村山勝彦は平成12年幹部任官の陸上自衛官。
平成11年4月の幹部候補生学校入校なので、防衛大学校第43期相当の幹候89期ということになる。職種は化学科だ。
平成28年3月(2016年3月) 第6特殊武器防護隊長・3等陸佐
前職は中央特殊武器防護隊隊本部3科長であった。
(画像提供:陸上自衛隊第6特殊武器防護隊公式Webサイト)
2018年12月現在、第6特殊武器防護隊長を務める村山のご紹介だ。
階級は3等陸佐だが、ぜひご紹介したい幹部、ぜひご紹介したい要職を担う幹部については積極的にご紹介したいと考えているので、取り上げさせて頂いている。
その理由の一つだが、まずは村山が一般曹候補生入隊から幹部に昇り、要職を務めていることろが大きい。
当サイトの管理人(私)が、将官に昇るようなエリート幹部だけでなく、部内から幹部に昇る叩き上げ幹部も、とても尊敬し敬愛しているからだ。
ところで部内幹部を取り上げさせて頂くに際しては、避けて通れない話題がある。
以前、慶応大学の研究所で要職を務める偉い学者さんが、雑誌プレジデントにおいて「自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由」という論稿を発表したことを、まだ記憶している人も多いのではないだろうか。
この論稿自体はいうまでもなく、極めて不見識なものであった。
組織や人を貶めるためには本来、十二分な理論武装をするべきところ、自衛隊の組織や、そもそも国家公務員の人事についても実はよく知らないんじゃないか、という内容にあふれている。
例えば、自衛隊の幹部のうち、大卒は僅か45.9%であり、大卒100%の他省庁のキャリアに比べても異常であると批判する。
なおこれは、冒頭の書き出しであり、「中央省庁のキャリア採用=幹部自衛官」と考えていることが、自衛官低学歴批判の骨子であることがよくわかる。
言うまでもないが、中央省庁のキャリアとは、各省毎年数十名程度の採用である。
一例で、財務省が毎年採用するキャリア官僚の人数は、年によって若干異なるが、20名~30名程度だ。
2017年度を例に取ると、国家公務員全体の、キャリア官僚の最終合格者数(国家公務員採用総合職試験合格者数)は、1800人余であった。
それに対し、自衛隊は防衛大学校卒業生だけでも400~500名。
防大と非防大(一般大学、部内など)の比率はおよそ1:1であったかと記憶しているので、おそらく毎年800~1000名程度が、「幹部自衛官」に任官される計算になる。
部内昇任を考えると、更にその数は膨れ上がる。
にも関わらず、「キャリア官僚=幹部自衛官」と、なんとなくのイメージで解釈し、その大卒比率を比較するなど噴飯ものであり、そもそもの「幹部自衛官」という制度そのものすら、理解していなことを自白しているようなものだ。
「幹部自衛官」には、地方隊の部署の一つで班長を務める定年間際のベテラン自衛官も当然いるが、キャリア官僚にそんな公務員が存在するわけがないではないか。
敢えて言うなら、キャリア官僚と自衛官の学歴を比較するのであれば、陸海空の「将」にあるもので比較するべきだろう。
ただそれでも、陸海空の「将」にあるものの人数は、概ね57名ほどである(2018年6月現在)。
であれば、一般に各省庁の「キャリア官僚」と比べるには、陸海空の将にあるものでも、まだ多すぎて比較対象にならない。
そのようなことを考えると、敢えてキャリア官僚と自衛隊を比べるなら、陸海空の1選抜で将に昇った最高幹部と、他省庁のキャリアがやっと比較対象になる話だ。
その上で、本当に一般省庁のキャリアと比べ、自衛官の学歴が劣る組織であるのかを検証して、同じ結果が出るというのか。
いうまでもなく、1選抜で将に昇るような幹部で、大学を出ていないものなどいない。
更に大事なことだが、自衛隊においては村山のような、一般曹候補生から現場を叩き上げ幹部になった自衛官の存在こそが、自衛隊を精強足らしめている根本と言ってよいだろう。
そこには、脆弱な机上の空論など必要ない。
難しい理屈や研究成果は、それこそ1選抜で偉くなるようなエリートが考えることであって、責任ある現場オペレーションを担う幹部に必要なのは、上滑りしない確かな現場知識だ。
エリートが必死になって知識や教養を身に着けている同じ時間を、現場を担う幹部は必死になって手足を動かし、現場の知見を身に着けて我が国の国防に貢献してきた。
これは最終学歴が大学であるか高校であるかを問題にする世界ではなく、与えられた任務に対する目的と生き方の違いに過ぎない。
にも関わらず、「自衛隊幹部が異様な低学歴集団である理由」と題して、これら現場で汗を流す自衛官の学歴を問題視する論稿を発表していたのは極めて残念なことであった。
その内容自体は、自衛隊にももっと教育を、という趣旨であるかのように読めるようまとめてはいるが、全く心が入っていない。
自衛隊を愛し、その活躍を応援するものが書いた論稿であるのかは、一見すればわかるものだ。
せめて、応援するふりをするのであれば、最低限の知識くらいは身につけてから書いて欲しいと願う。
話を村山に戻したい。
そんな曹候補生として自衛官生活をスタートさせ、佐官に昇った村山のお話だ。
その誇り高い自衛官生活とキャリアについて、少し詳しく見ていきたい。
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