橋爪良友(はしづめ・よしとも)|第34期・陸上自衛隊

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橋爪良友は昭和42年11月生まれ、神奈川県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第34期の卒業で71幹候、出身職種は普通科だ。

 

平成29年3月(2017年3月) 中央即応集団副司令官・陸将補

前職は中部方面総監部幕僚副長であった。

 

2018年2月現在、CRF(中央即応集団)で副司令官(国内担当)を務める橋爪だ。

CRFは、この記事をポストしている1ヶ月余り後の2018年3月、11年余りの歴史に幕を閉じ、廃止されることが決まっている。

そして、中央即応集団隷下に在った第1空挺団、第1ヘリコプター団、中央即応連隊、特殊作戦群、中央特殊武器防護隊、対特殊武器衛生隊の各隊は、2018年3月に新編される陸上総隊隷下に編入されることになっている。

 

おそらくこの際、CRFで最後の司令官を務める小林茂(第27期)は、おそらく勇退になるだろう。

副司令官を務める橋爪については、或いは異動になるのか、新編される陸上総隊の司令部スタッフに横滑りするのか。

その予想をする前に、新編される陸上総隊の性質について考えてみたい。

 

当初、専門家などの間でも予想されていた陸上総隊の性質は、5つある陸自方面隊の上級組織になるだろうというものだ。

そして方面隊を統合的に運用し、指揮命令権を持ち有事に際して中心的な役割をはたすことになるというもの。

しかしながら、2018年2月現在までに発令されている防衛省の公式記録を見ると、陸上総隊は方面総監と同格となり、指揮命令権を持たない組織になる見込みになった。

一方で、防衛相の命令がある場合には複数の方面隊を調整する任務にあたるということになっている。

調整は運用ではないので、言葉だけを真に受けると、あるいは平時においては、最大の軍事組織を統合する司令部の指揮命令機能を制服組には握らせないという、政治側の意志表示と言えるかもしれない。

 

これが過渡期の措置なのか恒久的な措置なのかは今後の注目点だが、いずれにせよ発足前の状況を概観すると、陸上総隊は、中央即応集団が持っていた機能に方面隊間の協働を調整する役割を付加しただけと言い換えられるかもしれない。

この調整機能が「それだけ」なのか「画期的な一歩」になるのかは実働を見てみないと何とも言えないが、いずれにせよ陸上総隊は、自衛艦隊や航空総隊に比べ随分と機能が制限された組織として発足することだけは間違いないだろう。

 

そういった意味においては、橋爪がCRF副司令官に着任したのは2017年3月であり、あるいはそのまま陸上総隊司令部スタッフに横滑りして、過渡期の組織づくりと新組織の発足にめどを付ける役割を担うのではないだろうか。

CRF司令官である小林はおそらく退任する見込みであり、CRF副司令官であった橋爪が、新組織の立ち上げに際し初代司令官を支えるスタッフになると考えるのが、自然であるように思われる。

 

 

さて、その橋爪のキャリアについてだ。

橋爪が陸上自衛隊に入隊したのは平成2年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成21年1月、陸将補に昇ったのが27年8月なので、それぞれ34期組1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。

陸上自衛隊では、1選抜で陸将補に昇るのは、まずは将来の陸幕長候補に名乗りを上げることを意味するので、超が付く、エリート中のエリートと言って良いだろう。

 

なお34期組の出世頭である陸将補にあるのは、2018年2月現在で以下の幹部たちとなっている。

 

荒井正芳(第34期)・研究本部総合研究部長 2015年8月

柿野正和(第34期)・陸上幕僚監部監理部長 2015年8月

小林弘樹(第34期)・東部方面総監部幕僚副長 2015年8月

橋爪良友(第34期)・中央即応集団副司令官 2015年8月

佐藤真(第34期)・防衛監察本部監察官 2016年3月

鳥海誠司(第34期)・第6師団副師団長 2016年7月

松永康則(第34期)・陸上自衛隊幹部学校副校長 2017年3月

大場剛(第34期)・第4師団副師団長 2017年8月

※肩書はいずれも2018年2月現在。末尾数字は陸将補昇任時期。

 

上記のように、荒井、柿野、小林、橋爪が1選抜で陸将補に昇った4名となっており、これを佐藤と鳥海が追っていると言う状況になっている。

34期組から最初の陸将が選抜されるのは2021年。

それまでの3年間、34期組の最高幹部人事はこの6名を中心に進められていくことになりそうだ。

そしてその後、2020年代後半にかけて、我が国の国防における最高幹部として活躍していくことになるだろう。

橋爪を始めとした34期組の活躍には、これからも注目し、そして応援していきたい。

 

本記事は当初2017年8月31日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年2月18日に整理し、改めて公開した。

◆橋爪良友(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
2年3月 陸上自衛隊入隊(第34期)

補職年月不明
第37普通科連隊中隊長
陸上幕僚監部防衛課
陸上幕僚監部補任課

平成
13年1月 3等陸佐
16年7月 2等陸佐
21年1月 1等陸佐
21年4月 第4師団第3部長
23年4月 陸上幕僚監部防衛課業務計画班長
24年7月 第21普通科連隊長兼ねて秋田駐屯地司令
26年3月 陸上幕僚監部防衛課長
27年8月 中部方面総監部幕僚副長 陸将補
29年3月 中央即応集団副司令官

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 中央速報集団公式Webサイト(中央即応集団広報紙第33号)

http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/pa/index.html

防衛省陸上自衛隊 中部方面隊公式Webサイト(中部方面隊広報紙第89号)

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/main/03_asuka/asuka_01.html

防衛省陸上自衛隊 第1空挺団隊公式Webサイト(降下訓練画像)

http://www.mod.go.jp/gsdf/1abnb/posts/product.html

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