2022年8月、陸上自衛隊の陸将・陸将補の人事異動が防衛省から発令された。
当月は陸海空とも小幅な人事の動きであり、それだけに冬から春にかけての大きな人事の前触れを予感させるものであった。
吉田陸上幕僚長は、着任が2021年3月だったので、次の将官人事の季節からいつ交代になっても不自然ではない時期に入る。
その後継候補である31期組の陸将も、今年が58歳になる年度なので陸幕長に昇るか勇退を迎える頃合いだ。
そんなこともあり、この冬から春にかけて陸自では、人事の大きな動きがあることは間違いないだろう。
そしてその31期組の陸将は、2022年9月現在で3名。
前田忠男(第31期)・陸上総隊司令官
沖邑佳彦(第31期)・北部方面総監
竹本竜司(第31期)・西部方面総監
誰が吉田の後継に選抜されても、全く不自然ではない重職にある。
もちろん、吉田の陸上自衛隊入隊は昭和61年(1986年)3月であり、防衛大学校第30期相当であることから、順当に考えれば本来、その後継は32期組から選抜される可能性が高いだろう。
しかしいま現在、自衛隊では定年延長の影響で、人事がちょうど1年ずつ、従来の常識から1年後ろ倒しになっている形だ。
そんなこともあり、この3名の中から選ばれる可能性も同じくらいに高く、ぜひ次の人事で注目してほしい最高幹部たちである。
なおその上で、今回管理人がご紹介したい人事は実は、この8月でご勇退された、上記3名と同じ31期組の陸将補、野村悟(第31期)のことだ。
その最後のポストは教育訓練研究本部教育部長であり、その前職は陸上総隊司令部日米共同部長、さらにその前職は中央即応集団の副司令官であり、陸将補としてはこの3つのポストを経験し、ご勇退の日を迎えた。
いずれもご覧のように、いわば一般人には馴染みのないポストであり、おそらく野村の活躍を知る人はほとんどいないだろう。
しかし実は野村ほど、若い頃から国際畑で活躍し続け、また”軍人外交”の舞台で世界と日本の平和のために尽力してきた自衛官はなかなかいない。
さらに野村は、現役・退役を問わず幹部・曹士の多くの自衛官の尊敬を集め続けてきた将官であり、私は野村のことを悪く言う自衛官に今まで出会ったことがない。
それどころか、「野村さんほど尊敬できる幹部を他に知らない」と熱く語ってくれた幹部曹士はとても多く、それだけに今回のご勇退を本当に寂しく思っている。
いくら年齢とはいえ、野村のような国際通をこの時期に失ってもいいものか・・・と思わなくもないが、しかしそれが軍事組織の宿命なのだろう。
属人的な組織運用をしてしまえばしてしまうほどに、組織は脆弱で壊れやすくなる。
そして合理的な判断が排除され、組織は本来の目的を失うことになる。
つまりこれでいいわけではあるのだが、だからといってやはり一抹の寂しさは拭いようがない。
そのため、せめて読者の皆さんにはぜひ、今回ご退役をされたこの”表に出てくることがなかった陸将補”、野村悟という幹部の活躍に注目して頂きたいと願い、ご紹介をさせていただいた。
ぜひ、その国防への貢献に思いを馳せ、背中を見送って欲しいと願っている。
なお例によって、アイキャッチ画像の美しい女性は人事異動とは何の関係もない。
平成29年7月に発生した九州豪雨に際して、災派で福岡に出動した第6方向支援連隊の活躍を撮影した一コマだ。
しかしそれにしても、なぜか陸自の公式ツイッターでは6後支の美しい女性自衛官が起用されることが多いような気がする・・・。
もしかして、女性隊員の比率が高いのだろうか🤡
その他、詳細な人事異動の内容は以下の通り。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊公式ツイッター)
陸将補に昇任させる
(北部方面総監部装備部長)
1等陸佐 榑林寿弘
(東北方面総監部装備部長)
1等陸佐 奈良岡信一
(西部方面総監部人事部長)
1等陸佐 伊東佳哉
(西部方面総監部装備部長)
1等陸佐 河合寿士
中部方面総監部幕僚副長を命ずる
(西部方面総監部装備部長)
陸将補 河合寿士
第4師団副師団長を命ずる兼ねて福岡駐屯地司令を命ずる
(西部方面総監部人事部長)
陸将補 伊東佳哉
第6師団副師団長を命ずる兼ねて神町駐屯地司令を命ずる
(東北方面総監部装備部長)
陸将補 奈良岡信一
第11旅団長を命ずる
(陸上自衛隊富士学校副校長兼諸職種協同センター長)
陸将補 青木伸一
陸上自衛隊富士学校副校長を命ずる兼ねて諸職種協同センター長を命ずる
(第4師団副師団長兼福岡駐屯地司令)
陸将補 惠谷昇平
陸上自衛隊化学学校長を命ずる兼ねて大宮駐屯地司令を命ずる
(北部方面総監部装備部長)
陸将補 榑林寿弘
陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長を命ずる
(中部方面総監部幕僚副長)
陸将補 竹内哲也
陸上自衛隊関西補給処長を命ずる兼ねて宇治駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊化学学校長兼大宮駐屯地司令)
陸将補 平野邦治
退職を承認する
(第11旅団長)
陸将補 宮本久德
(陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長)
陸将補 野村悟
(陸上自衛隊関西補給処兼宇治駐屯地司令)
陸将補 小谷琢磨
令和4年8月1日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2022/0801c.pdf
陸将に昇任させる
(第6師団副師団長)
陸将補 叶謙二
第9師団長を命ずる
(統合幕僚学校長)
陸将 田尻祐介
防衛装備庁長官官房装備官を命ずる
(第6師団副師団長兼神町駐屯地司令)
陸将 叶謙二
退職を承認する
(第9師団長)
陸将 亀山慎二
(防衛装備庁長官官房装備官)
陸将 鵜居正行
令和4年8月1日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2022/0801b.pdf
お忙しい中の更新ありがとうございます。
女子隊員の比率は同じだと思うのですが…めんごい率???
