誤解を恐れずに言うと、高島が京都大学を卒業して海上自衛隊に入隊した昭和59年は、地方によっては自衛官は、人と見做されていないほどに酷い扱いを受けていた時代であった。

今の30代以下の若い世代には想像もつかないかも知れないが、1990年代以前は左翼勢力が政権を取る勢いで力を持っていた時代であり、北朝鮮に依る拉致事件を「疑いがある」として自民党が取り上げただけで、一部野党が大騒ぎし、国会が紛糾していたような時代である(今も似たようなものだが・・・)。

当サイトは政治目的の主張を書くためのブログではないので詳細は割愛するが、早い話が、京都大学を出て自衛隊に入るなどと言えばゼミの指導教官や両親はもとより、親戚ご近所一体になって羽交い締めにしてでも翻意させようというような時代である。

まして当時、1989年のバブル経済のてっぺんを目指し、日本中が自信に溢れ、好景気を楽しんでいた時代だ。

就職は引く手あまたの時代にあって、それでもなお京都大学を卒業し海上自衛隊の門を叩いた高島。

国防に対する本当に強い志がない限り、そんな選択肢は採らなかったであろうということである。

まずはそんな時代背景を知った上で、読み進めて欲しい。

さて本題だが、潜水艦幹部出身として最高の栄誉であるポストに高島が在るのは、先述のとおりだ。

しかしながら率直に言って、将官に昇ってからの配置は最初が幹部学校副校長であり、そして統幕首席後方補給官、舞鶴地方総監部幕僚長と、指揮官ポストからは遠い補職が続く。

自衛隊では一般的に、2佐であっても隊長や艦長配置などのように、指揮官ポストが重んじられる傾向がある文化を持つ。

まして将官にも昇れば、指揮官職に就き将(補)旗を掲げるのがやはり最高の栄誉だ。

そういった意味からは、高島はなぜかそういった配置からは遠いポストを3つも歴任し、やや不遇とも思える時代を過ごす。

もちろんこれは、海自幹部学校副校長、統幕首席後方補給官、舞鶴地方総監部幕僚長のポストが軽く、また左遷のポストという意味ではない。

後方支援職種出身の者にとっては、統幕首席後方補給官のポストは最高に栄誉ある補職の一つだ。

同様に、潜水艦以外を出身とする幹部にとっては、舞鶴の幕僚長は経験しておきたいポストの一つとなる。

だが、潜水艦出身の幹部にとってはそれぞれ、やや畑違いのポストが続いた印象が否めない。

そういった意味では、高島は2等海佐の時代にも1度、唐突に海幕の経理課勤務を経験しているが、何か定期的にやらかしてしまっているのだろうか。

どうにも誰かトンデモナイ人の尻尾を定期的に踏んでしまい、たまに不遇の時代を過ごすが、結局は部下や上司に恵まれ、あるいは組織に強く必要とされる能力と人徳があり、本線に復帰する。

高島の佐官以降のキャリアを見ていると、そんな配置になっているように思えてならない。

さて次に、その高島と同期である28期の動向について見てみたい。

高島が海上自衛隊に入隊したのは昭和59年3月。

1等海佐に昇ったのが平成15年1月なので、28期1選抜前期(1番乗り)のスピード出世だ。

海将補に昇ったのは22年12月であり、海将に昇ったのは29年12月。

1佐以降の昇任は早いというわけではないが、そもそも海空自衛隊では将官に昇ること、まして海将に昇るものの数がとても少なく、昇任そのものがすなわちスーパーエリートである。

もちろん陸自でも将官に昇るものはスーパーエリートだが、その数の少なさから、やはり海空の将官はそれだけ印象深い。

なお28期組は既に、次期海上幕僚長として名前が上がる年次だ。

当然のことながら次期海幕長は海将から選抜されることになるわけだが、2018年5月現在、28期で海将にある幹部は以下の通りになっている。

山村浩(第28期)・海上幕僚副長(2015年8月)

菊地聡(第28期)・佐世保地方総監(2015年12月)

佐藤直人(第28期)・防衛装備庁長官官房装備官(2016年12月)

高島辰彦(第28期相当)・潜水艦隊司令官(2017年12月)

