その佐藤が陸上自衛隊に入隊したのは平成2年3月。
1等陸佐に昇ったのが21年1月であったので、34期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
原隊(初任地)は北海道の真駒内に所在する第11高射特科大隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切っている。
(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊第6高射特科大隊公式Webサイト)
その後職種部隊では、大隊長ポストを福岡県の久留米に所在する第4高射特科大隊長で、連隊長相当ポストを長崎県の大村市に所在する第7高射特科群長で上番した。
先述のように、陸将補に昇って最初に就いたのは福岡県飯塚市に所在する第2高射特科団長だったので、佐藤はその職種部隊における主要指揮官ポストを全て、西部方面隊で経験していることになる。
このあたりも、2019年現在の我が国の安全保障環境を考えると、佐藤の存在感が大きくなってきている理由の一つと言えそうだ。
またその間、中央(陸上幕僚監部)では、班長ポストを防衛部情報通信・研究課の研究班長で、課長ポストを教育訓練部の教育訓練課長で経験。
平成29年8月からは、全軍を俯瞰し客観的に組織の状態を把握することが求められる、防衛監察本部監察官のポストも経験した。
これら豊富な現場経験と中央での役職経験を経て、30年8月に第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令の重責を担うことになった。
まさに34期のみならず、我が国を代表する最高幹部の一人であると言ってよいだろう。
では最後に、その佐藤と同期である、34期組の人事の動向について見てみたい。
34期組は、2015年に最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして2019年2月現在で、陸将補の任に在るのは以下の幹部たちだ。
荒井正芳(第34期)・自衛隊東京地方協力本部長(2015年8月)
柿野正和(第34期)・陸上幕僚監部監理部長(2015年8月)
小林弘樹(第34期)・統合幕僚監部運用部副部長(2015年8月)
橋爪良友(第34期)・陸上総隊司令部運用部長(2015年8月)
佐藤真(第34期)・第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令(2016年3月)
鳥海誠司(第34期)・陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長(2016年7月)
松永康則(第34期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)
大場剛(第34期)・第4師団副師団長(2017年8月)
※肩書はいずれも2019年2月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2018年8月以降に昇任した陸将補は期別未確認のため、追記する可能性あり。
以上のように、まずは荒井、柿野、小林、橋爪の4名が頭一つ抜けた状態にあり、第34期の最高幹部人事の中心になって行くことになりそうだ。
佐藤については、ご覧のように1選抜後期で唯一の陸将補昇任であった。
陸上自衛隊では、1選抜前期で将官に昇ることは、近い将来に陸将にも昇り、陸上幕僚長候補にも選ばれたことを直接意味する。
その意味で佐藤は、それに次ぐポジションで要職を歴任しているということになり、今後もますます、重い責任を担い続けていくことになるのは確実な幹部と言ってよいだろう。
その動向は、これから2020年代後半にかけて我が国の平和と安全を直接左右する、非常に重要な存在となっていくだろう。
ますますその活躍には注目を続け、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略
(画像提供:陸上自衛隊第6高射特科大隊公式Webサイト)
◆佐藤真(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
2年3月 陸上自衛隊入隊(第34期)
2年10月 第11高射特科大隊(真駒内)
18年3月 第4高射特科大隊長(久留米)
13年1月 3等陸佐
16年7月 2等陸佐
21年1月 1等陸佐
21年3月 幹部学校付
22年3月 陸上幕僚監部防衛部情報通信・研究課研究班長(市ヶ谷)
24年8月 第7高射特科群長(竹松)
26年3月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練課長(市ヶ谷)
28年3月 第2高射特科団長兼ねて飯塚駐屯地司令(飯塚) 陸将補
29年8月 防衛監察本部監察官(市ヶ谷)
30年8月 第1師団副師団長兼ねて練馬駐屯地司令(練馬)
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