2020年10月、陸上自衛隊1佐・1佐職の人事異動が防衛省から発令された。
・・・発表された。
がしかし、この件数の少なさはさすがに悩ましい。
医官の異動2件を含め、3件の発令だけである。
一体何を書こうかと一瞬迷ったのだが、武官で唯一の異動である村田秀将・1佐。
恐らく今年の夏まで、エチオピアの防衛駐在官を務めていた人ではないか。
陸自では特別な事情がない限り余り動かない時期の異動で、しかも付人事から教訓研本への異動人事なので、一瞬何かをやらかしたのかと思ってしまった・・・。
なんのことはない、防衛駐在官を務めていた人が帰国後、数ヶ月ほど配置される、よくある人事であった。
ちなみに村田1佐。
エチオピアに赴任する前の平成27年には恐らく、南スーダンにも半年間ほど赴任していたはずである。
記憶に新しい人も多いと思うが、いろいろなことがあった、あの自衛隊南スーダン派遣だ。
ソレについて触れたらいろいろと腹が立つので割愛し、村田1佐について。
南スーダンから戻って間もなくして、エチオピアに3年間赴任しこの夏に帰ってきたばかりであれば、本当にこの4~5年ほどは、尋常じゃない忙しい日々を送られてきたのではないだろうか。
というか、日本で落ち着いて家族と過ごした時間など、ほとんどないのではないだろうか・・・。
まったくもって、幹部自衛官という仕事は過酷そのものだ。
かつて、ある記念行事で立ち話をする機会をもらった元陸将は、私にこんなことを話してくれたことがある。
「幹部自衛官にとって最初に求められる心構えのひとつに、ノブレス・オブリージュがあります。」と。
ご存知のようにノブレス・オブリージュは「高貴なる者の務め」とも訳される、上に立つ宿命を背負った人間に求められる覚悟だ。
上に立つものは、どれだけ誠実に任務を務めても、どれだけ成果をあげようとも、それを理解しようともしない人たちから理不尽な批判を浴びることも少なくない。
こと、自衛隊・自衛官という存在に対しては、戦後、本当に長い間、理不尽極まりない扱いが長く続いた。
そんな時代、吉田茂・元首相の言葉を心の支えに、そしてノブレス・オブリージュを課された立場として、ただただ黙々と、多くの自衛官の皆さんが任務を完遂し続けてきた。
その事実だけで、私のような中途半端に生きている人間は心が熱くなり、心からの敬意と感謝を申し上げたくなる。
そして村田1佐のこの異動もまさに、国防と世界平和のために人生を捧げることを求められる幹部自衛官のキャリアそのものではないかと。
このひっそりとした人事異動から、そんな思いを改めて感じている。
ただただ、敬意と感謝しか無い。
ぜひ、当ブログを読んでくださっている、自衛隊を愛し応援してくれている読者の皆様にも改めて、そんなことに思いを馳せて欲しいと願っている。
なお、例によってアイキャッチ画像の美しい女性は人事異動とは何の関係もない。
第2高射特科大隊に所属し、日々、北の大地で厳しい任務に励んでくれている、田村みなみ・1等陸士だ。
戦闘服もとても似合っているが、制服もとても似合うものすごい美人さんである。
っていうか、こんな美人さんが隊にいたら、オジサンとても任務に集中できません・・・。
若手男性隊員は、昔と違い本当に大変である。。
その他、詳細な異動内容は以下の通り。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊北部方面隊公式webサイト)
自衛隊中央病院第3外科部長の兼補を解く
(自衛隊中央病院第5外科部長兼第3外科部長)
1等陸佐 宇都宮勝之
自衛隊中央病院第3外科部長を命ずる
(自衛隊中央病院第1外科)
1等陸佐 吉田一路
(以上、2020年10月1日付)
防衛省発表資料
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1001a.pdf
陸上自衛隊教育訓練研究本部勤務を命ずる
(陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部付)
1等陸佐 村田秀将
(以上、2020年10月12日付)
防衛省発表資料
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2020/1012a.pdf
お茶汲み三佐になったばかりの幕勤務の倅が言うには
「命(めい)のまま」 命令の通り
言い渡された辞令が全て だそうです
つくづく因果な商売
ご子息様が幕勤務をされているのですね!
本当に、お疲れさまです。
確かに、厳しいご商売ですね・・・。
(´・ω・`)