※肩書はいずれも2018年5月現在。( )は海将昇任時期。

以上のような状況になっているが、この中で海上幕僚長候補に在るものは山村か、もしくは菊池のどちらかだけだと断言して間違いないだろう。

佐藤が務める防衛装備庁長官官房装備官のポストは海幕長に通じるルートにあるものではなく、高島は海幕長に昇るには、海将への昇任時期やその他の条件を考えてもまず考え辛い。

一方でやはり高島については、先述のとおりに海将補昇任後、不遇にも思えるポストが3つ続いたものの、4つ目のポストが阪神基地隊司令であり、海将補として初となる指揮官ポストであった。

阪神基地隊司令は、現海幕長である村川豊(第25期)も務めるなど、近年その配置はますます重要性を増してきており、高島が決して冷遇をされているわけではないことを証明する配置になった印象がある。

さらに統合幕僚監部総務部長を経て、海将に昇任し潜水艦乗りとして最高の栄誉である潜水艦隊司令官に昇った。

紆余曲折・山あり谷ありではあったが、高島がいるべき位置に落ち着き、海将としてこれ以上無い補職になったのではないだろうか。

一方で、高島が現配置についたのは2017年12月。

次期海幕長人事を考えると、あるいはこの補職が最後のポストになる可能性が高い。

潜水艦幹部として、海将に昇り潜水艦隊司令官に就けば、おそらく本人も、もう余計なポストに就かずにここを最後の働き場所と決めているのかもしれない。

客観的にも、この最高に栄誉あるポストで制服を脱ぐ高島を見送りたい気がしなくもない。

誇り高き海将の去り際は、やはり頂点で惜しまれながら退役になるのが美しい。

おかしな言い方だが、そんなことを期待しつつ、高島の活躍には注目し、そして応援していきたい。

本記事は当初2017年9月24日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年5月1日に整理し、改めて公開した。

なお以下は、当初公開した当時の記事をそのまま残している。

ところで、近現代史に詳しい人であれば、高島の名前である「高島辰彦」と聞けば、

「・・・ん?」

と思ったことがある人がいるかも知れない。

もしくは戦争映画好きで、特に第2次世界大戦に関する映画を片っ端から見た人であればきっと、この名前には見覚えがあるだろう。

我が国史上で発生した「軍事クーデター」の中でも、恐らく史上初めて、宮城(きゅうじょう)にまで軍人が押し入り、政権奪取を企てた「宮城事件」を扱った邦画の名作、「日本のいちばん長い日」にも実名で登場する、高島辰彦・陸軍少将(東部軍管区参謀長)と同姓同名だからだ。

高島少将はこの宮城事件に際し、反乱軍鎮圧側の指揮官として活躍し、宮城を守護し奉った非常に功績のある将官であった。

ちなみに高島少将は陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校の3つ全てを首席で卒業した、陸軍史上数少ない秀才の一人だ。

我が国が戦争に敗れていなければ、おそらく陸軍参謀総長まで昇ったことは間違いのない逸材であった。

時代は下り2017年。

同じ名を持つ高島辰彦・海将補も同様に我が国の国防に貢献し、なおかつ京都大学を卒業して海上自衛隊に入るという英才ぶりでスピード出世を果たしてきた。

第28期ということで、あるいは次のポストあたりが、その海上自衛隊人生で最後の奉職になるかもしれない年齢となってきたが、まずは2017年12月の人事だ。

その発令を楽しみに待ちたい。

◆高島辰彦(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 海上自衛隊入隊(第28期相当)

平成
7年1月 3等海佐
10年7月 2等海佐
11年3月 海上幕僚監部経理課
13年3月 潜水艦隊司令部
13年6月 なつしお艦長
14年8月 海上幕僚監部運用課
15年1月 1等海佐
16年8月 海幕防衛部運用課運用2班長
17年12月 第1潜水隊司令
19年7月 統合幕僚監部防衛課長
21年8月 第2潜水隊群司令
22年12月 海上自衛隊幹部学校副校長 海将補
23年12月 統幕首席後方補給官
24年7月 舞鶴地方総監部幕僚長
25年8月 阪神基地隊司令
26年12月 統合幕僚監部総務部長
29年12月 潜水艦隊司令官 海将

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省 統合幕僚監部公式Webサイト(顔写真及び式典写真)

http://www.mod.go.jp/js/Joint-Staff/js_j1.htm

http://www.mod.go.jp/js/jsc/school/topics_280308.html

防衛省海上自衛隊 幹部学校公式Webサイト(式典写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/seminars/22apncs/22apncs.html

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