その池が海上自衛隊に入隊したのは昭和58年3月。
1等海佐に昇ったのが平成14年1月、海将補に昇ったのが20年8月であったので、共に27期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
海将に昇ったのは26年12月であったので、こちらは同期1選抜に4ヶ月遅れているが、海自や空自では、このクラスではポストも少なく、4ヶ月の差はただ単に前後の兼ね合いという意味しかない。
実質的に、あらゆる階級を27期最速の昇任で駆け抜けてきた最高幹部と言ってよいだろう。
(画像提供:海上自衛隊呉地方隊公式Webサイト)
その池について。
航空畑の幹部として非常に充実したキャリアを歩んできており、各地の現場で指揮を執った。
航空隊司令ポストは、日本海軍以来の伝統を誇る鹿児島県・鹿屋航空基地の第1航空隊で。
同様に航空群ポストは、同じ鹿屋に所在する第1航空隊の上級組織、第1航空群で着任し指揮を執った。
地方隊では、舞鶴で幕僚長を務めた他、若き士官候補生たちの教育にあたる幹部候補生学校長も経験している。
中央(海上幕僚監部)では、班長ポストが防衛課の業務計画班長、課長ポストが指揮通信課長だ。
そして平成26年12月に、教育航空集団司令官に着任し海将に昇任。
その後職として28年7月に呉地方総監に転じ、今に至る。
海自航空部隊を率いる者として、これ以上はないキャリアを歩んできた幹部の一人と言ってよいだろう。
では、その池は海上幕僚長に着任する可能性があるのかどうか。
もう一度、2018年12月に、海上幕僚長に選ばれる可能性があると思われる候補者を挙げさせて頂く。
山下万喜(第27期)・自衛艦隊司令官
池太郎(第27期)・呉地方総監
菊地聡(第28期)・佐世保地方総監
山村浩(第28期)・海上幕僚副長
率直に言って、この4名の中では、
「次期海上幕僚長は山下で決まりだろう」
という評価が定まっている。
軍事評論家と言われる人たちのコラムはもちろん、自衛隊ファンなどが運営しているブログ、あるいは海自好きの一般人が集まる掲示板などを見ても、誰もが山下の昇任を信じて疑っていない空気だ。
しかしその一方で、2018年春くらいから、
「山下は、自衛艦隊司令官のポストを最後に退役するのではないか」
という論調が、一部専門誌などで見られるようになってきた。
そしてその趣旨は、やや荒っぽく要約すると、
「山下は優秀過ぎて”軍事組織”のトップとしてはふさわしくない」
という事に行き着くように思われる。
実際に山下は、ちょっと並大抵ではない最高幹部であることは、そのキャリアを見れば容易に窺えるすごいものになっている。
一般人は、だからこそ海幕長間違いなしと思うところだが、専門家にとっては、だからこそ最後の一段を昇れない、という解釈になるようだ。
本当のところはわからないが、もしその場合には、次の海上幕僚長は池ということになるだろう。
もしそうなったら、史上初となる呉地方総監からの昇任ということになるが、あながち無いわけではないのではないだろうか。
非常に楽しみな、2018年冬の将官人事になりそうだ。
いずれにせよ、もうその答えは出ており、恐らく本人にも内示がなされているのではないだろうか。
山下か池か。
後1ヶ月後に迫ったその答えを、楽しみに待ちたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:海上自衛隊小月教育航空隊公式Webサイト)
◆池太郎(海上自衛隊) 主要経歴
昭和
58年3月 海上自衛隊入隊(第27期)
平成
6年1月 3等海佐
9年7月 2等海佐
10年3月 第51航空隊
10年12月 第4航空群第6航空隊飛行隊長
12年3月 海上幕僚監部人事計画課
13年8月 海上幕僚監部副官
14年1月 1等海佐
14年8月 海上幕僚監部監理部
15年12月 海上幕僚監部運用課
16年3月 海上幕僚監部防衛課業務計画班長
17年8月 第1航空隊司令
18年8月 海上幕僚監部指揮通信課長
20年8月 航空集団司令部幕僚長 海将補
21年7月 第1航空群司令
23年8月 舞鶴地方総監部幕僚長
24年7月 海上自衛隊幹部候補生学校長
26年12月 教育航空集団司令官 海将
28年7月 呉地方総監
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