陸将補人事|2019年8月・陸上自衛隊

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2019年8月、陸上自衛隊・陸将補の人事異動が防衛省から発令された。

 

今回の人事で、1選抜で将官に昇るのは第38期組である。

新たに陸将補を任されることになった幹部は8名だが、通例ではこのうちの4名が38期のはずだ。

今のところ、第4地対艦ミサイル連隊の中隊長や第9特科連隊長などの要職を歴任し、陸幕の装備計画部装備計画課長から陸将補に昇任した栁裕樹(第38期)が、1選抜昇任組であることは把握しているものの、後の3名はわからない。

こちらは判明次第、またご紹介していきたいと思う。

 

その他の異動では、実は誰も気が付かないであろうコッソリとした「事実上、史上初」の人事が一つ、行われている。

小瀬幹雄(第30期相当)の、第5旅団長着任についてだ。

小瀬は昭和61年3月、東京大学を卒業し幹部候補生として陸上自衛隊に入隊しているのだが、実はこれで、第5旅団長は第8代である正木幸夫(第28期相当)、第9代である堀井泰蔵(第32期相当)に続き、第10代である小瀬と、3代連続して一般大学の卒業生が着任する。

これは、第5旅団の前身である第5師団の時からカウントしても戦後初であり、師団・旅団単位の指揮官が3代連続して一般大学出身者となるのも事実上、史上初だ。

 

なお、「事実上、史上初」というからには、0であったわけではない

実は1980年代、自衛隊マニアであればご存知だと思うが、陸上自衛隊に限らず自衛隊は、「人事の空白期間」を経験している。

すなわち、旧軍出身者で戦前の陸士などを卒業し、戦後自衛官になった幹部が1980年代に次々に定年退官を迎えたのだが、その時はまだ、防衛大学校1期生は陸将になる年次を迎えていなかった。

そのため、1980年代前半から後半にかけては、陸上幕僚長、各地の方面総監クラス、師団指揮官クラスが全て一般大学の卒業生で占められていたことがある。

さすがにこの時期は、第2・第4師団などで3代連続して一般大学卒業生が師団長に着任しているが、もちろんその後、防衛大学校卒業生が次々に陸将に昇るようになり、以降そのような人事は一度も行われていない。

決して一般大学卒業生が出世に不利というわけではないのだが、やはり一般大学の卒業生が3代連続して、師団・旅団編成の組織でトップに就くのは相当異例のことである。

今回、小瀬の第5旅団長着任でそのような「記録」が生まれた。

ぜひ、そんな意味でも小瀬の活躍には注目して欲しい。

 

ちなみに、一般大学卒業生と出世の関係は、以下の記事でも詳しく触れているのでまた興味があれば、ぜひ目を通して欲しい。

【自衛官の出世と給料】一般大学卒業生は自衛隊で出世できない、は本当か

 

なお、例によってアイキャッチ画像の美しい女性は将官人事とは何の関係もない。

2018年9月に北富士演習場で開催された新隊員特技課程修了検閲において、FH-70を扱う若く美しい女性隊員をご紹介する一コマだ。

野戦特科のこんな大火力を扱う現場にも、今やこんなにたくましい女性が配属されているなんて。。

防衛大学校が男子にしか入学を認めない価値観の時代に高校時代を過ごしたオッサン(管理人)には、実に新鮮なのである。

 

その他、異動の詳細な内容は以下の通り。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式フェイスブック

陸将補に昇任させる
(防衛大学校防衛学教育学群統率・戦史教育室長)
1等陸佐 大橋智

(陸上幕僚監部監理部総務課庶務室長)
1等陸佐 江頭豊一

(陸上幕僚監部人事教育部補任課長)
1等陸佐 岸良知樹

(陸上幕僚監部防衛部防衛課長)
1等陸佐 浅賀政宏

(陸上幕僚監部装備計画部装備計画課長)
1等陸佐 栁裕樹

(北部方面総監部人事部長)
1等陸佐 七嶋剛士

(自衛隊熊本地方協力本部長)
1等陸佐 濱田博之

(情報本部)
1等陸佐 池田孝一

 

統合幕僚監部運用部副部長を命ずる
(北部方面総監部幕僚副長)
陸将補 井土川一友

 

統合幕僚監部報道官を命ずる
(自衛隊熊本地方協力本部長)
陸将補 濱田博之

 

陸上幕僚監部監理部長を命ずる
(陸上自衛隊教育訓練研究本部研究部長)
陸将補 德永勝彦

 

陸上幕僚監部防衛部長を命ずる
(自衛隊東京地方協力本部長)
陸将補 荒井正芳

 

陸上幕僚監部装備計画部長を命ずる
(統合幕僚監部運用部副部長)
陸将補 小林弘樹

 

陸上幕僚監部法務官を命ずる
(北部方面総監部人事部長)
陸将補 七嶋剛士

 

陸上総隊司令部運用部長を命ずる
(中部方面総監部幕僚副長)
陸将補 坂本雄一

 

北部方面総監部幕僚長を命ずる兼ねて札幌駐屯地司令を命ずる
(陸上幕僚監部監理部長)
陸将補 柿野正和

 

北部方面総監部幕僚副長を命ずる
(情報本部)
陸将補 池田孝一

 

中部方面総監部幕僚副長を命ずる
(第7師団副師団長兼東千歳駐屯地司令)
陸将補 斎藤兼一

 

