山口大介(やまぐち・だいすけ)|公募幹部・航空自衛隊

さて、今日はいつもと少し違う1等空佐の幹部をご紹介したい。

名前は山口大介・1等空佐。

防衛大学校を卒業したわけでもなく、防衛医大を卒業しているわけでもないので、いつもどおりのテンプレートの書き方が不可能な幹部である。

平成29年10月(2017年10月) 航空機動衛生隊長・1等空佐

前職は航空医学実験隊兼航空支援集団司令部であった。

航空自衛隊には平成25年に入隊したばかりの1等空佐である。

入隊してまだ僅か4年。

にも関わらず1等空佐の高級幹部に昇ったことになるわけだが、実は自衛隊に入隊し、国防に貢献するためには意外に色々なルートがある。

山口の場合は平成7年、香川医科大学を卒業し、市井の救急医として救命活動に従事した後、自衛隊を志し入隊。

航空幕僚監部の主席衛生官付きとなって幹部研修を行い、そして航空機動衛生隊や航空医学実験隊を経て、航空機動衛生隊長に就任した。

なお余談だが、このような専門性のある者については、一部年齢制限はあるものの、自衛隊は幅広く幹部や下士官として即戦力要員の受け入れを行っている。

特に医師や歯科医は山口のように幹部要員として採用されることが多いほか、技術海上幹部や技術航空幹部と言ったコースも有る。

技術要員は、大学で所定の学部を卒業し、社会人として規定の年数を経験したものが対象となる幹部採用コースだ。

民間企業で身につけた技術力や応用力を発揮し、その知見を国防に活かすために設置されている幹部ルートである。

技術幹部は38歳未満という年齢制限はあるものの、自衛隊の中途採用には非常に多くのルートがあるため、まずは志があるようであれば、ぜひ応募を考えて欲しい。

最寄りの地方協力本部に電話をし、自らが貢献できる知見を申告し、年齢を告げると必ずその適性に応じたコースを紹介してくれるだろう。

まさに、「応募資格は志」だ。

50歳を越えている、あるいは来年定年退職なんです、という相談はさすがに厳しいと思うが、まずは志があれば門前払いをされることがないのが自衛隊である。

まずは自衛隊の門を思い切って叩いてみよう。

5年後には、山口にようにいきなり隊長を任されている幹部になっているかもしれない。

さて、その山口が補職されているのは2017年11月現在、航空機動衛生隊長の要職である。

山口でまだ6代目であり、2006年に発足したばかりの新しい組織だ。

航空支援集団隷下に属し、重症患者を空輸しながら治療も行う部隊であり、「空飛ぶICU(集中治療室)」と呼ばれる医療の精鋭チームである。

なお山口は、6代目にして初の民間出身の隊長であり、これまでは防衛医大出身者が占めてきた隊長職に新しい風を吹き込んだ男だ。

なお、ドクターヘリの役割と混同されることが多いが、ドクターヘリと航空機動衛生隊はその役割が全く違う。

主な違いは、以下の様なものだ。

機動衛生ユニット ドクターヘリ
運用機種 固定翼
C-130HなどC-1には搭載不可
回転翼機
(ヘリコプター)
目的 根治的治療が可能な広域後方の高度医療機関への長距離搬送 傷病者発生現場への迅速な医療の提供
医療圏内における患者の救急搬送
患者数 1~3名/機動ユニット1個 1~2名
対象患者 安定化された重症救急患者 重症救急患者
搬送距離 数百~千数百km 半径50km
搬送時間 数時間 数10分

このようにみると、その役割はまるで違うものであることがわかる。

ドクターヘリはあくまでも救急車の延長だが、航空機動衛生隊は重傷患者の後送であり、またそのままでは移動が極めて困難な重症患者を安定的に管理しながら、医療設備が整った施設に移動させるものである。

基本的には自衛隊員を対象とするが、医療機関などからの要請により、民生協力も幅広く行っている。

隊発足以来、幼い命からお年寄りまで幅広い年齢層を対象とし、多くの命を救ってきた。

まさに民間で数多くの救急医療に携わってきた山口にとって、極めて適任のポストであると言えるだろう。

なお、数少ない経験からの話で恐縮だが、市井の医者でありながら自衛隊を志す医療関係者には、極めて志が高く、尊敬できる人物が多い。

(その分、変わりものも多いが・・・)

普段は医者として民間で勤務し、必要な時に自衛隊に奉職をする立場だが、そのような予備幹部自衛官は、自らの能力を国に活かし、そして公に尽くすことに非常なやりがいを感じている。

山口などはその親玉と言えるような存在だが、志が高じてついに幹部採用までされてしまったのだから、実にハンパなものではない。

自衛隊にはこのような幹部もいること。

そして志さえあれば、誰でも国防に尽くすルートが有ること。

自衛官経験がなく、特段の技術を持ち合わせない者であっても、34歳未満であれば予備自衛官補として採用されることも可能だ。

予備自衛官補は、年に数回程度の訓練に出頭する必要があるが、有事の際には招集され、国のために尽くすことが出来る自衛官のことである。

普段は民間で仕事をしながら、いざという時には頼りになる自衛官になることが出来るので、34歳未満のものであればぜひ応募を考えて欲しい。

或いはそれをきっかけに、山口のような人生が待っているかもしれない。

◆山口大介(航空自衛隊) 主要経歴

平成
7年 国立香川医科大学医学部卒業
7年 同附属病院第二内科(循環器内科)
15年 東京大学医学部付属病院救急部集中治療部
22年 国立がん研究センター中央病院麻酔科集中治療科
25年4月 航空自衛隊入隊(公募幹部)
25年4月 航空幕僚監部首席衛生官付
25年9月 航空機動衛生隊
27年8月 航空医学実験隊(入間基地)
29年10月 航空機動衛生隊長

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省航空自衛隊 航空機動衛生隊公式Webサイト(顔写真及ユニット画像)

http://www.mod.go.jp/asdf/ames/contents/ames2.html

http://www.mod.go.jp/asdf/ames/contents/ames4.html

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