佐藤真(第1師団副師団長・陸将補)|第34期・陸上自衛隊

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佐藤真(さとう・まこと)は昭和43年1月18日生まれ、宮崎県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第34期の卒業で幹候71期、出身職種は高射特科だ。

 

平成30年8月(2018年8月) 第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令・陸将補

前職は防衛監察本部監察官であった。

なお、直近の指揮官ポストであった第2高射特科団長時代の指導方針は以下の通り。

 

【要望事項】

「誇りを持て」「和を大切に」

(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式フェイスブック

(画像提供:陸上自衛隊第6高射特科大隊公式Webサイト

2019年2月現在、「頭号師団」の尊称を持つ陸上自衛隊第1師団で、副師団長の要職を務める佐藤だ。

第1師団は東京の練馬駐屯地にその司令部を置き、我が国の政治・経済の中枢である首都圏の防衛を担う。

 

なお、突然の余談で恐縮だが、この「佐藤真」というお名前について。

2014年の東京商工リサーチ発表資料によると、全国の社長さんでもっとも多い苗字は「佐藤」であった。

そして、名前でもっとも多いのが「誠」。

必然的に、佐藤誠が日本の社長さんでもっとも多い名前なのだが、一字違いで同音であることから、著名人の名前被りが非常に多い。

ちなみに海上自衛隊には、2017年12月20日に佐世保地方総監の重職で退役された佐藤誠(第26期)・元海将がいる他、27期にも、やまぎり艦長やはるさめ艦長を歴任された「佐藤誠」というお名前の幹部がいた。

おそらく20余万人の自衛官の中には、数百人くらいいらっしゃるのではないだろうか・・・。

難読漢字もいろいろと不便がありそうだが、高級幹部にもなると、よくあるお名前でも不便がありそうだ。

 

話を佐藤に戻す。

我が国の心臓部とも言える政治・経済の中枢を守る陸将補だけあり、そのキャリアは非常に充実しているが、中でも印象的なポストといえば、第2高射特科団長兼ねて飯塚駐屯地司令であろうか。

佐藤はこのポストを平成28年3月から務めていたが、飯塚駐屯地はその総面積が143万平方メートル、ヤフオクドーム21個分に相当する広さを誇り、九州で最大の陸自の拠点となっている。

また第2高射特科団も、北海道に所在する第1高射特科団と並び我が国で最大の高射特科部隊で、第1高射特科団が北の守りを。

第2高射特科団が南西方面の守りを担う、我が国の防空の要とも言える部隊だ。

 

そして2019年2月現在において、我が国の南西方面島嶼部における国防は、12式地対艦ミサイルと、その機能を維持するための高射特科部隊抜きにはとても語ることはできない。

高射特科部隊がかつて無いほどにその存在感を高めていることは、有事の際に我が国の陸上部隊を統括する可能性がある陸上総隊において、そのトップとNo.2を高射特科の幹部が占めていることからも明らかだ。

陸上総隊司令官は、間もなく陸上幕僚長に昇ることはまず間違いないであろう、住田和明(第28期)

そして幕僚長を務めるのも、同じ28期で同じ高射特科出身の藤田浩和(第28期)である。

(役職は共に、2019年2月現在)

 

ではなぜ今、高射特科出身幹部の存在感がそこまで高まっているのか。

それは簡単に言えば、南西方面島嶼部において有事が発生した場合、おそらくよほどのことがない限り、陸上勢力同志での少紛争に終わる可能性が高いことによる。

中国人民解放軍も、小さな島嶼部を占領するに当たり海・空の全戦力を投入し、日本と全面戦争になることは、少なくともその紛争初期では望まないだろう。

であれば自衛隊も、海空戦力の投入は後方支援に留め、上陸した敵性勢力の排除に終わらせることを企図するはずだ。

つまり、陸上自衛隊がその作戦の主力となり、ことを終わらせることができるかどうか。

それが、日中の全面戦争、ひいては第3次世界大戦に発展しないための、この地域を巡るシナリオになる。

 

この際、陸自の強力な防衛兵器となるのが、野戦特科が誇る、射程300kmと予想される12式地対艦ミサイル。

石垣島や宮古島においた拠点から、尖閣周辺に近付こうとする敵性勢力の海上部隊をピンポイントで撃滅する能力を持つ。

そしてもちろん、この小うるさい拠点を黙らせるために、中国人民解放軍はこれら基地に、空対地ミサイルなどによる攻撃で無力化しようとするであろう。

この際に、地上のユニットを護り、我が国の防衛拠点を維持する役割を担うのが、高射特科ということになる。

実際に、佐藤が団長を務めていた第2高射特科団では、間もなくとなる2019年3月、その隷下部隊にある第3高射特科群第344高射中隊を、奄美大島に開設される駐屯地に移駐させる事になっている。

南西方面島嶼部の防衛のみならず、第1列島線の内側に中国人民解放軍を封じ込めるという意味合いを含めて、この南西方面の防衛体制は非常に大きな意味を持つだろう。

これが、佐藤を含む高射特科出身幹部の存在感が今、大きくなってきていることの一つの理由ではないだろうか。

その佐藤が担う責任は非常に大きく、国民からの期待も極めて大きい。

 

では、そんな重責を担う佐藤とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

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