【退役】大西裕文(おおにし・ひろふみ)|第27期・陸上自衛隊

大西裕文は昭和36年1月生まれ、愛媛県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第27期の卒業で幹候64期、出身職種は航空科だ。

自身も1500時間を越える飛行経験を持つヘリパイロットであり、パイロット候補生や若い曹士に対する面倒見の良さで知られる陸将補である。

平成30年3月(2018年3月) 第8代第14旅団長・陸将補のポストを最後に退役が決まった。

前職は防衛研究所副所長であった。

なお、第14旅団長としての指導方針は以下の通りであった。

【統率方針】

任務完遂

【要望事項】

人として成長せよ

組織力を強化せよ

航空科のエキスパートにして、27期組のベテラン高級幹部がである大西が、陸上自衛隊を去ることになった。

陸自大改革の年に第14旅団を預かり、旅団隷下の第15普通科連隊の即応機動連隊化に最後まで尽力するなど、退役の最後の日まで、忙しく過ごした幹部であった。

即応機動連隊は、陸自大改革の中核の一つとも言える試みだ。

平時から普通科のみならず、機甲科や野戦特科の諸職種混合部隊が運用され、日本全国のあらゆる有事に対し、即応できる能力を準備することを要諦とする。

ここ第14旅団では、我が国で最初に発足する即応機動連隊準備隊が編成されており、大西がその指揮を執ったわけだが、最後にやり遂げた大仕事として、きっと印象深くいつまでも、大西の脳裏に残り続けるだろう。

四国香川県は、既に桜が3分咲きだ。

2018年3月27日の退役の日を前に駐屯地・部隊内を巡視する大西の目にも、今年の桜はひとしお美しく映っていることだろう。

本当に長い間、お疲れ様でした。

4月から始まる大西陸将補の第二の人生が充実したものになりますことを、心からお祈りしています。

【以上、2018年3月25日加筆】

※以下は2017年11月15日までに記してきた記事であり、最新の情報を反映していない。

陸上自衛隊航空科のエキスパートにして、回転翼航空機(ヘリコプター)のパイロットでもある大西だ。

ヘリパイとしての豊富な経験と知見を買われ航空学校長を務めたほか、親しみやすい人柄と魅力的な人間性を評価され、和歌山地本長を務めるなど、多方面に才能を発揮してきた高級幹部である。

その大西が2017年11月現在、指揮をとるのは第14旅団。

四国香川県の善通寺市を拠点にする旅団だが、あるいは

「なぜここに、一線級の部隊があるのか」

と疑問に思われる向きもあるかもしれない。

事実、四国はホットスポットである南西方面から遠く、またロシアや中国の脅威にも晒されていない以上、その疑問はある意味で無理も無いだろう。

しかしながら、いったん有事が発生した際にもっとも脅威となるのは、実は敵性勢力の正規軍による正面からの攻撃ではない。

恐れるべきは国内に潜伏する敵性勢力の小規模部隊であり、これら部隊は有事の際に軽武装で蜂起し、我が国を内部から撹乱する任務を任されている。

すなわち、戦力の空白区を作ること自体が抑止力のバランスを崩すことになり、いかに軽武装と言えども、軍事専門教育を受けた部隊による武装蜂起は、警察力では絶対に対応できない。

そして、我が国は内と外から敵の攻撃を受けることになり、貴重な即応戦力を内地に展開する事によって、外敵への対応力が大きく削がれ、我が国の存立を危うくする事態を迎えることになる。

一義的には、このような理由から戦力の空白区を生み出さないことが、全国各地に師団や旅団が設置されている理由だが、もちろんそれだけが彼らの任務ではない。

各地にある師団や旅団は2018年、非常に大きな改革の年を迎える。

その中で、14旅団が直接関わるものだけをご紹介させてもらうと、それは師団や旅団の即応戦力化だ。

平成26年に策定された中期防(中期防衛力整備計画)では、2018年度中に全国にある師団と旅団の半数にあたる7個を、機動師団(機動旅団)に改編することが決定されている。

