下淳市(しも・じゅんいち)は昭和39年8月生まれ、長崎県出身の海上自衛官。
防衛大学校は第31期、幹候は38期のそれぞれの卒業だ。
平成30年3月(2018年3月) 開発隊群司令・海将補
前職は第2術科学校長であった。
(画像提供:海上自衛隊第2術科学校公式Webサイト)
(画像提供:海上自衛隊公式フェイスブック)
2019年3月現在、開発隊群司令を務める下だ。
開発隊群は横須賀にその司令部を置き、護衛艦のみならず海上自衛隊の命とも言うべき各種通信機能の研究開発、固定翼哨戒機の技術開発、掃海隊における掃海技術の開発など、その任務は多岐にわたる。
特に、試験艦あすかを用いて行う護衛艦の各種試験研究は多岐にわたり、標的機や水中自走標的の運用を行う他、艦の至近距離で爆発を起こし艦の耐久性能調査を行うなど、その任務は時に過酷なものとなる。
試験艦という艦種も現役ではあすかのみであり、同型艦は存在せず単艦で各種の過酷な任務を行っている。
まさに、技術力がその勝敗を大きく分ける、海上戦闘の要とも言うべき極めて重要な部署を預かる海将補だ。
これほどの重要なポストを任される下のことだ。
そのキャリアはどれも印象深いものとなっているが、敢えて一つ挙げるとすれば、それは平成24年12月から務めた、第14次派遣海賊対処行動水上部隊指揮官のポストだろうか。
派遣海賊対処行動水上部隊という言い方をすればピンとこない人も多いかも知れないが、アフリカの東、ソマリア沖のアデン湾において海上自衛隊が行っている、海賊を取り締まる哨戒活動といえば、分かる人も多いかも知れない。
(画像提供:グーグルマップ)
地図でいうと、ここ。
ご覧頂ければ明白なように、我が国と西アジア・中東を結ぶオイルルート、また我が国と欧州を繋ぐ海上交通の大動脈上にある、海上の要衝である。
この、いわば世界中の富が集中し往来する海域で、武装した海賊がこれら富の略奪を狙い跋扈しており、我が国はもちろん世界経済にも深刻な影響を与える重大な脅威となっている。
そのため陸海空自衛隊は、世界各国の軍と連携しながらジブチに拠点を置き、この海域の治安を守っているわけだが、下はこの重要な任務の水上部隊指揮官に、平成24年12月から半年間着任した。
言うまでもなく、この地域で海賊の無法行為を放置した場合、我が国の輸出入に与える悪影響は壊滅的なものとなる。
輸出した各種製品は略奪され企業活動に深刻なダメージを与え、また欧州や中東からの輸入が途絶えれば国内経済は狂乱の物価高を経験し、想定できないほどの社会不安が発生するだろう。
このような事態を避けるために、自衛隊はこうしている今日も、下の後に続く指揮官と幹部曹士が、この日本から遠く離れたアフリカの地で、海上交通の治安維持にあたり、もって我が国の平和と世界の安定に寄与してくれている。
毎日の生活の中で、いつも気にする必要はないだろう。
ただたまには、自衛隊はこうやって極めて具体的に、私たちの毎日の暮らしを守り、世界の平和に貢献している事実にも想いを馳せてもらえれば幸いだ。
そして、「暴力装置」や「人殺しの訓練」などと自衛隊と自衛官を誹謗中傷し、その存在を否定する人たちの言葉偽に本当に説得力があるのか。
自衛隊と自衛官は戦争の道具であり戦争を願い、本当に人を殺すことを願っている組織であるのか。
自分自身の問題として、考えてもらえればと思う。
また下は、遡ること平成17年6月からは、在韓国防衛駐在官の要職も経験している。
ご存知のように、我が国の哨戒機に対し韓国軍がロックオンした件で日本政府が抗議をすれば、韓国在住の防衛駐在官を韓国軍が呼び出し、低空飛行で威嚇したと難癖をつけられるようなポストである。
そんな理不尽な目に遭いながらも、朝鮮半島情勢の把握と情報収集のために「軍人外交」を行わなければならないポストは、人間的魅力と交渉能力、我慢強さ、目的達成のための強い意志など、自衛官としてあらゆる能力が高くなければとても務まらない要職である。
これもまた、下が凡百の自衛官ではない、極めて優れた最高幹部の一人であることの証左とも言えるキャリアの一つだろう。
では、そんな要職を歴任した下とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見ていきたい。
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