南孝宜(みなみ・たかのぶ)|第29期・海上自衛隊

南孝宜は昭和37年4月生まれ、岐阜県出身の海上自衛官。

防衛大学校は第29期、幹候は36期のそれぞれの卒業だ。

平成28年12月(2016年12月) 監察本部監察官・海将補

前職は呉地方総監部幕僚長であった。

2017年12月現在、防衛監察本部監察官を務める南だ。

ある意味において、この仕事ほど幹部自衛官にとって厳しい立ち回りを求められるポストはないかもしれない、極めて重要でありながらも色々と難しい仕事になる。

というのも、この防衛監察本部。

防衛省直轄の組織でありながら、防衛省・自衛隊の下にある全ての組織に対し独立した立場で厳格な監察を実施することを役割とする。

コンプライアンス違反や法令違反はもちろん、規律違反や服務事故などといったものに至るまでその内容を精査・調査することになる。

2017年夏の、いわゆる「南スーダン日報隠蔽問題」においても「特別防衛監察」を実施し、一連の問題の経緯を報告する役割を担った。

そしてその報告内容に基づく形で稲田前防衛相と岡部俊哉(第25期)・前陸幕長の事実上の引責辞任が発表されるなど、非常に厳しい役回りを求められることになる。

なお、その監察官ポストには、陸上自衛隊から佐藤真(第34期)・陸将補、海上自衛隊からは南、航空自衛隊からは西谷浩一(第31期)・空将補の3名がそれぞれ着任しているが(いずれも2017年12月現在)、組織のトップである防衛監察官は自衛官ではない。

2017年12月現在でそのポストに在るのは、北村道夫・元福岡高等検察庁検事長だ。

北村は、村木厚子・元厚労省局長の調書改ざん問題で、大阪地検トップである検事正が引責辞任をした後を継ぎ、大阪地検検事正に着任した経歴を持つ。

つまり、組織の不正を正し、明らかにする凄腕のエキスパートであるということだ。

こんなおっかない元検事をトップにして、その下で”身内”の不正を明らかにしようというのである。

それが組織を精強にし、国益に繋がり、もって我が国の平和と安全を更に担保するために極めて重要な仕事であるとは言え、なかなかやり辛いことだけは間違い無さそうだ。

さて、そのような要職にある南について、少しその経歴を見てみたい。

ちなみに上記の写真、左側が南で、呉地方総監部幕僚長であった頃の一枚だ。

右側は池太郎(第27期)

池の呉地方総監着任式の一コマである。

海上自衛隊の入隊は昭和60年3月。

1等海佐に昇ったのが平成16年1月なので、29期堂々の1選抜(1番乗り)だ。

1等海佐時代には、統合幕僚監部運用1課運用調整官や第6護衛隊司令、海上幕僚監部人事計画課長と言った要職を歴任するが、中でも目立つのは、やはり第6護衛隊司令時代の活躍だろう。

この時期南は、ソマリア沖のアデン湾派遣海賊対処行動水上部隊第4次隊指揮官を務め、我が国のシーレーン防衛と関係国の平和と安全に大いに貢献。

現地では、張文旦・中国海軍南海艦隊副参謀長と相互の艦船を訪問し軍人外交を展開するなど活躍し、隷下部隊とともに全員無事に帰国を果たした。

このような成果もあり、平成27年3月に海将補に昇ると呉地方総監部幕僚長に着任。

この日本海軍以来の伝統ある地方隊において、スタッフチーフとして大いに成果を挙げ、監察本部監察官に転じた。

なお29期組と言えば、海上幕僚長である村川豊(第25期)の後を継ぐ可能性が極めて高い27期組の、その次の海上幕僚長が選抜される可能性がある年次にあたる。

その為、既に海上幕僚長候補レースは、その”最終出走馬”が出揃っていると言って良い状況だが、2017年12月現在、その候補者となっているのは以下の海将たちだ。

渡邊剛次郎(第29期)・教育航空集団司令官(2016年7月)

糟井裕之(第29期)・護衛艦隊司令官(2016年12月)

杉本孝幸(第29期)・航空集団司令官(2017年8月)

大島孝二(第29期)・海上自衛隊補給本部長(2017年12月)

中尾剛久(第29期)・舞鶴地方総監(2017年12月)

※肩書はいずれも2017年12月現在。末尾の数字は海将昇任時期。

なお29期組から海上幕僚長が選抜されるとしても、その時期は早くとも2020年12月以降となるだろう。

その為、今の段階でその人事予想は余り意味を持たないが、少なくとも2017年12月現在では、渡邊と糟井がひとつアドバンテージを握っている状況と言えるかもしれない。

監察本部監察官は、全軍を俯瞰し、これまで以上に組織の問題点を把握することができる要職だ。

そのため、後職ではその知見を活かすことが出来る要職に転じる可能性が高いだろう。

南の今後の活躍についても、興味深く追っていきたい。

◆南孝宜(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
60年3月 海上自衛隊入隊(第29期)

平成
8年1月 3等海佐
11年7月 2等海佐
13年8月 第1護衛隊群幕僚
14年8月 やまゆき艦長
15年9月 海上幕僚監部防衛課
16年1月 1等海佐
17年9月 練習艦隊幕僚
18年9月 海上幕僚監部教育課学校班長
19年12月 統合幕僚監部運用1課
20年3月 統合幕僚監部運用1課運用調整官
21年10月 第6護衛隊司令
22年8月 護衛艦隊幕僚
24年7月 海上幕僚監部人事計画課長
27年3月 呉地方総監部幕僚長 海将補
28年12月 監察本部監察官

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 呉地方隊公式Webサイト(イベント写真、池太郎総監着任式画像)

http://www.mod.go.jp/msdf/kure/info/gallery/2015_11.html

http://www.mod.go.jp/msdf/kure/info/gallery/20160701soukan_chakunin.html

防衛省海上自衛隊 阪神基地隊公式Webサイト(優秀部隊表彰式写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/hanshin/hanki_news/week/index23.html

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