小瀬幹雄（こせ・みきお）｜第30期相当・陸上自衛隊

Pocket

その小瀬が陸上自衛隊に入隊したのは昭和61年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成17年1月だったので、30期組1選抜（1番乗り）となるスピード出世だ。

陸将補に昇ったのは25年8月であり、長きに渡り施設科の幹部として指揮を執った。

（画像提供：陸上自衛隊第5旅団公式Webサイト）

職種部隊のキャリアを見ると、原隊（初任地）は滝ヶ原駐屯地に所在する第110施設大隊。

中隊長は古河に所在する第1施設大隊で、連隊長相当ポストは小郡の第9施設群長で、陸将補に昇任後の最初のポストでは第1施設団長兼ねて古河駐屯地司令に着任し、さらに後職で施設学校長兼ねて勝田駐屯地司令にも上番している。

また、施設科出身の幹部としてはやや珍しい気がするが、平成28年7月からは九州補給処長兼ねて目達原駐屯地司令を務めているのも印象的なキャリアだ。

その間、幕僚やスタッフのポジションでは研究本部研究員、研究本部主任研究開発官と研究畑の任務を任された他、中央（陸上幕僚監部）では、防衛部防衛課、運用支援・情報部を経て、班長ポストを人事計画課制度班長で、課長ポストを厚生課長で務めている。

また、若き2等陸佐であった平成13年からは、米国海兵隊の指揮幕僚大学に留学している他、平成18年1月からイラク復興業務支援隊長としてサマーワに渡ったことは、先述のとおりだ。

そして平成29年12月、西部方面総監部幕僚長兼ねて健軍駐屯地司令を務めた後に、後職として令和元年8月から、第5旅団長として活躍している。

まさに、東大出身という「英才」を存分に発揮し、厳しい現場で常に結果を出し続けてきた最高幹部の一人であると言ってよいだろう。

では最後に、その小瀬と同期である30期組の人事の動向について見てみたい。

30期組は、既に1選抜の陸将が出揃っており、同期の陸上幕僚長候補という意味では絞り込みが終わっている。

そして2019年11月現在、その候補者たる30期組の陸将にある幹部は、以下の通りになっている。

吉田圭秀（第30期相当）・北部方面総監（普通科出身・2017年8月）

小野塚貴之（第30期）・東部方面総監（施設課出身・2017年8月）

野澤真（第30期）・中部方面総監（野戦特科出身・2017年8月）

髙田祐一（第30期）・富士学校長（普通科出身・2017年8月）

田中重伸（第30期）・教育訓練研究本部長兼目黒駐屯地司令（航空科出身・2017年12月）

大庭秀昭（第30期）・第1師団長（普通科出身・2019年8月）

鈴木直栄（第30期）・第10師団長（野戦特科出身・2019年4月）

※肩書はいずれも2019年11月現在。（　）は陸将昇任時期。

以上のようになっており、30期組は吉田、小野塚、野澤、髙田の4名が、極めて近い将来の陸幕長候補と言うことになるだろう。

中でもおそらく、大本命として陸自内外から期待を集めているのは、おそらく高田であろうと予想している。

次の次の陸上幕僚長候補として、内局はもちろん、政治家サイドでも強く意識されている存在ではないだろうか。

小瀬については、旅団長ポストを務めた最高幹部の慣例として、後職では陸将に昇り、師団長に着任するのが慣例である。

ただ、30期組という年齢や、近年の陸自の人事の動向を考えると、おそらく第5旅団長のポストを最後に、退役となる可能性も高いのではないだろうか。

なお管理人（私）の人事予想は、当たらないことで有名である。

つまり、小瀬は後職で陸将に昇る可能性が高いと・・・

うーむ、こう書いたら何がなんだかわからなくなる。。

いずれにせよ、小瀬をはじめとした30期組は今まさに、我が国と世界の平和に最も重い責任を担っている世代だ。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

（画像提供：陸上自衛隊第5旅団公式Webサイト）

◆小瀬幹雄（陸上自衛隊）　主要経歴

昭和
61年3月　陸上自衛隊入隊（第30期相当）
62年3月　第110施設大隊（滝ヶ原）

平成
5年3月　第1施設大隊中隊長（古河）
7年8月　内局防衛局（外務省出向）（檜町）
9年1月　3等陸佐
9年8月　陸上幕僚監部防衛部（檜町）
12年7月　2等陸佐
13年3月　中央資料隊付（米国海兵隊指揮幕僚大学留学）
14年8月　陸上幕僚監部防衛部防衛課（市ヶ谷）
17年1月　1等陸佐
17年3月　陸上自衛隊研究本部研究員（朝霞）
17年10月　陸上幕僚監部防衛部付
18年1月　第5次イラク復興業務支援隊長（イラク）
18年7月　陸上幕僚監部運用支援・情報部付
18年12月　陸上幕僚監部人事計画課制度班長（市ヶ谷）
20年8月　第9施設群長（小郡）
23年4月　陸上自衛隊研究本部主任研究開発官（朝霞）
23年8月　陸上幕僚監部厚生課長（市ヶ谷）
25年8月　第1施設団長兼ねて古河駐屯地司令（古河）　陸将補
26年12月　陸上自衛隊施設学校長兼ねて勝田駐屯地司令（勝田）
28年7月　陸上自衛隊九州補給処長兼ねて目達原駐屯地司令（目達原）
29年12月　西部方面総監部幕僚長兼ねて健軍駐屯地司令（熊本）