陸将補人事|2019年12月・陸上自衛隊

Pocket

2019年12月、陸上自衛隊・陸将補の人事異動が防衛省から発令された。

 

今回の人事で、将官に昇った幹部は3名。

安井寛(第32期)のみ、期別がわかるが後の2名については今のところ判明しない。

明らかになれば、また加筆をしたい。

 

今回の人事では、印象深い異動がとても多かった。

もちろん、いずれの異動も一人ひとりの人生が垣間見えてどれも印象深いものばかりなのだが、敢えていくつかを挙げると、まずは我が国の国防の最前線を担う水陸機動団長の異動だろうか。

西部方面普通科連隊、日本版海兵隊と言われていた時代からあっという間に時間が流れ、早くも2代目の団長が着任することになった。

西部方面総監部幕僚副長から異動になった、平田隆則(第34期相当)である。

平田については、出身大学を記載すべき防衛省の記録では「高校卒」となっている。

つまり、夜学や通信制大学に通い幹部候補生に合格したわけではなく、高校を卒業し陸士や陸曹で入隊し、I幹部として将官になったということなのだろうか。

いくらなんでも昇任の年限から考えてそんなことがあるとは思えないので、本当に謎の経歴である。

いずれにせよ、昇任に学歴は関係ないということを体で示した、非常にレアな将官ということになりそうだ。

そしてその将官が、我が国の国防の最前線に立ち、「日本版海兵隊」を指揮する。

第3代特殊作戦群長を務めたキャリアとも相まって、その活躍が非常に楽しみだ。

 

その他、陸自屈指のイケメンであり、多くの幹部曹士から尊敬を集める野村悟(第31期)が教訓研本(教育訓練研究本部)の教育部長に着任したのも非常に印象深い。

ご存知のように、教訓研本は陸自の研究本部と幹部学校が一体となり、教育と研究を一体化させた野心的な組織だ。

その教育部長のポストということは、10年後、20年後の我が国と世界の平和を担う幹部自衛官の教育に責任を担う重責が、野村に任されたということである。

その能力やお人柄については、ただただ、いい噂しか聞いたことがない。

そういった意味でも「幹部教育の責任者」としてのポジションに着任されたことが本当に楽しみであり、今後の活躍に注目したいと思っている。

 

なお、例によってアイキャッチ画像の美しい女性は将官人事とは何の関係もない。

女性の活躍を推進する日本政府と陸上自衛隊の広報活動の一環として、2019年3月8日の「国際女性デー」に合わせて公開された、WACさんの活躍の一コマだ。

やはり災害派遣の現場が落ち着けば、筋骨隆々のヤロウよりも、優しい笑顔で子供目線のハイタッチをしてくれるWACさんの方が心癒される。

辛く厳しい現実に直面する被災者もきっと、上を向いて頑張ろうという勇気を貰えるのではないだろうか。

国民の生命と財産を守り抜く究極の現場においても、まだまだ女性が活躍できるフィールドは広がっていきそうだ。

 

その他、異動の詳細な内容は以下の通り。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊公式ツイッター

陸将補に昇任させる
(東北方面総監部人事部長)
1等陸佐 安井寛

(東部方面総監部人事部長)
1等陸佐 濵崎芳夫

(東部方面総監部防衛部長)
1等陸佐 松本英樹

 

統合幕僚監部総務部長を命ずる
(陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長)
陸将補 鳥海誠司

 

統合幕僚監部指揮通信システム部長を命ずる
(陸上自衛隊通信学校長兼久里浜駐屯地司令)
陸将補 田浦尚之

 

陸上総隊司令部日米共同部長を命ずる
(中部方面総監部幕僚副長)
陸将補 斎藤兼一

 

中部方面総監部幕僚副長を命ずる
(東北方面総監部人事部長)
陸将補 安井寛

 

西部方面総監部幕僚副長を命ずる
(陸上自衛隊教育訓練研究本部訓練評価部長)
陸将補 南川信隆

 

第4師団副師団長を命ずる兼ねて福岡駐屯地司令を命ずる
(東部方面総監部防衛部長)
陸将補 松本英樹

 

第14旅団長を命ずる
(陸上自衛隊富士学校副校長兼諸職種協同センター長)
陸将補 藤岡登志樹

 

