陸将・陸将補人事|2022年3月・陸上自衛隊

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2022年3月、陸上自衛隊の陸将・陸将補の人事異動が防衛省から発令された。

今回の人事では、陸将人事は動いておらず、新たに将補に昇任したのは5人。

それに対し、退職した将補は3人となっているが・・・

あれ?

陸将補の定員が純増したのだろうか。。

このうち、指揮通信システム隊が格上げとなり、自衛隊サイバー防衛隊として再編され、その初代司令に木村顕継(第39期)が着任しているが、このポストは恐らく、陸海空の持ち回りなのだろう。

そのため、陸将補ポストの純増というよりも、3自衛隊として将補のポストが純増したのかもしれない。

とはいえ、自衛隊ファンであればご存知のように、国防に関する予算の削減は本当に厳しく、文字通り財務省に目の敵にされている状態である。

増して、将官ポストや指定職の格上げなどもってのほかとばかりに、長年にわたり削減こそあれ純増など、なかなか考えられない組織改編が続いてきた。

そのためもしかしたら、この再編に伴いどこかの将補ポストがお召し上げになっているのかもしれない。

このあたりはまた分かり次第、どこかで書いていきたい。

 

とはいいながら、ウクライナ危機を受けてようやく、国防にも現実的な予算配分が為される可能性が出てきたのは、嬉しい限りだ。

GDP2%と言わず、ぜひ陸海空部隊の増員と各種兵器の近代化予算・国防産業育成にお金を回して欲しいと願っている。

その一方で、今現在、ウクライナ戦争の影響で「戦車なんか要らねえ」と、また改めて陸自の予算削減に対するプレッシャーが強まっていると、一部で報じられている。

この報道について私が思うのは、2000年代初頭に小泉内閣で為された、地対艦ミサイル部隊の大幅削減という、歴史上恥ずべき愚策についてだ。

20年以上も陸自マニアをしている人なら記憶にあると思うが、小泉元総理の下でまとめられた、中期防2005(中期防衛力整備計画)である。

この計画の中で、陸自の地対艦ミサイル部隊は極めて近視眼的な政策により、存亡の危機を迎え、実際に一部部隊は解体をされてしまった。

しかし今、世界の国防の流れは明らかに地対艦ミサイル部隊の強化であり、それはリムパックに史上初めて、陸自の地対艦ミサイル部隊が招かれたことにも如実に現れている。

小泉の後を継いだ第一次安倍内閣において中期防2005の方針が速やかに撤回され、逆に地対艦ミサイル部隊は直ちに増強に転じることになったのだが、この時の安倍の判断がなければ、恐らく日本の国防は危機的に脆弱化していただろう。

なんというか・・・

本当に日本はまだまだ、良くも悪くも国防に予算を引っ張る国会議員の数が足りていない。

何が大事で何が大事ではないのかの予算配分に、良い意味で「国防族」が力を持つべきだ。

そんなことを改めて考えさせられた人事であった。

 

なお例によって、アイキャッチ画像の美しい女性は人事異動とは何の関係もない。

2018年3月8日の「国際女性デー」に際して陸上自衛隊の公式ツイッターから発信された、輝き活躍する女性隊員の姿を捉えた一コマを拝借してきたものである。

詳細の説明はなかったが、需品科所属の女性隊員であろう。どこかの災害派遣に際し、豪雨の中、被災者に対し温かな風呂を提供しようと、野外入浴セット2型を組み立てる様子を撮影したものと思われる。

いまさら多くの言葉は必要ないと思うが、大規模災害の発災に際し、自衛隊の皆様の献身的な尽力と国民に寄り添う姿には毎回、心を打たれる。

人は人のためにここまで体を張ることができるのかと、どんな言葉でもその仕事ぶりを形容する適切な表現が見当たらない。

ただただ、「本当にお疲れ様です」という言葉をお伝えしたいのみだ。

6月に入りまた今年も集中豪雨の時期となったが、またどこかで、このような光景が見られるのだろう。

心ある私たち日本国民は、自衛隊・自衛官の皆様とともにあります。

大変なお仕事だと思いますが、今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

その他、詳細な人事異動の内容は以下の通り。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊公式ツイッター

陸将補に昇任させる
(陸上幕僚監部防衛部防衛課長)
1等陸佐 小山直伸

(指揮通信システム隊司令)
1等陸佐 木村顕継

(札幌地方協力本部長)
1等陸佐 宮﨑章

 

陸上幕僚監部法務官を命ずる
(第2師団副師団長兼旭川駐屯地司令)
陸将補 篠村和也

 

第2師団副師団長を命ずる兼ねて旭川駐屯地司令を命ずる
(札幌地方協力本部長)
陸将補 宮﨑章

 

第2高射特科団長を命ずる兼ねて飯塚駐屯地司令を命ずる
(陸上幕僚監部防衛部防衛課長)
陸将補 小山直伸

 

富士教導団長を命ずる
(陸上幕僚監部法務官)
陸将補 七嶋剛士

 

自衛隊サイバー防衛隊司令を命ずる
(指揮通信システム隊司令)
陸将補 木村顕継

 

退職を承認する
(第2高射特科団長兼飯塚駐屯地司令)
陸将補 藤田英俊

(富士教導団長)
陸将補 森脇良尚

令和4年3月17日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2022/0317a.pdf

 

陸将補に昇任させる
(西部方面総監部防衛部長)
1等陸佐 神園雄一

 

北部方面総監部幕僚副長を命ずる
(西部方面総監部防衛部長)
陸将補 神園雄一

 

陸上自衛隊高等工科学校長を命ずる兼ねて武山駐屯地司令を命ずる
(北部方面総監部幕僚副長)
陸将補 富崎隆志

 

退職を承認する
(高等工科学校長兼武山駐屯地司令)
陸将補 岩名誠一

令和4年3月23日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2022/0323b.pdf

 

陸将補に昇任させる
(東北方面総監部防衛部長)
1等陸佐 濵田剛

 

統合幕僚監部総務部長を命ずる
(東部方面総監部幕僚長兼朝霞駐屯地司令)
陸将補 青木誠

 

東部方面総監部幕僚長を命ずる兼ねて朝霞駐屯地司令を命ずる
(第1空挺団長兼習志野駐屯地司令)
陸将補 堺一夫

 

第8師団副師団長を命ずる兼ねて北熊本駐屯地司令を命ずる
(東北方面総監部防衛部長)
陸将補 濵田剛

 

第1空挺団長を命ずる兼ねて習志野駐屯地司令を命ずる
(第8師団副師団長兼北熊本駐屯地司令)
陸将補 若松純也

令和4年3月30日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2022/0330c.pdf

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