山下慎一(やました・しんいち)|第33期・陸上自衛隊

山下慎一は昭和41年5月24日生まれ、千葉県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第33期(応用物理)の卒業で70幹候、職種は野戦特科だ。

平成29年8月(2017年8月) 第30代自衛隊茨城地方協力本部長・1等陸佐

前職は富士学校(特科部)訓練評価室長であった。

2018年5月現在、自衛隊茨城地方協力本部長を務める山下だ。

自衛隊の地方協力本部は、自衛隊と地域、あるいは自衛隊と民間企業などを結ぶ架け橋として重要な役割を果たす部署で、時に自衛官の「入口と出口」とも表現される。

キレ者でありながらもコミュニケーション能力が高く、それでいて「営業力」にも長けた甘いマスクのイケメンが就任することが多いポストだが、山下もまさに、ロマンスグレー(死語)のミリタリーカットが似合う紳士である。

なお東京地方協力本部長を務めた、顔が怖くて近寄りがたい高田克樹(29期)などの例外もいる・・・

その山下。

2018年現在で財務省からもっとも厳しい虐待を受け続けている、野戦特科の高級幹部だ。

しかし同時に、厳しい予算削減が続く陸自の中において数少ない、装備の新規取得と人員の拡充予算も割り当てられている、地対艦ミサイルのエキスパートでもある。

いつもと順番が逆だが、ここで少し詳しく、山下のキャリアをまず最初に見ていきたい。

山下が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。

初任地は翌2年の、第125特科大隊(現・第1地対艦ミサイル連隊)だ。

北千歳の地で、ガッツリと初級幹部として修練を重ね、その後、熊本県の健軍駐屯地に所在する第5地対艦ミサイル連隊でも指揮を執る。

その流れが変わったのは、平成18年(2006年)8月に着任した第9特科連隊第1大隊長(岩手)。

実は地対艦ミサイル連隊は、2018年5月現在でこそ人員・装備の増強と更新が予定されている、いわば陸自の花形部署とも言える兵科だが、一時期、極めて近視眼的な政策により、存亡の危機を迎えた歴史を持つ。

2005年に制定された、中期防(中期防衛力整備計画)だ。

この際に策定された中期防は、我が国が直面する驚異の中で、地対艦ミサイル連隊が果たす役割を極端に過小評価した、極めて不当な内容であった。

そして、当時6つ存在していた地対艦ミサイル連隊を段階的に3連隊に縮小する計画を立て、実際に宇都宮に所在していた第6地対艦ミサイル連隊は廃止の憂き目を見ている。

この際に痛手になったのは、もちろん装備が削減されたこともだが、もちろんそれだけではない。

結果として、我が国は島嶼防衛に極めて有効な部隊を指揮する多くの幹部の経験値と、熟練の曹士を多く失っているのである。

第6地対艦ミサイル連隊が解散された時には、その曹士はほとんどが普通科へ転属となった。

そして山下自身も、2005年に制定された中期防の翌年である2006年に、第9特科連隊第1大隊長(岩手)に着任しているのは先述のとおりだ。

同部隊はFH-70を主装備とする野戦特科部隊であり、地対艦ミサイルを運用する部隊ではない。

ほんの僅かでも、10年後の国防を見据える知恵がある政治家と財務省の役人がいれば、こんなことにはならなかっただろう。

ちなみに、当時の政権は第2時小泉改造内閣。

そして、財務省において防衛予算を担当する主計局主計官を務めていたのは、現自民党参議院議員の片山さつき氏だ。

この際、必要な防衛予算に大幅なメスを入れたとされるのは片山氏であるとする説が多くある一方で、本人はそれを否定しているので、本当のところまではわからない。

しかしながら、少なくとも財務省の防衛予算担当者である時に、この痛恨の予算を通した結果責任があることは、間違いないだろう。

一度失われた部隊は、急に予算を付け装備を更新しても、にわかに運用できるものではなく、非常に悔やまれる政策となった。

なお、その山下が連隊長(相当職)を経験したのは、宇都宮駐屯地に所在する第12特科隊長。

かつては連隊編成であったが、上級組織である第12師団が第12旅団に編成替えになったことに伴いその規模を縮小させ、特科隊に再編されたものである。

つまり、とても皮肉なことだが、かつて第6地対艦ミサイル連隊が設置されていた部隊を、2011年4月に同部隊が廃止された2年後に、隊長として預かったことになる。

その心中は、いかばかりだっただろうか。

次に、その山下と同期である33期の人事について、次ページ以降で見てみたい。

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コメント

  1. 山下慎一 より:

    過分なご紹介記事ありがとうございます。山下本人です。
    講話資料用の画像を探してるうちに、本サイトに巡り会いました。お褒め頂き恐縮ですが、まだまだ記載内容には程遠く、精進せねばと改めて身を引き締めた所存です。記載内容に恥じないよう、頑張りますので、よろしくお願いいたします。
    ところで、6地対艦に関する私の心情等大変よく理解され過ぎていて逆に心配なほどです。多分何処かでお会いしていることと思いますが、失礼などしてなかったでしょうか?また、お会い出来る日を楽しみにしております。それでは、お元気で、ありがとうございました。

    • ytamon より:

      山下1佐様、大変ご丁寧なご連絡ありがとうございました。
      また、勝手にご心情を推察させて頂いたにも関わらず、こちらこそ過分なお言葉を頂き恐縮しております。
      第6地対艦ミサイル連隊については、こちらのコラムでもご紹介しておりますが、本当に残念でした。
      恐らく今後、新たな部隊の新設も検討され、南西方面における防備の要となるかと思いますが、その際には山下1佐のようなエキスパートのご活躍が心から期待されるところです。
      お目にかかったことはございませんが、こちらこそどこかでお会いさせて頂くことがございましたら大変嬉しく、その際はお声がけをさせて頂ければ光栄です。
      激務が続く日々かと思いますが、山下1佐こそ、お体をお大事に、お元気に活躍されることを心からお祈りしております。
      ありがとうございました。