❀(*´▽`*)❀なんてねwww
はい、私ももしかしてそうかな~とw
(^v^)
あれあれ?今回は次期陸幕長予想かと思いましたが?
デスノート回避ですか?#32だとすると東ですか?
お察しのとおりでございますwww
特に今回は、「この人になってほしいな~」という本命がいるので、とても口に出せません
><;
デスノート回避ですwww
おはようございます
最近記事が全然更新されないので寂しく感じていた次第です
ここを楽しみにしている方々は心配してましたよ!(多分)
貴兄の自衛隊を愛する熱い言葉を読みたくてここに集い来る方々は、大きな人事発令が出るたびに『何が来るんだろう?』と待ちわびています
コロナの様子を伺いながら、北方にでも行ってこようと思っていますが向こうの予定が埋まっている様でヤレヤレです
これからも良い記事書いてくださいね!
期待しております
江村さん!!
長く放置しておりごめんなさい
(´;ω;`)
北方!早く!
(^◇^)
秋田・山形を管轄している6師団は美人の宝庫ですよ。
ですよね~
^^
山崎統合幕僚長の勤務延長が発令されましたが井筒空幕長の統幕長への発令が危ぶまれると危惧しています。空では飛行教導群の事故がありましたし海上自衛隊では護衛艦の航行不能事故が影響しているのか変に勘ぐってしまいます。
辞令出ましたね~
次の統幕長への調整を図っているのでしょうね。。
陸上自衛隊の防大31期は勇退との噂を聞きました。本当なのでしょうか?軍事研究には陸上総隊司令官が上がるとありましたが違うのでしょうか。定年延長や統合司令部の関係でしょうか。31期の猛者たちが去ったら、台湾有事や大規模地震の部隊運用は大丈夫のでしょうか。噂通りなら残念ですが。
軍事研究は総隊司令官を予想されているのですね!
私がよく耳にする噂は、東方総監ですね。
つまり、31期は総隊司令官を含めこの春に全員ご退役ではないか、という下馬評です。
ただ同時に、吉田さんはまだまだ辞めないという話も聞きます。
であれば統幕長に昇るのか?
という気がするわけですが、一方で山崎さんが7月まで任期が延長されているので山崎さんは少なくとも夏まではおやりになるわけですよね・・・。
ということは、次の陸幕長人事は夏なのか?
この春なら、吉田さんよもやのご退役か?
などなど、とても予想がつかないですよね。。
いずれにせよ、31期であろうが何期であろうが、私は自衛官のご退役に際しては毎回、涙を流して悲しんでいます。
誰のご退役であっても、悲しくなかったことがない・・・
(´;ω;`)
管理人様 明日、陸の将官人事は発令になると聞いています。これだけは言わせてもらいたいと思います。前田司令官が勇退する噂ですが、そうなら本当に無念です。部隊の監察や部隊・司令部の声の結果は、前田さんが、指揮官になる度に士気が上がるとう実績があり、その統率には定評があるのに、これで終わるとは応援団として不本意です。明日の人事が間違いでありますように。有事に戦えるのは前田さんを除いて今の陸自将官にはいません。もし、噂通りなら・・・。明日を待ちきれません。
コメント頂きましてありがとうございました!
人事はもう確定しているようです
前田さんについては、私も思い出深い将官ですので、特に書きたいと思っています!
