上ノ谷寛(かみのたに・ひろし)|第30期・航空自衛隊

上ノ谷寛は昭和38年8月生まれ、大阪府出身の航空自衛官。

防衛大学校第30期の卒業で幹候76期、出身職種は飛行で、F-15戦闘機パイロット上がりのイーグルドライバーだ。

平成29年12月(2017年12月) 南西航空方面隊司令官・空将

前職は航空幕僚監部運用支援・情報部長であった。

2017年12月、空将に昇任すると同時に、第2代南西航空方面隊司令官に着任した上ノ谷だ。

2017年12月現在、我が国の安全保障政策上、最大のホットスポットであり、その司令官の一瞬の判断が国益を大きく損ねることもあり得、また国益に資することもあり得る重要なポストである。

南西航空方面隊は、各種装備や飛行隊の強化を続け、2017年7月に南西航空混成団から航空方面隊に昇格したばかりだ。

新編から5ヶ月での、2代目司令着任ということになる。

なお、前任の武藤茂樹(第28期)はこの大役を見事にやり遂げ、航空総隊副司令官に栄転になっている。

部隊の新編期に組織を預かり、きっちりとスタートアップさせた功績は非常に大きい。

今後も、航空総隊副司令官として、そのキャリアを大いに伸ばしていくことは疑いないだろう。

ところで、こう言ってはなんだがこれほどの大役を任された上ノ谷。

率直に言って、どこにでもいるおじいちゃんにしか見えないビジュアルだが、すごい経歴の持ち主だ。

航空自衛隊に入隊し、F-15戦闘機のパイロットとして千歳基地を皮切りに各地で活躍。

3等空佐時代には韓国指揮幕僚課程に学び、その縁もあってのことであろう。

18年6月から3年間、韓国防衛駐在官として赴任するが、同期間中北朝鮮は、テポドンの発射や核実験と言った傍若無人な振る舞いを続けている時期であった。

そのため、防衛駐在官として求められる軍人外交においても非常な手腕を発揮し、我が国の防衛政策に与えた影響は極めて大きかったことが窺える。

2017年12月現在、再び朝鮮半島情勢は緊張の度を高めているが、このような時に上ノ谷の知見は非常に大きく、また南西航空方面隊司令官としても、大いに役立つことだろう。

また上ノ谷は、米国フロリダ州へ留学し戦闘機戦術教官課程を履修するなど、米国内にも一定の人脈を有する。

自衛隊は陸海空いずれも米軍との連携が欠かせないのはもちろんだが、特に航空自衛隊においては、その戦闘時間の短さ故に極めてスムーズな連携が不可欠になる。

そのため米国通であることが特に重要な要素になるが、このあたりにも不安材料はない非常に充実したキャリアを持つ司令官と言って良いだろう。

さて、30期組でここまでくれば、当然のことながら航空幕僚長レースに乗っていると考えるのが妥当だ。

場合によっては4年後には航空幕僚長に昇っているかもしれない、第30期組の空将である。

その30期組の空将だが、2017年12月現在で以下の最高幹部たちがいる状況だ。

井筒俊司(第30期)・西部航空方面隊司令官(2017年8月)

金古真一(第30期)・中部航空方面隊司令官(2017年8月)

上ノ谷寛(第30期)・南西航空方面隊司令官(2017年12月)

※肩書はいずれも2017年12月現在。( )内は空将昇任時期。

第30期組の航空幕僚長レースは、おそらくこの3名に絞り込まれたと言って良いだろう。

そして、まだまだ完全に横一線の状況だ。

要撃管制の金古に、米国留学を繰り返した空自きっての米国通である井筒。

そして北東アジア情勢に通じている上ノ谷。

それぞれがそれぞれの立場で、与えられた職責を完璧にこなしてきたエキスパートである。

なお上ノ谷は、1等空佐こそ1選抜の昇任だったが、空将補への昇任は、1選抜である井筒と金古が平成23年8月であったのに対して平成25年3月。

2年近く遅かったことになるが、そこから空将に昇ったのがわずか4年9ヶ月後の平成29年12月であり、猛追の上で空幕長候補に名乗りを上げたことになる。

このあたりは、航空自衛隊将官人事の大きな特徴だ。

陸自では、将補への昇任が同期から2年遅れると決定的な差になり、陸上幕僚長候補に昇ることはまず考えられない。

しかし航空自衛隊では、直近の人事の傾向を見ていると、空将補時代の活躍に重きを置き、その活躍が顕著であれば極めて短期間に将に昇任させ、幕僚長候補といえるポストに補職させる人事が目立つ。

このあたりを含めて、30期組の最高幹部人事はまだまだ目が離せそうにない。

3人3様の活躍を楽しみに、今後とも応援していきたい。

◆上ノ谷寛(航空自衛隊) 主要経歴

昭和
61年3月 航空自衛隊入隊
61年9月 航空教育集団司令部付(浜松)

平成
元年8月 第2航空団(千歳)
9年1月 3等空佐
9年3月 韓国指揮幕僚課程(韓国)
11年1月 航空幕僚監部防衛課(桧町)
12年7月 2等空佐
13年8月 第8航空団(築城)
16年4月 中央業務隊付(市ヶ谷)
17年1月 1等空佐
18年6月 韓国防衛駐在官(韓国)
21年7月 航空幕僚監部防衛部防衛調整官(市ヶ谷)
22年7月 航空幕僚監部運用支援調整官(市ヶ谷)
23年4月 統合幕僚監部運用部運用第1課長(市ヶ谷)
25年3月 第1輸送航空隊司令(小牧) 空将補
26年8月 南西航空混成団副司令(那覇)
27年12月 航空幕僚監部運用支援・情報部長(市ヶ谷)
29年12月 南西航空方面隊司令官(那覇) 空将

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省航空自衛隊 南西航空方面隊公式Webサイト(プロフィール画像及び着任式画像)

http://www.mod.go.jp/asdf/swadf/second/third/sireikan.html

http://www.mod.go.jp/asdf/swadf/second/third/katsudou.html

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