柿野正和は昭和43年3月生まれ、福岡県出身の陸上自衛官。
防衛大学校第34期の卒業で幹候71期、出身職種は判明しないものの、そのキャリアと1佐時代の職種徽章から考えて恐らく需品科ではないだろうか。(※1)
平成29年8月(2017年8月) 陸上幕僚監部監理部長・陸将補
前職は小平学校副校長であった。
後方支援系の要職を歴任し、ほとんど表に出てくることがない柿野だ。
そのため、画像を探すことにとても苦労したが、かろうじて1等陸佐で第10後方支援連隊長時代の離任式画像が、第10師団のアーカイブに保存されているのを見つけることができた。
それにしても、職種徽章をギリギリ判別することができない。
向かって右胸についている徽章は、まるで中央が空洞の航空科徽章のように見えるがそれはありえないだろう。
光の加減でこのように見える可能性があるのは他に需品科であろうかと、そのキャリアと合わせ出身職種を一応需品科と記しておいたが、もし間違いがあればどなたか教えて下さい・・・。
(※1)
話を元に戻す。
少なくとも後方支援系職種であることは間違いない柿野だが、34期の絶対エースにして出世頭だ。
そのキャリアも極めて充実しており、陸幕においては補給や調整の要職を。
現場においては第10後方支援連隊長を務めた他、中央会計隊長のような全国の方面会計隊を統括する要職も経験。
また小平学校副校長では後進の指導育成にあたるなど、その活躍の幅は極めて広い。
そして2017年8月には陸上幕僚監部監理部長に着任。
陸上幕僚監部監理部は、名前から監理監察系の厳しい仕事かと連想しがちだが、一般企業の組織に例えると総務部という位置づけがもっとも近いのではないだろうか。
監理部では、幕僚長や幕僚監部の公印を保管・運用する他、その公務に関する庶務を担当。
また公文書の管理や編集を行うなど、陸幕幹部の実務を担当する部署と言っても良い。
予算の管理や収入・決算を監理することなど、資金面も職掌範囲としており、その職務は多岐にわたる。
当然のことながら、その責任者たる部長に求められる見識の広さ、実務経験の豊かさも相当なものだ。
ちなみに柿野は、2013年8月から2017年8月までの4年間で、これで5つ目の補職である。
1ポスト平均で1年程度務めると、次の要職に栄転になっているが、将来の最高幹部に昇るものは、1佐(一)~将補辺りで短期に多くの要職を経験することが多いようだ。
恐らく全軍を俯瞰する者に必要な能力を身に着けさせ、あるいは出身職種系のあらゆる業務を俯瞰する能力を高めるためだと思うが、柿野のキャリアもそのように形成されている、まさ真っ只中と言うことなのではないだろうか。
次に、柿野を含めた第34期組の、将来の陸上幕僚長レースの状況を考えてみたい。
2017年12月現在で、34期組出世頭である陸将補の階級に在るものは以下の通りだ。
なお34期組は、1選抜で陸将補に昇るものが選抜されたのが2015年夏の将官人事であり、まだ陸将を出す年次には至っていないので、下記の幹部が現時点での先頭グループということになる。
荒井正芳(第34期)・研究本部総合研究部長 2015年8月
柿野正和(第34期)・陸上幕僚監部監理部長 2015年8月
小林弘樹(第34期)・東部方面総監部幕僚副長 2015年8月
橋爪良友(第34期)・中央即応集団副司令官 2015年8月
佐藤真(第34期)・防衛監察本部監察官 2016年3月
鳥海誠司(第34期)・第6師団副師団長 2016年7月
松永康則(第34期)・陸上自衛隊幹部学校副校長 2017年3月
大場剛(第34期)・第4師団副師団長 2017年8月
※肩書はいずれも2017年12月現在。末尾数字は陸将補昇任時期。
通常陸上自衛隊では、4名前後が1選抜で陸将補に選ばれ、そのまま師団長や方面総監の要職まで互いに切磋琢磨し昇りながら、競い合うことが多い。
そのような意味では、1選抜である荒井、柿野、小林、橋爪に加え、佐藤までが34期組の陸幕長レースではアドバンテージを握っている幹部と言って良いだろう。
或いは7~10年後に掛けてこの5名の中から陸上幕僚長が選抜されることになるかも知れない最高幹部たちである。
陸幕長レースはともかくとして、陸将補になって1~2年であり、年齢はいずれも50歳になったばかりの、「若手将官」。
実質的な部隊の指揮を任され、あるいは中央では実務の責任者として活躍していく、国防の中心的役割を果たしている年次である。
1選抜である柿野はもちろん、その他の将官・幹部の活躍にも注目し、応援していきたい。
※1
記事をご覧頂いた自衛官の方から、コメント欄に柿野将補に関する職種についての情報を頂きました。
それによると、会計科のご出身と言うことのようです。
中村様、本当にありがとうございました!
◆柿野正和(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
2年3月 陸上自衛隊入隊(第34期)
13年1月 3等陸佐
16年7月 2等陸佐
21年1月 1等陸佐
21年8月 幹部学校付
22年7月 陸上幕僚監部装備計画課補給管理班長
24年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛調整官
25年8月 第10後方支援連隊長
26年12月 陸上幕僚監部総務課長
27年8月 中央会計隊長 陸将補
28年12月 小平学校副校長
29年8月 陸上幕僚監部監理部長
【注記】
このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。
自衛官各位の敬称略。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。
【引用元】
防衛省陸上自衛隊 第10師団公式Webサイト(第10師団だよリ離任式画像)
http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/top/tayori/index.htm
初めまして、自分は春日井駐屯地の隊員です。
柿野将補は小平学校副校長の前に中央会計隊長を歴任されており、確か職種は会計科だったかと記憶しております。
中村様、コメントと情報提供、本当にありがとうございました。
さっそく本文末尾に、情報を加筆させて頂きました。
感謝申し上げます。
何時も拝見させて頂きありがとうございます。柿野陸将補の会計隊時代の情報もお願い致します。
片岡様
コメントありがとうございました!
公開情報を探し尽くして、次回の記事更新の時にはご希望に添えるようにがんばります!
ただ、後方支援系の職種は本当に情報が少ないので、いつもなかなかその活躍を伝えきれずに困っています。
メディアも、もっと後方支援系にも目を向けて欲しいですね。
(´・ω・`)
ありがとうございます。多分東部方面会計隊長等に聞けばわかると思います。多分後方支援のスーパーエリートだと思います。聞いていけばわかると思います。