(´;ω;`)
将官人事を拝見しました。管理人さまが仰っていた人事とは若干違いましたね。吉田陸幕長が統合幕僚長になるとは夢にも思っていませんでした。井筒空幕長の統合幕僚長を望んでいましたが残念です。
出ましたね~
しかし、森下陸幕長は順当としても、竹本総隊司令官とか、こんな人事あてられるわけありません
(´;ω;`)
1週間前の報道で、吉田陸将が陸幕長から統幕長に上番されるのを知り、思わず愕然としました。管理人氏と同じく、次は空の番(井筒空将)と予想していたからです。この人事、空の存在感が薄くなってしまわないか、空出身の人間としては懸念しているところです。
統幕長人事では、空が若干冷遇されている印象ですよね。
バランスをとるなら、初代統合司令官ポストを空に渡さないと・・・という気がします。
前田陸将お疲れさまでした。列国の将官と比べた時に、陸自では数少ない空挺、レンジャー
自由降下の徽章がついた正真正銘の将軍でした。若い時から見ていましたが、ビデオ・エアボーンレンジャーの学生長、空挺初降下行事の離島作戦と団長の自由降下、NHKスペシャル・60年目の自衛隊の校長、そして、機甲師団創立記念日のカチドキ、こんな将軍はしばらくでないんでしょうね。今回の人事が統合司令官人事に関連しているとしたら、あなたにこそ初代司令官になってほしかったです。残念です。本当にお疲れさまでした。
コメントありがとうございました。
私も今回の人事では特に、前田さんにメッセージを書きたいと思っています!
ご期待くださいませ
(´;ω;`)
完璧なデスノートですね!momonoさんの予想と反対の人事を予想するのが正解と感じました。
(;^ν^)ぐぬぬ…
何で削除するの?
ヽ(`Д´)ノウワァァァン!!
陸自にとっては激動というより乱世ですね。ヘリ事案、スーダン情勢、北の衛星そしてG7サミット警備と主要将官が変わった途端の激変ですか。私の知り合い曰く「私は安全な幹部だ。その証拠に災害派遣等の徽章がない」といった安全神話の名将官が2人去ったら、乱世に?軍人には武運長久が大切ですね。某司令官で退職した某氏には、退官を惜しんだ手紙やメールが殺到しているそうですよ。勤務を続ける将官の皆さんには、乱世が収まるといいですが。陸自がんばれ!
某氏のお人柄が伝わりますね!
そういえば来月は7Dの記念祭ですね。
いらっしゃるのですかね~。
最近の陸上自衛隊都市伝説です。
幕僚長になるはずだったのにならなかった名将たち。
①関口陸将(#20)・・・東日本大震災でのK大臣のわがまま
②番匠陸将(#24)・・・切れ者過ぎ、はたまた政治に関与しすぎ?
③住田陸将(#28)、高田陸将(#29)・・・健康上の理由
④前田陸将(#31)・・・Topの好き嫌い?
きな臭いご時世で前田陸将の退官は問題だ。陸自はともかく海空自、米軍から疑問符続出。本当に戦えるのかと懸念の声が出ているそうだ。有事の前田だったのにだって・・・。
前田さんは本当にファンが多いですね!
今週末の7師団祭、いらっしゃるかな~
戦える布陣の米陸軍に対し、前のトップの好き嫌い人事で落ち着く陸自将官人事に失望します。理屈の戦士ほど危ない人事はありません。現幕長も今回の人事には手をつけられませんね。
本当に戦えるんですか?大丈夫か陸自?
管理人様 堀江さんの退官記事以降更新がありませんが、どうかされましたか?管理人さんが体でも壊したのではないかと心配しています。更新を期待しています。
ところで、「どうする家康」を見ていて、最近はつくづく「部下を生かして、功績は部下のもの。自分は、部下に支えられているだけで何の知恵もない。」とノタマう腹の座った将軍がいなくなったと感じますが。
この間まで、後輩たちに「人柄の〇〇」と言われても、平気な顔で、そのくせ指導はピカイチなのに凡人面。知る人ぞ知る、頭の切れは抜群の某将軍は最近は企業の客引き係とか?
家康は天下を取ったけれど、今の将軍たちは、責任感は理解するが「俺が俺が」で部下が委縮していると。
これからが乱世だからまた信長や秀吉に戻るのかな?
部下たちがいきいき活躍できないなら、大組織は崩壊の道をたどるが・・・。
「どうする自衛隊将軍たち」
どうする家康様
元気でやってます!
猛烈に忙しく、なかなか記事更新できておらず申し訳ございません・・・(泣)
どこかで時間を取って、しっかりと更新させていただきます!
