陸軍衛生伍長であった伊藤甲子美 命は愛知県北設楽郡名倉村出身。
昭和19年7月18日、マリアナ諸島にて戦死。
享年26歳。
結婚して間もない季代子夫人のことを最後まで気にかけ、自らの戦死の後は新しい伴侶を求め幸せになるよう、最後の手紙にしたためている。
佳き同伴者を求めてください
季代子、かう呼びかけるのが最後になりました。
短かったけれど優しい妻でした。有難く御礼を申し上げます。
折角、永遠の誓ひを致しながら、最後になりますのは何かしら心残りですけれど、陛下の御楯として果てる事は私にとりましても光栄と存じます。
短い生活で、もう未亡人と呼ばれる身を偲ぶとき申訳なく死にきれない苦しみが致しますが、すでに覚悟しての事、運命として諦めて頂きたいと思います。
若き身空で未亡人として果てる事は決して幸福ではありませんから、佳き同伴者を求めて下さい。
私は唯幸福な生活をして頂けますれば、どんな方法を選ばれませうとも決して悲しみません。
どうぞ御健やかに御活し下さいます様お祈り致してゐます。
さやうなら
昭和十九年五月三日
季代子様
伊藤甲子美
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