2019年8月、航空自衛隊・空将の人事異動が防衛省から発令された。
今回の人事は、ポストだけを見ると正直相当なインパクトがあった。
すなわち、航空戦力のほぼ全てを束ねる航空総隊司令官が退役し、その次席である副司令官も交代。
さらに、国防の最前線である西部航空方面隊司令官と南西航空方面隊司令官も交代になるなど、我が国が直面する危機に対処すべき、航空戦力の指揮官が総入れ替えになった形である。
もっとも、航空幕僚長である丸茂吉成(第27期)が同方面に精通していることからできた人事だったのだろうか。
いずれにせよ、今回の人事は西方・南西の安定を前提にした異動であるのかと思われ、緊張は緩和されているという中国へのメッセージであるのかも知れない。
自衛隊の人事は、これほどまでに外交的な背景やメッセージも含んでいることもあるので、そういった意味でもぜひ注目して欲しい。
なお余談だが、個人的には、F-15戦闘機のパイロット上がりであり、航空自衛隊指折りのイケメンである武藤茂樹(第28期)・航空総隊司令官の退役が本当に寂しかった。
状況の巡り合わせやタイミングによっては、間違いなく航空幕僚長に昇った最高幹部であった。
正直、この夏の将官人事で勇退をされるとは全く思っていなかったので、心から寂しく思う。
詳細は武藤の退役記事のページで記すのでここでは割愛するが、本当にイケてる、最高にクールな空将であった。
その最後の活躍をお見送りしながら、心からの敬意と感謝を捧げたいと思う。
なお例によって、アイキャッチ画像の美しい女性は、将官人事と何の関係もない。
航空自衛隊名物「空女」パンフレット2019に掲載されている、北海道出身の村瀨聡美・1等空尉だ。
旧軍の階級で言えば大尉であり、機動戦士ガンダムでホワイドベースを率いたブライト・ノア艦長(少尉)よりも偉い人なのである。
もっともガンダムの世界では、士官候補生がいきなり最新鋭の航空母艦を率いることになるという設定がいかがなものかと思うが。。
しかしながら、アメリカの大人気宇宙SFシリーズであるスタートレックでも、地球の危機を救った戦闘を指揮したという功績で、当時中尉であったジェイムズ・T・カークがエンタープライズの艦長(大佐相当)に抜擢されるという設定がまかり通ってしまっている。。
やはり一般の人は、勲章で褒賞される事案と昇任の考査の違いには無関心なようだ。
その他、人事の詳細な内容は以下の通り。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:航空自衛隊公式Webサイト)
空将に昇任させる
(航空幕僚監部人事教育部長)
空将補 鈴木康彦
(航空幕僚監部装備計画部長)
空将補 阿部睦晴
(航空支援集団副司令官)
空将補 西谷浩一
航空総隊司令官を命ずる
(西部航空方面隊司令官)
空将 井筒俊司
航空総隊副司令官を命ずる
(南西航空方面隊司令官)
空将 上ノ谷寛
西部航空方面隊司令官を命ずる
(航空支援集団副司令官)
空将 西谷浩一
南西航空方面隊司令官を命ずる
(航空幕僚監部人事教育部長)
空将 鈴木康彦
航空支援集団司令官を命ずる
(航空総隊副司令官)
空将 金古真一
航空自衛隊幹部学校長を命ずる兼ねて目黒基地司令を命ずる
(航空幕僚監部装備計画部長)
空将 阿部睦晴
退職を承認する
(航空総隊司令官)
空将 武藤茂樹
(航空支援集団司令官)
空将 山田真史
航空自衛隊幹部学校長兼目黒基地司令
空将 長島純
(以上、2019年8月23日付)
防衛省発表資料
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2019/0808c.pdf
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