【自衛官の出世と昇給】自衛隊で出世できる都道府県・できない都道府県

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さて、気になる結果発表である。

まず、航空自衛隊から発表したい。

航空自衛隊の、地域別・都道府県別出世幹部人数ランキングは以下の通りだ。

 

■航空自衛隊 地域別・都道府県別将官人数ランキング

地域 人数
北海道 0
東北 4
関東 22
中部 13
近畿 3
中国・四国 6
九州・沖縄 17

 

都道府県 人数
東京 10
埼玉 6
福岡 5
静岡 4
鹿児島 4
石川 3
岐阜 3
長崎 3
群馬 2
千葉 2
愛知 2
愛媛 2
熊本 2

◆1名の都道府県

青森 岩手 宮城 山形 栃木 神奈川 山梨 京都 大阪 和歌山
島根 広島 山口 香川 佐賀 大分 宮崎

◆0名の都道府県

北海道 秋田 福島 茨城 新潟 富山 福井 長野 三重 滋賀
兵庫 奈良 鳥取 岡山 徳島 高知 沖縄

 

いかがであろうか。

伝統的に高級幹部を多く排出している九州と、人口の多い(家買いましたアピールの多い?)関東が多いのは、陸海空に共通した特徴になっている。

 

これに、航空自衛隊らしい特徴が見えるのは、中部地方の多さだろう。

中部地方には、静岡と岐阜がある。

おそらくこの辺り、航空自衛隊の空港のそばで育ち憧れを抱いて入隊をしたのか。

あるいはそもそも、親が基地勤務で結果として、この辺りの出身になった幹部が多いのか。

もしくは、この辺りの勤務が多いのでこの辺りに家を買い出身地にしているのか、といったところではないだろうか。

 

一方で、北海道が0、近畿が3というのは相当際立った特徴だ。

千歳基地を抱える北海道出身の空自将官が0というのは軽くショックである。

また、人口比から考えても近畿が3というのは、もはや嫌われているのかと思うレベルだ。

ちなみに管理人は近畿生まれ、近畿育ち、近畿で仕事、地方在住だが、3自衛隊の中でもっとも、航空自衛隊の影が薄い。

全くと言っていいほど身近に感じる機会がないので、恐らくこの辺りも、近畿出身の航空自衛隊幹部がそもそも少ないことの、理由なのだろう。

高級幹部になれないというよりも、航空自衛隊に幹部入隊するものが相当少ない、というのが本当のところではないだろうか。

 

それにしても、航空自衛隊幹部候補生学校がある奈良が0というのも、なかなかのショックである。

 

では引き続き、海上自衛隊の結果について発表したい。

海上自衛隊の、地域別・都道府県別出世幹部人数ランキングは以下の通りだ。

 

■海上自衛隊 地域別・都道府県別将官人数ランキング

地域 人数
北海道 1
東北 2
関東 20
中部 8
近畿 10
中国・四国 11
九州・沖縄 13

 

都道府県 人数
神奈川 11
東京 5
兵庫 5
山口 4
鹿児島 4
愛知 3
大阪 3
岡山 3
福岡 3
長崎 3
千葉 2
愛媛 2
熊本 2

◆1名の都道府県

北海道 青森 宮城 茨城 埼玉 新潟 石川 福井 岐阜 静岡 滋賀
京都 島根 徳島 大分

◆0名の都道府県

岩手 秋田 山形 福島 栃木 群馬 富山 山梨 長野 三重 奈良
和歌山 鳥取 広島 香川 高知 佐賀 宮崎 沖縄

 

ご覧の通り、神奈川が圧倒的である。

そう言えば、河野克俊(第21期)・統合幕僚長御大も神奈川であった。

やはり、皆さん中央勤務か横須賀勤務を希望されて、この近辺に家を買ってしまい、

「あ、自分神奈川在住っす」

みたいな空気があるのだろうか・・・。

 

その他、関東と九州が多いのは全自衛隊的な特徴として特筆することではないが、それ以外の都道府県は大きな偏りはないのではないだろうか。

そういえば、海上自衛隊は先に発表した別調査のコラム

【自衛官の出世と給料】一般大学卒業生は自衛隊で出世できない、は本当か

でも、一般大学から将官になった最高幹部の数が、海上自衛隊は陸・空に比べその比率がとても高かった。

あるいは意外に、海上自衛隊はそう言った意味で柔軟な組織と言えるのかも知れない。

海軍伝統の鹿児島出身将官人数がたった4名というのも意外である。

戦前のイメージで、海自はガチガチの官僚的な特徴をもっている、というイメージはどうやら的を射たものではないのかも知れない。

 

では最後に、陸上自衛隊の結果発表である。

陸上自衛隊の、地域別・都道府県別出世幹部人数ランキングは以下の通りだ。

 

■陸上自衛隊 地域別・都道府県別将官人数ランキング

地域 人数
北海道 4
東北 8
関東 25
中部 14
近畿 14
中国・四国 13
九州・沖縄 44

 

都道府県 人数
福岡 15
鹿児島 10
東京 7
宮崎 7
埼玉 6
兵庫 6
長崎 5
北海道 4
山形 4
千葉 4
神奈川 4
大阪 4

◆3名の都道府県

静岡 愛知 岡山 広島 熊本 大分

◆2名の都道府県

茨城 群馬 岐阜 京都 鳥取 山口

◆1名の都道府県

青森 宮城 秋田 福島 新潟 富山 福井 山梨 長野 三重 奈良
和歌山 島根 徳島 香川 佐賀

◆0名の都道府県

岩手 栃木 石川 滋賀 愛媛 高知 沖縄

 

何だこの結果はwww

さすがに草が生えるほど、意外な結果になってしまい驚いている。

関東と九州が多いのは、繰り返しになるが3自衛隊の特徴だが、九州がここまで突出しているのはさすがに異常であるww

 

ちなみに、陸自は将官の数が多いので、白地図上に★の数を入れ込むのは3名以上の都道府県に限定させて頂いたのだが、まるで戊辰戦争の激戦地か、戊辰戦争前後の全国の兵力配置図ではないかww

なんというか、日本刀を背負った武士の頃からの伝統をそのまま受け継いでいるかのような、陸自の魂を感じさせる。

関東の田舎もんなんか眼中になか、おいどんは九州もんでごわす!ちぇすとーーー!!