詳細な内容は割愛するとして、そもそも論の話だ。

もし陸上自衛隊がその予算をどんどん削減され、装備や人員を削られているにも関わらず、戦力は今以上に充実させろという命令を受ければ、どうするべきだろうか。

2017年現在は、まさにこのような過酷な状況にあるわけだが、取りうる方法は一つしか無い。

それは、戦力の集中と機動力の向上だ。

小さな部隊を各地に散在させたところで、それはまとまった戦力になりえない。

装備と人員が削られるのであれば、戦闘能力を維持するためには1箇所に集め集中させる以外の選択肢はないことになる。

しかし我が国は望むと望まざるとに関わらず専守防衛の国である。

戦争は攻撃側が任意にその攻撃場所を選ぶことができるのだから、防衛側は、本来であれば広く戦力を展開する必要があるが、予算と人員の関係でそれができない以上、機動力を向上させる以外の選択肢はない。

このようにして2018年、戦力の集中と戦力の展開能力の向上を目的として、大改革が行われることが決まった。

そのひとつが師団と旅団の機動師団(機動旅団)化であり、コンパクトにまとめられた戦力は被輸送力も向上させた上で、全国各地の脅威に直ちに対応できる即応力を身につけることになる。

そしてそのうちの一つがこの第14旅団であり、いま正に、大西の指揮の下で組織の大改革が行われている真っ只中だ。

機動力の最たるものであるヘリコプター部隊出身の大西には、まさに適任のポストであると言えるだろう。

その14旅団を指揮する大西だが、とても寂しいことではあるが、恐らくこのポストを最後に勇退となるだろう。

2017年11月現在、陸上幕僚長は同期の山崎幸二(第27期)が務めている。

原則的には、自衛隊においては同期がトップ(幕僚長)に着任すると、それ以外の将官は退役勧奨を受けるのが慣習だ。

しかしながら山崎の場合、2017年7月に発生したいわゆる「南スーダン日報隠蔽問題」の影響を受けての、予期されていない時期での陸幕長への着任であった。

そのため27期組の将官も、そのまま退役させるには余りにも間が悪く、また将官人事上も無理が生じることから、多くの幹部が現行ポストに在り続ける状況となっている。

大西もその一人だが、おそらく2018年3月あたりが一つの目処になるかもしれない。

27期組の多くの将官が退役し、代替わりが進むことになるだろう。

どれだけ結果を残し、我が国の平和と安全に貢献した幹部であっても、必ず退役の時が来るのは寂しい限りだ。

そのような中ではあるが、大西はきっと、「最後のポスト」で全力を尽くし任務を全うし、その知見を後進に授け、もって10年後、20年後の我が国の平和と安全に貢献する大仕事をやり遂げてくれるだろう。

最後の最後まで、しっかりと注目しその活躍を追っていきたい。

本記事は当初2017年6月27日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年11月15日に整理し、改めて公開した。

◆大西裕文(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
58年3月 陸上自衛隊入隊(第27期)

平成
6年1月 3等陸佐
9年7月 2等陸佐
年 月 第11飛行隊長
14年1月 1等陸佐
14年8月 幹部学校付
15年8月 陸上幕僚監部調査部調査課調査運用室員
17年8月 和歌山地方連絡部長
18年7月 和歌山地方協力本部長
18年12月 陸上幕僚監部総務課庶務室長
20年12月 北部方面航空隊長
22年7月 東部方面総監部幕僚副長 陸将補
24年12月 航空学校長兼明野駐屯地司令
27年3月 防衛研究所副所長
29年3月 第14旅団長
30年3月 退役

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第14旅団公式Webサイト(顔写真及び駐屯地記念行事写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/14bhp/ryodanchou/ryodanchou.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/14bhp/katsudou/backnumber.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/14bhp/shikoku/shikoku.html

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