その山﨑が陸上自衛隊に入隊したのは、平成15年3月。
自衛官としてのキャリアは16年であり、今まさに自衛隊の現場を支える中堅幹部である。
これからさらに重い責任を背負っていくことは確実な幹部であるが、これまでのところをざっと見ていきたい。
(画像提供:陸上自衛隊公式ツイッター)
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
山﨑の原隊は、頭号師団(第1師団)隷下にあり、静岡の駒門駐屯地に所在する第1高射特科大隊。
その後、姫路に所在する第3高射特科大隊で経験を積むと、平成24年8月には陸自幹部試験の最難関の一つであり、高級幹部への登竜門であるCGS(指揮幕僚課程)に合格する。
CGSを修了した幹部は、大きな事故がない限り1佐までの昇任はほぼ約束されているので、山﨑もまた47期(女子8期生)注目のエリートであると言ってよいだろう。
とはいえ、山﨑が1佐に昇るころにはおそらく、女子1期生の弥頭陽子(第40期)を始め、多くの女性将官が誕生しているかも知れない頃合いだ。
おそらくその頃にはニュースにもならないほどに、女性の指揮官はまるで珍しいものではなくなっているのではないだろうか。
なお山﨑についてその後、中隊長ポストは第8高射特科群中SAM中隊で経験。
中央(陸幕)では人事系の部署で経験を積んだ後に、平成30年8月から第8高射特科大隊長に着任し現在に至る。
先述のように、第8高射特科大隊は最新の防空システムである11式短距離地対空誘導弾が配備されている部隊だ。
これが意味するとことは、沖縄及びその離島で有事が発生した際には、第8師団が直ちに同地域に駆けつけ、第15旅団と連携して防衛拠点を確保し、反撃に出る計画であることを示唆している。
そしてこの際に、我が国の防衛の切り札ともなるのが、12式地対艦ミサイルであり、それを運用する野戦特科部隊となる。
詳細はこちらのコラム、
防衛省・自衛隊の沖縄新ミサイル基地建設 本当の目的はどこにあるのか
で詳述しているので割愛するが、要するに陸自は、海空自衛隊では対応できないあらゆる海上勢力に対し、非常に有効で効果的な攻撃力と抑止力を有しているということだ。
しかしその切り札である12式地対艦ミサイルを運用する部隊は、敵性勢力からの攻撃に晒されることなく、健在で有り続けなければもちろん意味がない。
言い換えれば、我が国が直面する現実的な驚異に対し、国防の根幹とも言える防衛力を発揮する必要があるのが、第8高射特科大隊であり山﨑であるということだ。
そう言った意味でも、山﨑が担うのは、我が国の平和そのものとも言える非常に大きな任務である。
ぜひ、そう言った理解で、この第8高射特科大隊に注目して欲しい。
では最後に、47期組の人事の動向を・・・と言いたいところであるが、47期組は1選抜で1等陸佐に昇るのが2022年となる年次だ。
そのため2018年9月現在では、1選抜でも2等陸佐であり、その数はとても多いことからご紹介は割愛したい。
いずれにせよ、47期組は2018年を起点に、この先20年に渡り我が国の国防を中心になって担っていく世代となる。
そしてそのエースの一人である山﨑のご紹介であった。
その活躍は今後とも楽しみに注目を続け、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略
(画像提供:陸上自衛隊第8師団公式Webサイト)
◆山﨑麻由(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
15年3月 陸上自衛隊入隊(第47期)
16年3月 第1高射特科大隊(駒門)
21年3月 第3高射特科大隊(姫路)
24年8月 幹部学校(58期CGS)(目黒)
26年8月 第8高射特科群中SAM中隊長(青野ヶ原)
28年8月 陸幕人事計画部(市ヶ谷)
29年3月 陸幕人事教育部(市ヶ谷)
30年8月 第8高射特科大隊長
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