というような声が、白地図から聞こえてくるようだ。

 

恐らく関東出身と回答している人の中にも、まだまだ九州出身の将官はいるのではないだろうか。

そう言った意味では、陸自は九州出身者王国といっても、間違い無さそうだ。

 

では最後に、なんとなく気がついている人もいるかも知れないが・・・

陸海空を通じて1人の将官もいない都道府県が、残念ながら・・・ある。

その辺りをご紹介して締めくくりにしたい。

 

 

■陸海空自衛隊 地域別・都道府県別将官人数ランキング

地域 人数
北海道 5
東北 14
関東 67
中部 35
近畿 27
中国・四国 30
九州・沖縄 74

 

都道府県 人数
福岡 23
東京 22
鹿児島 18
神奈川 16
埼玉 13
兵庫 11
長崎 11
千葉 8
静岡 8
愛知 8
大阪 8
宮崎 8

◆0名の都道府県

高知 沖縄

 

ご覧の通りの結果になった。

ある意味で意外なことだったが、我が国でもっとも高級幹部を多く排出している都道府県は福岡県である。

東京はいろいろな理由があるのでともかくとして、その次が鹿児島県だ。

これは、日本軍時代からの伝統を考えれば納得だ。

逆に、高知と沖縄は1名の将官も出していないという結果を、どう捉えられるだろうか。

ただこれは、2018年6月現在での将官を分析したものであり、はっきり言えば瞬間風速である。

関東と九州が強い傾向は変わるものではないが、その他の地域については年によって大きく変わると考えても良さそうだ。

 

また大事なことだが、これらの数字は、

下位の都道府県から入隊しても出世できない、ということではない

ことだけは、どうか外さないで欲しい。

むしろ、この上位の都道府県は、自衛隊の幹部、さらにいうと防衛大学校に入学しようとする若者たちの数がとても多い、と考えたほうが自然だろう。だから幹部の数が多い。

 

ちなみに管理人は滋賀で生まれ滋賀の小中学校に学び、京都の高校大学で過ごしたが、同級生に1人たりとも防衛大学校に進んだものがいない。

というよりも、将来防衛大学校に進みたいと言ったら、担任教師から異物扱いされたことを今もよく覚えている。

そのような地域柄もあるのだろう。

滋賀県は、陸海空自衛隊を通じて、将官の数がたった1名である。

しかも、護衛艦隊司令官(2018年6月現在)を務める糟井裕之(第29期)だ。

何が「しかも」かというと、滋賀県は海無し県ということだ。

海無し県で生まれ育ったレアな自衛隊の将官が、世界有数の護衛艦隊を率いて活躍するというのは、なんとも痛快な話だ。

ぜひ糟井海将には、更に上に昇って活躍して欲しいと、心から願っているところである。

 

そんなわけで、ちょっとした余興でご紹介させて頂いた出身都道府県別の将官ランキングであったが、これをみた入隊希望者の方は、自分の都道府県が下位だからということを嘆く必要は全く無い。

むしろ、その地域からはレアな幹部になれる可能性が高いということで、郷土の誇りとして堂々と、自衛隊幹部候補生の門を叩いてもらえれば幸いだ。

 

頑張ってほしい。

最後には必ず、都道府県に関係なく、頑張り次第の未来が拓けることだろう。

 

なお最後になったが、アイキャッチ画像はいつも通り、コラムとは何の関係もない。

管理人が昔から大ファンであり、2018年夏の将官人事で間もなく退役されることが確実な、山之上哲郎(第27期)・東北方面総監の、第1空挺団長時代の画像だ。


(画像提供:第1空挺団公式Webサイト

第3師団の副師団長時代から応援し続けて、間もなく10年。

陸幕長、初代陸上総隊司令官のどちらかに必ず就かれるものと思って応援し続けてきたが、退役されるとなると本当に張り合いがなくなってしまう・・・。

仕方がないので、2017年夏の将官人事で陸将補に昇ったばかりの幹部の中から、誰か一人を追いかけさせて頂くことにしようか。。

一番イケメンなのは、恐らく徳永勝彦(第36期)・陸将補だろうか。

(ΦωΦ)フフフ…

 

(了)

 

※文中、自衛官および関係者の敬称略。

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4件のコメント

出身地で調べるよりも、本籍地で データを取ったらどうでしょう?
そのほうが、納得いくものが出ると思いますけど、、。

播磨の黒ウサギさまコメントありがとうございます。
そうかも知れませんが、情報を手に入れる手段がありません・・・。

石塚 勲(防大3期)第21代航空幕僚長 出身:秋田県河辺郡河辺町(現秋田市)秋田県出身者ゼロではありませんよ。現役の頃、航空救難団秋田救難隊に在籍しておりましたが石塚氏の実家も掌握しております。時々お忍びで実家に来ていた様ですよ。ちなみに私は秋田県人から埼玉県人になりましたが。

草薙 佳夫さま
コメントありがとうございました。
こちらのデータは、2018年時点の現役自衛官をベースに作成したものでした。
わかりにくくて申し訳ございません。
過去に遡ればさすがに、全都道府県、3自衛隊で将官が存在するでしょうね。
ありがとうございました!

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