久田茂将(ひさた・しげのぶ)|第37期・陸上自衛隊

久田茂将は昭和45年9月1日生まれ、福岡県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第37期の卒業(通信)で74幹候、職種は高射特科だ。

平成29年3月(2017年3月) 第34代自衛隊大分地方協力本部長・1等陸佐

前職は第3高射特科群長であった。

2017年3月、地域の住民や企業と自衛隊を結ぶ地方協力本部長に就任した久田だが、地本の業務は自衛隊の中で唯一と言ってもいいだろう。民間企業で言うところの「営業」の仕事があり、長らく自衛隊で生きてきた高級幹部にとっては、なかなか慣れない仕事であるかもしれない。

地本職員になれば駅前で「自衛官募集」のティッシュ配りもするのだから、本当に大変だ。

その本部長であるポストも体力勝負の激務だが、実は久田は、防衛大学校陸上部歴代4位の、フルマラソン記録を持っている男だ。

42.195kmのフルマラソンで2時間31分57秒というタイムをもっており、相当なバケモノである。

22歳までにこのタイムをだしていたのであれば、本職のマラソンランナーを目指してもおかしくない程だが、その体力を活かして陸上自衛隊に入隊し、国家のために尽くす道を選んだ。

ところで、大分といえば記憶にあたらしいのは2017年7月に発生した九州北部豪雨だ。

死者37名を出す大惨事となった自然災害であったが、この大雨では大分県日田市も24時間で370mmという猛烈な雨を記録。

これは観測史上最悪の雨量であって、日田市では複数の川が氾濫し、3名の死者が出る深刻な被害が出た。

この災害にあって、就任早々であった久田も地本長として直ちに日田市役所に急行。

災害発生に際し必ずしも迅速な動きが取れていなかった災害本部で陣頭指揮を執り、自衛隊主力本体の受け入れ体制を整え、被害の確認と適切な人員の投入を割り振るなど、自衛官らしい危機対処能力を発揮する。

なおこの時、大分県庁には、第18普通科連隊長や富士学校教官、統幕学校教官などの要職を歴任した元1等陸佐の田村浩仁が県の防災監として勤務していた。

そのことも、あるいは災派のスムーズな初動を整えるのに役立ったであろう。

緊急事態においてはやはり、陸上自衛隊幹部の事態対処能力と行動力は、圧倒的に優れている。

さて、大分地本長としてさっそく忙しく働く久田だが、その本職といえば高射特科。

高射特科は我が国に飛来する敵の戦闘機や攻撃機を撃墜する為の職種であるが、03式中距離地対空誘導弾(中SAM)の導入以降、空対地ミサイルや低高度から飛来する弾道ミサイルへの対処能力も高まり、防空体制が飛躍的に向上している。

しかしながら普通に考えて、果たして今の日本でこのような職種が必要であろうか。

敵の戦闘機が飛んでくる前に、我が国の護衛艦や戦闘機が撃墜してしまいそうなもので、また防空体制も護衛艦がこなしてくれそうなものである。

そう考えてしまいたくなるかもしれないが、それは間違いであり、絶対に無くてはならない存在である。

ある意味において、尖閣諸島を始めとした離島防衛の切り札的な兵科であり、近年ますますその存在感を高めているといえるだろう。

2017年現在、我が国は宮古島と石垣島に陸自の新基地を建設すべく準備中だが、この2つの島に陸自の基地ができると、尖閣周辺の防衛力は飛躍的に高まる。

なぜか。

詳しくはこちらの記事、

【コラム】「市民団体」が陸上自衛隊の沖縄新基地に反対する本当の理由とは

から確認してほしいが、要約すると以下の図がわかり易い。

これは石垣・宮古の両島に陸自の新基地ができ、地対艦ミサイル連隊が配備された際に、極めて信頼性が高いレベルで射程距離に置くことができる海域を示している。

黄色い点が尖閣諸島がある海域であり、同海域に出没した敵性艦船は、地対艦ミサイル連隊からの攻撃をもって、高い信頼性で排除する能力を獲得するものだ。

一方で尖閣を本気で中国政府が取りに来る場合。

それはもはや地域紛争の枠を超えたものになるが、石垣と宮古に所在する地対艦ミサイル連隊を、航空機からの空対地ミサイル、あるいは中国大陸から発射する弾道弾で攻撃してくる可能性が高い。

そうなった時に対処するのが、久田がそのエキスパートである陸上自衛隊の高射特科だ。

つまり、地対艦ミサイル連隊と高射特科を組み合わせて、初めてこれら島嶼部の防衛体制は万全となり、容易に手出しができない強固な防衛体制が固まるのであって、強力な抑止力が働くことになる。

石垣と宮古に陸自の基地ができ、そこにミサイル連隊と高射特科部隊が赴任することは、我が国と東アジアの平和と安全が飛躍的に高まることを意味するものだ。

そのような意味で、高射特科の存在感はますます重要なものとなっていると言えるだろう。

なお久田は、大分地本長に着任する前は福岡の飯塚駐屯地に所在する第3高射特科群長を務めている。

これら部隊はおそらく、石垣や宮古に陸自の基地ができた場合、派遣部隊候補となる可能性が高いだろう。

あるいはその指揮を執る高級幹部は久田であるのかもしれない。

今後の我が国の安全保障環境を占う意味で、その存在と活躍から目を離せない久田だ。

今後も注目して追っていきたい高級幹部である。

◆久田茂将(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
5年3月 防衛大学校卒業(第37期)

幹部候補生学校
第8高射特科大隊
高射学校
中央資科隊
幹部学校(指揮幕僚課程学生)
第10師団司令部第2部情報班長
陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課制度班
第4高射特科大隊長
西部方面総監部人事部人事課人事第1班長
幹部学校(幹部高級課程学生・統合高級課程学生)
陸上幕僚監部人事部厚生課家族支援班長
第3高射特科群長
第34代自衛隊大分地方協力本部長

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省 大分地方協力本部公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/pco/oita/16_aisatsu.html

防衛省陸上自衛隊 広報・イベント公式Webサイト(03式中距離地対空誘導弾)

http://www.mod.go.jp/j/publication/book/mamor/2015/12/index.html

※地図画像はgoogleマップを加工し用いている

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