><;
管理人様 本年もよろしくお願いします。いろいろなことがあった2023でしたね。
武人らしい将官が減る中、懐かしい名(迷)将の年賀状に接しました。本人は我流と言ってますが、味わいがあるように感じます。
韓非子の「飛龍乗雲」を引用してさすがとおもいました。辰年生まれだそうで。今年の干支は「殻を破る」年だそうですが、新年早々の惨事続き、なんとか良い年になってほしいものです。
明後日は降下訓練初めですね。安全祈願から防衛交流の場になったようで。管理人さん見に行くのでしょうか?
元名(迷)将に会ったらよろしくお伝えください。
こちらこそ、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
はい、初降下参ります!
元陸将、お目にかかれたら、嬉しいなあ。。
年明け早々厳しい状況が続きますね。
陸自も通達違反とか各種新年のイベントの縮小とか。習志野の名物指揮官降下も出来ず、辰年は飛躍の年のほずなのに。
なんとなく陸自が萎んでいるような気がするのは私だけでしょうか。
某シンクタンクの分析では今年の台湾有事の可能性は低いとか。その分、隣の熊さんの研究者は東京に大地震とか。
何事も起こりませんように。陸自に武運長久を。
本年もよろしくお願いします。
お正月早々、なかなか厳しい状況ですね。
コロナの影響で、色々なノウハウがうまく引き継がれなかったような気もしております。
こちらこそ、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます!
ご無沙汰しています。
春の人事というか、大改革前の人事出ましたね。年度末の統合司令官が誰かが焦点だと思いますが、その前哨戦ですね。
竹本司令官続投かと思ったら退官。これも統幕長の人事ですかね。南西重視なのでこれまでの総監の制度上の順位設計とは異なるというわけですか。
つい先日、麻生幾の新刊「リアル」が発売されて読んでいますが、新刊上の総隊司令官は前田前司令官の経歴に似ています。思い起こせば、彼こそ適任でしたよね。米軍司令官達とも交流があり統合司令官にはうってつけと思うのは私だけでしょうか。
初代統合司令官は誰なんでしょうか。春と夏の人事が見ものです。管理人さんの分析をぜひ披露ください。デスノートという感じは今更ありません。頑張ってください。
コメントありがとうございました!
竹本さん、60歳になられますからね。
定年延長は幕僚長でないと出ないので、おそらく難しかったのでしょうね・・・。
統合司令官、吉田さんの交代時期によりますがおそらく陸から出るのではないかと思っています!
海→陸→陸→陸はないでしょう。
統合幕僚長のお話ですね!
はい、統幕は次は間違いなく空でしょう。
初代統合司令官のお話です!
航空自衛隊補給本部長の処分で危惧はしています。
あー、なるほど・・・
でも、陸も海も、似たようなことたくさん起きてるんでそれは大丈夫かもです!
陸上総隊司令官・竹本陸将と中部方面総監・堀井陸将の退職は予想通りでした。しかし、陸上総隊司令官の後任は東北方面総監・梶原陸将と思っていましたので、びっくりしました。通常人事を前提とする限り、梶原陸将は現ポストでの退職が確定したと思います。
2025年春の人事で、統合幕僚長は内倉空将、自衛隊統合作戦司令官には、(次期陸上総隊司令官の)山根陸将を予想します。統幕長と統合司令官を一つの自衛隊から輩出するとは思えませんし、自衛艦隊司令官の齋藤海将は今年の春か夏あたりに、海上幕僚長への就任が濃厚と考えます。
その線もありそうですね!
いよいよ2024夏の陣が近づいてきた気配ですね。
この夏は防大32期相当が退役ですね。それのみならず来春の統合司令部発足に向けて人事が動くわけですね。初代統合司令官やそのスタッフはどうなるか楽しみです。
とはいえ、海空は有力な候補者がいますが陸はどうなんでしょうか?統幕勤務や有事対応の実オペレーション経験者が少ない感じは否めませんね。まさか運用経験がるとはいえ森下陸幕長の登用はないですよね。
31期が惜しいことしましたね。運用1課勤務の前田元総隊司令官や運用2課勤務の竹本前陸上総隊司令官が残っていれば適任でしたが・・・。
かつての米陸軍参謀長スクーメーカー大将のように自衛隊にも将官の予備役の制度があれば、前田さんが最適と思いますが。某防衛関係企業で頑張っているとの噂も耳にしますが。
最近おいそがしそうですが、ぜひとも管理人さんの予想に期待しています。
陸31期は本当にそうでしたね・・・
竹本さんに前田さん。
いずれも統合司令官にふさわしい方であったと思っています(泣)
しかし陸も、初代はとりたいでしょうから、まだまだ諦めてないでしょうねえ。
一体誰になるでしょうね!