大場昭彦(おおば・あきひこ)|第38期・中央輸送隊長

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その大場が陸上自衛隊に入隊したのは平成6年3月。

1等陸佐に昇ったのが19年7月であったので、1選抜後期(1番手グループ)となるスピード昇任だ。

原隊(初任地)は、春日市の福岡駐屯地に所在する第4後方支援連隊の輸送小隊長であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切っている。

(画像提供:陸上自衛隊第10師団公式Webサイト

職種部隊歴を見ると、東部方面輸送隊の第102輸送業務隊運用訓練幹部を経て、平成28年12月には東部方面輸送隊長に上番。

中央(陸上幕僚監部)でのキャリアも長く、装備部装備計画課後方計画班の見積係、装備部輸送室総括のグループ長などを経て、班長ポストは装備計画部の輸送室長で着任した。

また統合幕僚監部でも、防衛計画部計画課計画班の構想・事業係を経験している。

幕僚やスタッフとしては、富士学校の管理部輸送課輸送班長、輸送学校の教育部教官、第2師団司令部では第4部長に着任するなど、各地で要職を歴任した。

そして平成31年4月、陸上自衛隊中央輸送隊長兼ねて横浜駐屯地司令に上番し、陸上自衛隊の物流にかかる、極めて重い責任を担うポストを任されている。

陸自大改革を担う、極めて重要な幹部自衛官の一人であると言ってよいだろう。

 

なお、その中央輸送隊は、陸自大改革が実施された2018年3月に、それまでの中央輸送業務隊から中央輸送隊へと組織が改変されている。

そして各地の方面隊隷下に在った方面輸送隊(輸送業務隊)を中央輸送隊の方面分遣隊として収容した。

有事の際は、兵站業務を含めてあらゆる戦闘単位は方面総監の指揮下にあるべきと考えられていたこれまでの陸自の運用であったが、これからはますます、一元的な統合任務に収斂していくのではないだろうか。

その最初の組織改編としての中央輸送隊の組織強化となったわけだが、恐らくこの動きは全国に所在する補給処もやがて、補給統制本部の直轄になる組織改革の第一歩になるだろう。

いろいろな意味で後方支援職種、とりわけ輸送と補給機能など兵站能力の強化が、我が国の喫緊の課題となっていきそうだ。

 

では最後に、その大場と動機である38期組の人事の動向について見ていきたい・・・と言いたいところだが、38期組は2019年夏の将官人事で、最初の陸将補が選抜される予定の年次だ。

そのため2019年4月現在では同期のご紹介は割愛し、また将官人事が発令されてから加筆をしたいと思う。

 

大場については、今後ますます重要になる輸送科と兵站の現場において、重い責任を担っていくことは間違いないだろう。

その活躍は陸自大改革の成否そのものであり、ぜひ注目して欲しい幹部の一人だ。

いずれにせよ、38期組は2030年頃にかけて、我が国の安全保障を担う中心世代である。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第10師団公式Webサイト

◆大場昭彦(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
6年3月 陸上自衛隊入隊(第38期)
7年3月 第4後方支援連隊輸送小隊長
10年3月 富士学校管理部輸送課輸送班長
13年3月 輸送学校教育部教官
15年3月 東部方面輸送隊第102輸送業務隊運用訓練幹部
16年8月 幹部学校付・指揮幕僚課程学生
18年8月 輸送学校教育部教官
20年8月 陸上幕僚監部装備部装備計画課後方計画班見積係
22年8月 統合幕僚監部防衛計画部計画課計画班構想・事業係
24年8月 幹部学校付・幹部高級課程学生
25年7月 1等陸佐
25年8月 第2師団司令部第4部長
27年4月 陸上幕僚監部装備部輸送室総括グループ長
27年10月 陸上幕僚監部装備計画部輸送室総括グループ長
28年12月 東部方面輸送隊長
29年12月 陸上幕僚監部装備計画部輸送室長
31年4月 陸上自衛隊中央輸送隊長兼ねて横浜駐屯地司令

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