西部方面総監部幕僚長を命ずる兼ねて健軍駐屯地司令を命ずる
(陸上総隊司令部運用部長)
陸将補 橋爪良友

 

西部方面総監部幕僚副長を命ずる
(陸上自衛隊富士学校普通科部長兼諸職種協同センター副センター長)
陸将補 堺一夫

 

第7師団副師団長を命ずる兼ねて東千歳駐屯地司令を命ずる
(陸上幕僚監部装備計画部装備計画課長)
陸将補 栁裕樹

 

第9師団副師団長を命ずる兼ねて青森駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊施設学校長兼勝田駐屯地司令)
陸将補 腰塚浩貴

 

第10師団副師団長を命ずる兼ねて守山駐屯地司令を命ずる
(防衛大学校防衛学教育学群統率・戦史教育室長兼防衛大学校教授)
陸将補 大橋智

 

第5旅団長を命ずる
(西部方面総監部幕僚長兼健軍駐屯地司令)
陸将補 小瀬幹雄

 

第3施設団長を命ずる兼ねて南恵庭駐屯地司令を命ずる
(陸上幕僚監部防衛部防衛課長)
陸将補 浅賀政宏

 

陸上自衛隊開発実験団長を命ずる
(陸上幕僚監部監理部総務課庶務室長)
陸将補 江頭豊一

 

陸上自衛隊富士学校普通科部長を命ずる兼ねて諸職種協同センター副センター長を命ずる
(第3施設団長兼南恵庭駐屯地司令)
陸将補 遠藤充

 

陸上自衛隊富士学校機甲科部長を命ずる兼ねて諸職種協同センター副センター長を命ずる
(西部方面総監部幕僚副長)
陸将補 前島政樹

 

陸上自衛隊施設学校長を命ずる兼ねて勝田駐屯地司令を命ずる
(防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理総括官)
陸将補 鵜居正行

 

陸上自衛隊武器学校長を命ずる兼ねて土浦駐屯地司令を命ずる
(陸上自衛隊関東補給処副処長)
陸将補 六車昌晃

 

陸上自衛隊輸送学校長を命ずる
(第9師団副師団長兼青森駐屯地司令)
陸将補 源弘紀

 

陸上自衛隊教育訓練研究本部研究部長を命ずる
(防衛監察本部監察官)
陸将補 上野和士

 

陸上自衛隊関東補給処副処長を命ずる
(第10師団副師団長兼守山駐屯地司令)
陸将補 池田頼昭

 

自衛隊東京地方協力本部長を命ずる
(陸上幕僚監部人事教育部補任課長)
陸将補 岸良知樹

 

防衛監察本部監察官を命ずる
(陸上自衛隊富士学校機甲科部長兼諸職種協同センター副センター長)
陸将補 武田敏裕

 

防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理総括官を命ずる
(陸上自衛隊開発実験団長)
陸将補 叶謙二

 

防衛装備庁調達事業部調達総括官を命ずる
(陸上自衛隊武器学校長兼土浦駐屯地司令)
陸将補 眞弓康次

 

退職を承認する
(陸上幕僚監部法務官)
陸将補 坂本知司

(陸上自衛隊輸送学校長)
陸将補 馬場邦夫

(自衛隊中央病院第1歯科部長)
陸将補 津野田亮

(防衛装備庁調達事業部調達総括官)
陸将補 内田雄三

 

(以上、2019年8月23日付)

防衛省発表資料

https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2019/0808b.pdf

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6件のコメント

今回の陸将補の中で38期1選抜の昇任は栁陸将補の他に岸良・浅賀両陸将補だと判明しました(岸良将補は東京地本のHPに経歴が載っています)。その他判明しているのは大橋将補(35期)、江頭・七嶋両将補(34期)、濱田将補(32期相当)で、唯一池田孝一将補だけどこにも見当たりませんでした。

それと第5旅団は3代続けて非防大卒の旅団長が就きましたね。これを非防大にもさらに門戸を開くと見るか道東を軽視していると見るか見極めが難しいですね。でもさすがに北方領土から近い部隊なので軽視されては困りますがね。後、現団長の小瀬将補と前団長の堀井陸将はまさに入れ替えって感じでかなり飛ばされましたね。

となると次は来年8月の陸将昇任が有力である富樫・末吉両将補の次の任地ですね。仮に師団長となったら富樫将補は第6師団で末吉将補は第9師団がいいなと思いますね。富樫将補は地元勤務になるし、末吉将補は東日本大震災の復興の際第21普通科連隊長として釜石市などの復興支援に当たっていて9師団は釜石の担任区なので顔も知られているので適任かと思いますが、陸幕とかはどう判断するんでしょね。

のりまきさん!
いつもながら凄い情報網ですね・・・
その公開情報、どこで手に入れたのか正直教えて欲しい(笑)

出所は大体はWikipediaの部隊の歴代指揮官のの所に載っています。濱田将補は統合幕僚監部HPからで大橋将補は異動前の防大教職員名簿の教育学群に載っていましたが、異動によって削除されました。ちなみに情報は大体HPか気になった情報は過去の新聞での検索くらいでしょうか。

おぉ~、ありがとうございます!
これは公式情報として当てにして良さそうですね!
感謝します。

わかめさん、情報ありがとうございます。防大同窓会にあったのは完全に見落としでした。防衛省の異動の陸将補昇任者に池田陸将補が一番下だったので38期ではないかと思っていたら38期で1選抜ですね。

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