堺一夫(さかい・かずお)は昭和44年12月生まれ、兵庫県出身の陸上自衛官。
防衛大学校第36期の卒業で幹候73期、出身職種は普通科だ。
平成29年8月(2017年8月) 富士学校普通科部長・陸将補
平成30年3月(2018年3月) 兼ねて富士学校諸職種協同センター副センター長
前職は陸上幕僚監部運用支援・訓練部運用支援課長であった。
(画像提供:陸上自衛隊富士学校公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊富士学校公式Webサイト 広報誌岳友249号)
2019年3月現在、富士学校普通科部長兼ねて富士学校諸職種協同センターの副センター長を務める堺だ。
富士学校は2018年3月の陸自大改革でさらにその機能が強化され、陸自が推し進める戦力の機動化と諸職種共同戦闘訓練の中心的役割を果たす。
そのため、富士学校長のポストにも近い将来の陸上幕僚長有力候補と目されている髙田祐一(第30期)が着任するなど、人事を見ても明らかにその重要性を増してきている。
従来は、師団長や旅団長経験者が退職前に着任するベテラン将官の指定席であったのだが、髙田はおそらく次の異動で方面総監クラスの要職に着任するだろう。
いわば、これからさらに全軍を俯瞰する立場に立つものが、諸職種共同の現場を経験することが求められるポストになったと言えそうだ。
普通科の幹部レンジャー課程が置かれていることでも知られ、その普通科部長を務める幹部ともなれば、普通科の鬼のエキスパートが充てられるポストとしても知られる。
その富士学校で、諸職種共同の一翼を担う普通科部長を務める堺だ。
様々な形で幹部の教育訓練を実践するが、中でも印象的な取り組みと言えば、堺が普通科部長に着任直後、2017年11月20日から実施された硫黄島での訓練だろうか。
いうまでもなく硫黄島は、陸自のみならず、広く国民にとっても本土防衛の象徴であり、玉砕の象徴でもある。
そのためこの研修は普通科部のみならず、広く15職種から167名の幹部を集めて実施。
実際の地形を見ながら当時の配置を研究して、あるいは自分であればどのように戦ったのか。
史実にも思いを馳せながら、離島防衛の実践想定訓練を行った。
この硫黄島で散華した英霊は、実に1万人を越える。
しかしその死傷者数は、太平洋戦争末期においては異例の、日本側守備隊よりも米軍側攻撃隊にこそより大きな対価を支払わせた戦闘になったことはよく知られているとおりだ。
70年以上の時を経て今、その地に立つ幹部たちは何を思ったのだろうか。
一つ確実に言えることは、南西方面における島嶼部で同じような戦闘が生起しないためには、陸上自衛隊こそが精強であらねばならないと言うことだ。
そして今現在の平和は、陸上自衛隊がその精強さに磨きをかけ、抑止力として機能している結果でもある。
きっと硫黄島の地に立ち戦史に想いを馳せた時、未来の平和に向けてさらに強い思いを新たにしてくれたのではないだろうか。
では、そんな要職を務める堺とはこれまで、どのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見ていきたい。
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