水陸機動団長を命ずる兼ねて相浦駐屯地司令を命ずる
(西部方面総監部幕僚副長)
陸将補 平田隆則

 

第1特科団長を命ずる兼ねて北千歳駐屯地司令を命ずる
(第4師団副師団長兼福岡駐屯地司令)
陸将補 大場剛

 

陸上自衛隊富士学校副校長を命ずる兼ねて諸職種協同センター長を命ずる
(水陸機動団長兼相浦駐屯地司令)
陸将補 青木伸一

 

陸上自衛隊通信学校長を命ずる兼ねて久里浜駐屯地司令を命ずる
(東部方面総監部人事部長)
陸将補 濵崎芳夫

 

陸上自衛隊教育訓練研究本部教育部長を命ずる
(陸上総隊司令部日米共同部長)
陸将補 野村悟

 

陸上自衛隊教育訓練研究本部訓練評価部長を命ずる
(第1特科団長兼北千歳駐屯地司令)
陸将補 片岡義博

 

(以上、2019年12月20日付)

防衛省発表資料

https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2019/1213b.pdf

Pocket

8件のコメント

初めまして。いつも楽しく拝見させていただいてます。

平田将補についてはおそらくですが、高校卒業(もしくは大学中退)後、(社会人を経てかは不明ですが)陸士として自衛隊へ入隊。その後一般幹部候補生(部外)合格かと思われます。
現在自衛官である場合、一般幹部候補生(部外)(部内部外と言うことがあります)の受験資格が年齢制限のみ(大卒程度の学力という制限が撤廃)になります。
ただしその場合でも試験自体は大学生らと同様のものを受ける上、部内部外は各都道府県ごとに合格者数が制限されるため、基準さえ満たせばある程度の数が採用される一般の受験者と違い、より熾烈な枠の奪い合いになる場合もあります。
自分も同じ枠で高卒で受験しましたが、大卒の方に負けない知識量を勤務しながら身に着けないといけないため、半端な努力では1次試験すら通りません。
そんな中、将官までのぼりつめた方がいることを知れて、大いなる励みになりました。

自分もいつかこのサイトで紹介されるような幹部になれたらと思います。

おの様

とても嬉しいコメントをありがとうございました!
なるほど、平田将補の時代には既に、大卒程度の学力という制限が撤廃になっていたのですね。
詳細は存じ上げませんが、本当に狭き門をくぐって将官に昇任されたことがわかって、改めてその活躍ぶりを応援したい思いでいっぱいです。

おの様もぜひ、平田将補に続いて下さい!
ぜひ、おの様をご紹介できる光栄な日が来ることを、楽しみにお待ちしています。
ありがとうございました!

今回の水陸機動団の団長の交代で団長と副団長がなんと平田コンビの誕生になっていますね。それはそうと高卒後に自衛隊に入隊で陸将補ってかなりのエリートですよね。陸士から一等陸佐になっている人もいますが、将官になるなんてホントレア(と言うより激レア?)な指揮官だと思います。

おぉ、そう言えばW平田ですね!
激レアどころの騒ぎじゃないと思います。
陸自の歴史でも、数えるほどしかいないんじゃないでしょうか。
すごいことだけに、なかなか記事にできていません。。
どう表現すれば良いんだ
(´・ω・`)

補足ですが「高校卒」については、
・高卒→曹士(民間企業)→一般幹候受験
・大学中退→一般幹候受験
・大学中退→曹士→一般幹候受験
の3パターンが考えられます。
「大卒程度」とありますがその程度の学力があれば良いだけで、大卒資格は必須ではありません。
昔は知りませんが、現在は部内から部外受験でも枠とか制限はなく、他の一般大学生と全く同じ土俵で勝負することになります。(部内からの方が年齢制限が緩和されます)
また、公務員試験の中ではかなり難易度が低いので、
場馴れで受けて合格
→単位不足で卒業できず他の公務員の採用取り消し
→留年するわけにもいかず自衛隊へ
といった流れが一定数います。

ちなみに海だと俗称では部内A幹と呼びますが、部隊で最初に多少珍しがられる程度で公式には何の区別もありません。

3パターン目の通りすがりより

おぉ、ありがとうございました!
どうやら、高校卒業後にダイレクトに自衛隊に入隊しているそうです。
部内曹士から幹候のようですね。

おの へ返信するコメントをキャンセル