森下浩充は昭和49年5月3日生まれ、静岡県御殿場市出身の陸上自衛官。
防衛大学校第41期の卒業で幹候78期、職種は野戦特科だ。
令和2年4月(2020年4月) 第1地対艦ミサイル連隊長・1等陸佐
前職は教育訓練研究本部総合企画部総合企画課総合企画室学校班長であった。
なお、第1地対艦ミサイル連隊長としての指導方針は以下の通り。
【要望事項】
「自ら考え、自ら行動せよ」
1 先輩にも後輩にも誇れる部隊・隊員たれ
2 「楽な仕事」はない。「楽しい仕事」はある。
3 「何から何を守るのか」で判断せよ。
(画像提供:小島肇・元2等陸佐)
2020年6月現在、もっとも注目を集める部隊の一つと言ってもよいだろう、第1地対艦ミサイル連隊で、連隊長を務める森下だ。
第1地対艦ミサイル連隊は北海道・北千歳駐屯地に所在し、我が国の平和と安全を守る重火力の切り札・第1特科団隷下に在る。
文字通り、我が国に着上陸を試みる洋上の勢力を牽制し、その近接を許さない非常に頼もしい火力戦闘部隊だ。
なお今回の記事について、予めお礼とご案内を書いておきたい。
今回の記事は、私の自衛隊の師匠である小島肇(第19期)・元2等陸佐が北千歳駐屯地に森下連隊長を訪ねた際の情報を頂戴したものである。
小島は防衛大学校のパラシュート部出身で、森下もパラシュート部の出身であることから、後輩との親交を温めに行ったということのようだ。
もちろん、頂けた資料はプレスリリース向け公開情報だけではあるが、お分けいただいたことで、この記事を書くことができている。
特に今回は、管理人(私)が特に力を入れて書いている地対艦ミサイル部隊の連隊長ということもあり、書き始めからワクワクしている次第だ。
小島様、いつもありがとうございます!
さて、その地対艦ミサイル部隊について。
当ブログでは過去、何度もご説明してきたところではあるが、2020年現在の安全保障環境を概観すると、いまもっとも注目を集める”戦略兵器”であると言ってもよいだろう。
なぜか。
我が国でもっとも「武力衝突」の可能性が現実的である南西諸島方面において、その戦闘を決定づけるほどに重要なユニットが地対艦ミサイルだからだ。
そして、それだけではない。
以下、少し詳細にご説明していきたい。
(地図提供:グーグルアース)
こちらの図は、12式地対艦ミサイルの射程(非公表:予想値)と、我が国の南西方面の位置関係を示したものである。
ご覧頂ければ明らかだが、我が国の領土に野心を持つ 中国人民解放軍を 隣国を牽制する上での意味合いが、これだけでも十分ご理解いただけるのではないだろうか。
宮古島、石垣島にこれら部隊を配備することで、尖閣諸島を含む我が国の領土に、容易に部隊を近接させられない「相手方の苦悩」が見えてくる。
また併せて、こちらの画像もご確認いただきたい。
こちらも同様に、12式地対艦ミサイルを我が国の南西方面島しょ部に配備した際に、何が起こり得るのか。
それを図式化したものである。
ご覧頂ければ明らかだが、12式地対艦ミサイルをこの方面に配備することはすなわち、”第一列島線”に全て、フタをしてしまうことを意味する。
言い換えれば、この海域を航行しようとする敵性勢力の海上ユニットは全て、陸上自衛隊の射撃統制の監視下にあると言ってよいだろう。
なおかつ、隣国の本土いずれも射程に収めないことから、決して「専守防衛」の原則にも反しない。
南西方面有事においては、海空の部隊ばかりが注目を集め、
「この方面での戦闘では、陸自は役に立たないんじゃないの?」
という声を、正直自衛隊好きな一般の人の口からも聞くことがある。
しかしそれは、あらゆる意味で大きな間違いだ。
確かに、海上自衛隊の護衛艦、航空自衛隊の戦闘機は、我が国の防衛の要で在ることは疑いようがない。
しかし陸上自衛隊、とりわけ地対艦ミサイル部隊は、陸上から海上にある敵性勢力を殲滅する上に、地上にあるがゆえに、敵に容易に捕捉できないところにその強みがある。
なおかつ、補給が続く限りミサイルを撃ち続けることができ、搭載可能な火力に限りがある護衛艦や戦闘機とは違った意味で、非常に厄介な存在になる。
その上、ユニットコストも安いのだから、侵略側の目線になればこれほどうっとおしい火力はないだろう。
だからこそ、リムパック2018においては史上初めて、陸自の地対艦ミサイル部隊が米軍から招かれ、演習に参加することにもなった。
これほどまでに今、森下率いる地対艦ミサイル部隊は、あらゆる意味で注目を集めている戦力となっている。
そしてこれは、決して南西方面だけの話ではない。
森下が指揮する第1地対艦ミサイル連隊は北方に所在するが、もちろん南西方面で有事が発生すれば、直ちに部隊を率いて応援に駆けつけるだろう。
さらに有事の際には、北海道周辺に在るすべての海峡もまた、我が国の安全保障環境にとって極めて重要な防衛すべき戦域になる。
そしてその際、最新鋭の12式地対艦ミサイルと違い森下率いる88式地対艦ミサイル部隊は、旧式であるがゆえに、その習熟度、耐久性、使い勝手の良さなどで、時に12式地対艦ミサイル以上の戦力になるはずだ。
これは機甲科でも言えることだが、陸自には現在、最新鋭である10式の主力戦車が配備されているにも関わらず、ひと世代前の90式、さらに2世代前の74式まで未だに現役である。
その理由はもちろん、最新鋭の技術で設計された兵器が必ずしも、最強であることを意味しないからだ。
一つの設計思想で構成された組織ほど、脆いものはない。
様々な強みと弱みで構成され、さらに運用と取り回しが習熟してやっと、兵器は兵器として機能する。
そういった意味では、88式地対艦ミサイルは今まさに、我が国の国防を担う上で主力となる火力の一つと言って良いだろう。
ぜひ、最前線に在る第5地対艦ミサイル連隊とあわせ、北方から有事に備える、森下率いる第1地対艦ミサイル連隊の重要性にも、注目をしてもらえれば幸いだ。
では、そんな我が国の安全保障の根幹とも言える戦力を指揮する森下とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見てみたい。
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