河合龍也(かわい・たつや)|第32期・陸上自衛隊

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河合龍也は昭和39年11月24日生まれ、兵庫県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第32期の卒業で幹候69期、職種は普通科だ。

 

平成29年12月(2017年12月) 自衛隊香川地方協力本部長・1等陸佐

前職は普通科教導連隊長兼ねて滝ヶ原駐屯地司令であった。

 

2018年5月現在、自衛隊香川地方協力本部長を務める河合だ。

全国に設置されている地方協力本部の一つで、自衛官の採用から退職後の就職の斡旋といった自衛官の出入り口としての役割はもちろん、イベントを通じて自衛隊に対する理解を深め、また自衛隊のノウハウを活用し地域に貢献する活動も行う責任者である。

早い話が、自衛隊と「外の世界」を繋ぐ架け橋であり、平時においては自衛隊の最前線と言っても良い重要なポストの指揮官だ。

自衛官にとっては、仕事として民間企業や民間人と接する数少ない補職の一つであり、そのポストには自衛官としての能力の高さだけでなく、コミュニケーション能力や人間的な魅力も要求される。

 

そんな仕事を任されている河合だが、その陸上自衛官としてのキャリアの中で印象的な仕事は、やはり普通科教導連隊長兼ねて滝ヶ原駐屯地司令のポストだろうか。

河合はこのポストで、陸自史上初となる大仕事をやり遂げている。

史上初の、ナンバー中隊への女性隊員の配属だ。

そして、その女性隊員の名は森川友紀子・陸士長。

なおナンバー中隊とは、陸上自衛隊において「第1中隊」「第2中隊」などと数字が割り当てられている部隊のことを指し、一般的な軍隊で言うところの歩兵中隊である。

地上戦闘では中心的な役割を果たし、敵性勢力の最終的な制圧や、逆に味方となる各種兵科の護衛を担うなど、この部隊の存在なしではまともな作戦行動の遂行などまず覚束ない。

 

しかしその一方で、いったん戦闘が生起すればもっとも激しい損耗が予想される兵科であり、また何よりも、行軍訓練や掩体(えんたい)構築訓練など、体力自慢の男性でも音を上げる部隊である。

そのため、これまで女性隊員が配属されることが無かったのだが、2017年6月19日、彼女が配属されたことで自衛隊の歴史が変わった。

「女性の活躍」が盛んに推奨される自衛隊であり、女性初の艦長や女性初の将官と言った大きな出来事ばかりがどうしても話題になるが、森川陸士長の”史上初”も、まったく遜色ない大きな快挙である。

そして、そのような”史上初”を指揮し、連隊長として問題が無い運用を成し遂げた河合の功績も、やはりとても大きい。

森川士長と共に、河合が成し遂げた自衛隊初の金字塔であった。

 

なお余談だが、森川士長は平成29年度に行われた、第21回全自衛隊陸上競技大会において、女子3000mの部で全国優勝している。

自衛隊体育学校など、スポーツで成果を挙げることで貢献する女子隊員なども多い中で、普通科隊員からの堂々の優勝だった。

そして、そのタイムは10分19秒。

この記録は、例えば2017年に行われたインターハイ女子3000mで、全国から勝ち抜いてきた女子選手たちと十分戦うことができるタイムだ。

まして陸上中長距離の女子選手は、上半身の筋肉を絞り軽量化してタイムを狙う中、上半身や両腕を含めてとても筋肉質な体を作り上げている森川士長のタイムとしては、驚異的な数字である。

ヘタしたら、このまま第一空挺にも行ってしまうのではないだろうか・・・

 

やはり、史上初を成し遂げる女性たちはどこか、規格外の力を持ち合わせている凄い人たちばかりだ。

 

さて次に、そんな”史上初”を指揮した河合と、同期である32期の動向について見てみたい。

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