岩谷 要(いわや・かなめ)|第28期・陸上自衛隊

岩谷 要は昭和36年3月20日生まれ、青森県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第28期で幹候65期、出身職種は施設科だ。

ストレートに行けば、昭和36年3月生まれであれば第27期であるはずだが、あるいはどこかで1年足踏みをしたと思われ、28期組ということになっている。

平成29年8月(2017年8月) 第9代陸上自衛隊研究本部長・陸将。

前職は第40代第4師団長であった。

なお、第4師団長当時の指導方針は以下の通り。

【要望事項】

「原点への回帰と変化への対応」

「地域等との連携」

さて、28期組のダークホース的存在である岩谷だ。

普通に考えれば、陸上自衛隊研究本部長のポストは、いわゆる「退職ポスト」であり、第4師団長の後職として着任した以上、このポストを最後に退役になるというのが、一般的な見方になる。

実際、研究本部長のポストは、初代の竹田治朗(第13期)こそ、後職で第11師団長に着任しているものの、以来2代から8代までは全員後職に就くこと無く退役している。

まして、師団長経験者である岩谷は、その後職として師団長クラスに就くこともありえないので、順当に考えればこのポストが最後になるだろう。

ところがそうはならない。

それどころか、岩谷はあるいは、第37代の陸上幕僚長になるかもしれない可能性がある、といえば、どれほどの人に賛同してもらえるだろうか。

話を進める前に、まずは岩谷のキャリアを見ていこう。

陸上自衛隊の入隊は昭和59年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成15年1月なので、28期組の1選抜(1番乗り)であり、文句なしのスピード出世だ。

陸将補に昇ったのは22年7月なので、同期の最速に比べれば1年遅れということになる。

そして陸将に昇ったのが28年7月。

こちらも、陸将補の1年遅れがそのままの形で、同期最速から比べ11ヶ月遅れとなった。

とは言え、11ヶ月遅れでの陸将補昇進(師団長着任)は、十分に陸上幕僚長を射程圏内に収めているポジションにあり、ディスアドバンテージといえるようなものではない。

つまり、岩谷は完璧なスーパーエリートと言うことだ。

次に、同期の動向を見てみたい。

2017年10月現在で、28期組のトップ集団を走るものは以下の5名だ。

岸川公彦(第28期)・中部方面総監 施設科出身

湯浅悟郎(第28期)・西部方面総監 普通科出身

住田和明(第28期)・東部方面総監 高射特科出身

田浦正人(第28期)・北部方面総監 機甲科出身

岩谷要(第28期)・陸上自衛隊研究本部長 施設科出身

第36代陸上幕僚長である山崎幸二(第27期)の後任として、28期組の中から誰かが選ばれるような状況が発生した場合、相当イレギュラーなことがない限り、この5名以外から選ばれるということはまずないだろう。

しかしながらこの中で、その相当イレギュラーなことが起こった場合でも、田浦正人と湯浅吾郎はおそらく選ばれることはないと思われる。

その理由については、すでにこちらのコラム、

【コラム】次期陸上幕僚長人事予想|第37代・2017年10月予想

で触れているので割愛するが、要は28期組のサバイバルレースで残る可能性があるのは、住田、岸川、岩谷の3名であるということだ。

ではなぜ、「退職ポスト」にある岩谷に、そこまで先の可能性を見据えているのかという話である。

それは岩谷が、2018年3月に行われる陸上自衛隊大改革に際し、その大改革で誕生する組織の一つである、陸上自衛隊教育訓練研究本部の初代本部長に就任する可能性が極めて高いからだ。

陸上自衛隊教育訓練研究本部は、これまでの研究本部の機能に加え、陸上自衛隊にある全ての教育機関をその隷下に収めることが予定されている組織となる。

つまり、研究と教育を直接紐付け、理論に上滑りしない実戦的な研究を行うことを目的とした組織へと生まれ変わり、さらにその研究成果を、教育機関の現場に直接フィードバックしようという組織である。

いわば航空自衛隊に存在する航空教育集団に類似した組織だが、研究機能を併せ持っている分、こちらのほうがさらに多くの機能を有している組織となる。

(その分、有機的に機能させるのは大変そうではある)

ところで、先の大戦において我が国が敗れるまで、陸軍3長官と呼ばれていたのは以下のポストであり、陸上戦力にとって重要なポストであると考えられていたのは以下の通りだ。

・陸軍大臣

・参謀総長

・教育総監

陸軍大臣は、防衛大臣がそれに近いといえるかもしれないが、文官が就任するものであり、今は存在しない制服組のポストだ。

参謀総長は陸上幕僚長であろう。

そして教育総監は、これまでそれに類するポストも匹敵するポストもなかったが、この陸自大改革の結果、70年以上の時を経て、陸上自衛隊に再び誕生することになった役職であると言って良い。

つまりこの教育訓練研究本部長というポストは、日本陸軍以来の最重要ポストであり、陸上自衛隊の中でも極めて重視される可能性が高い役職になるということだ。

そして、その初代本部長には、恐らく2017年8月に研究本部長に着任したばかりの岩谷がそのまま横滑りすることは、まず疑いの余地がない。

そうなれば、岩谷が住田や岸川と並んで、第37代の陸上幕僚長候補になることに、何の違和感もないであろう。

そして、恐らく陸上自衛隊教育訓練研究本部長のポストは、同じ2018年3月に誕生する陸上総隊司令官のポストと並び、陸上幕僚長に就くものが、最後に通過するポストのひとつになると思われる。

とは言え今のところ、若年より「将来の陸上幕僚長」としてのキャリアを意識させるキャリアパスをして来たのは、28期では恐らく住田和明だ。

新設部隊であることもあり、さすがに初代教育訓練研究本部長のポストから陸上幕僚長にジャンプアップするのは、正直難しいかもしれない。

しかしながら、これもまたひとつのサプライズ要素であり、人事にありがちな「まさか」でもある。

なおかつ、時の政権が力を持っている場合、軍事組織の硬直化を打破するために慣例を壊しに行く傾向があり、その意味では当面の間、安倍政権の安泰は続くことが予想される以上、これまでの慣例はあてにならない可能性もある。

そういった要素を含めて、岩谷の今後の異動からはまったく目が離せない。

28期組の中で、文句なしのスーパーエリートでありながら、”トリックスター”になる可能性がある、とても興味深い最高幹部である。

本記事は当初2017年6月21日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年10月23日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年6月に公開した当時のものをそのまま残している。

◆岩屋要(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 防衛大学校卒業(第28期)

平成
7年1月 3等陸佐
10年1月 2等陸佐
15年1月 幹部学校付 1等陸佐
15年8月 幹部学校教官
16年3月 陸上幕僚監部防衛部運用課総括班長
18年3月 第4施設群長
19年7月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練課長
22年6月 第4施設団長
22年7月 陸将補
24年8月 統合幕僚監部運用部副部長
26年3月 第3師団副師団長
26年12月 東部方面総監部幕僚長
27年8月 陸上幕僚監部人事部長
28年7月 第4師団長 陸将
29年8月 陸上自衛隊研究本部長

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的とし、軽量化処理やオリジナルからトリミングし切り取って用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第4師団公式Webサイト(顔写真及び着任式画像)

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/dcg/dcg.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/katudou/h28/28-8.html

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