三重県出身の海軍少尉であった服部壽宗 命は神風特別攻撃隊・菊水部隊天櫻隊の一員として出撃。
昭和20年4月16日、南西諸島方面において敵艦に突入し散華された。
最愛の妹に充てた出撃前夜の遺書が、今も遺されている。
兄は桜の木に咲いている
節子殿
兄は神風特別攻撃隊の一員として明日敵艦と共に、わが愛機雷撃機天山に特攻用爆弾を抱きて命中、男一匹玉と砕けるのだ、最後にのぞみ一筆書遺し置くことあり。
節子も今では立派な可愛い女学生となつたことであらう。
兄は節子の女学生姿が見られずに死んでいくのが残念だ。
節子も光輝ある服部家の一女子だ。
兄の一人ぐらゐが死んだとて何も悲しみなげく事はない。
兄は喜んで天皇陛下の為、重大危機に直面して居る日本の為、一億國民の楯となつて散って行くのだ。
少しも悲しまずに笑つて兄の魂を迎えて呉れ。
兄は常に九段の杜の櫻の木の枝に咲いて居る。
裏の元屋敷の櫻の木にも咲きますよ。
櫻が咲いたら兄だと思つて見て下さい。
さやうなら。母上を御願ひ致します。
出撃前夜
兄
親愛なる妹 節子殿
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