その堺が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。
1等陸佐に昇ったのが23年1月、陸将補に昇ったのが29年8月であったので、共に36期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
陸上自衛隊では、1選抜で将官に昇ることは直接、同期の陸上幕僚長候補に選ばれたことを意味する。
その意味で堺も、近い将来の陸幕長候補の一人であると言ってよさそうだ。
(画像提供:陸上自衛隊富士学校公式Webサイト)
1佐以降の経歴で見ると、職種部隊では秋田県に所在する第21普通科連隊で連隊長に上番。
なお第21普通科連隊はその規模の大きさで知られており、およそ1100名からなる大所帯である。
通常の普通科連隊がおおよそ800名ほどであり、軽編成では650名程であるので、比較するとその規模の大きさがおわかり頂けるのではないだろうか。
ちなみに、陸自最大の規模を誇る普通科連隊は東千歳に所在する第11普通科連隊で、その人数はおよそ1500名。
ここまで来ると、陸将補が指揮する施設団の中でも最大の、第3施設団(1600名)と同規模ということになる。
このような規模を誇る連隊だけあって、その歴代連隊長にはやはりその後、重い責任を担うことになった幹部が非常に多いポストとしても知られる。
一方中央(陸上幕僚監部)では、防衛部防衛課を経て班長ポストを教育訓練部教育訓練計画課の企画班長で、課長ポストは運用支援・訓練部の運用支援課長でそれぞれ務めた。
そして29年8月に陸将補に昇り、富士学校普通科部長に着任。
さらに30年3月には、兼ねて富士学校諸職種協同センター副センター長に補され、活躍を続けている。
陸上自衛隊が目指す新しい戦力の構築を担う、36期を代表する最高幹部の一人であると言ってよいだろう。
では最後に、その堺と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。
36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして、2019年3月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。
松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)
德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)
堺一夫(第36期)・富士学校普通科部長兼富士学校諸職種協同副センター長(2017年8月)
藤岡史生(第36期)・北部方面総監部幕僚副長(2017年8月)
若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)
南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)
※肩書は全て2019年3月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2018年夏の将官人事以降に昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。
以上のようになっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の最高幹部人事では、先に昇任を果たしている形だ。
恐らく今後の陸将人事も、この4名を中心に選抜が進められていくことになるのではないだろうか。
堺については、普通科を代表する幹部であると同時に、諸職種共同の陸自の戦力を作り上げていく、中心と言っても良い幹部だ。
この先もその知見を活かし、師団長、方面総監とより重い責任を担っていくことになるのではないだろうか。
その動向は要注目であり、今後とも変わらず応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:防衛省東北防衛局公式Webサイト)
◆堺一夫(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
15年1月 3等陸佐
18年7月 2等陸佐
23年1月 陸上幕僚監部防衛課 1等陸佐
23年8月 幹部学校付
24年7月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課企画班長
26年3月 第21普通科連隊長
27年8月 陸上幕僚監部運用支援・訓練部運用支援課長
29年8月 富士学校普通科部長 陸将補
30年3月 兼ねて富士学校諸職種協同副センター長
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