船倉慶太(ふなくら・けいた)は昭和42年9月1日生まれ、鹿児島県出身の航空自衛官。
平成3年3月に和歌山大学の経済学部を卒業し航空自衛隊に入隊しているので、幹候81期、防衛大学校第35期相当の幹部ということになる。
出身職種は飛行で、C-1輸送機のパイロットだ。
平成29年12月(2017年12月) 第1輸送航空隊司令兼ねて小牧基地司令・空将補
前職は航空幕僚監部運用支援・情報部情報課長であった。
(画像提供:航空自衛隊小牧基地公式Webサイト)
2019年3月現在、第1輸送航空隊司令兼ねて小牧基地司令を務める船倉だ。
第1輸送航空隊は、「世界最高の輸送機」と評価されるC-130Hを運用し、我が国の戦略輸送の中核的存在を果たす部隊である。
積載可能重量や航続距離、離発着能力などにおいて極めて高い性能を発揮し物資の輸送にあたるほか、陸上自衛隊の第1空挺団とも行動を共にし、特殊作戦行動にも貢献する文字通り「飛び道具」といえる頼もしい存在だ。
またKC-767空中給油機を運用するなど、我が国が取り得る戦略行動半径の拡大にも貢献し、当然それを可能にする極めて練度の高いパイロット集団でもある。
それら精鋭部隊を率いる船倉もまた輸送機パイロットの出身であり、高い操縦技術と類まれなリーダーシップで小牧基地を率いている。
これほどの要職を任される船倉のことである。
そのキャリアはいずれも印象深い補職ばかりだが、敢えて一つ挙げるとすれば、それは平成20年8月(2008年8月)から務めた、在中国日本大使館の防衛駐在官ポストであろうか。
当時の世相についてだが、民主党政権が誕生したのが2009年9月であったので、船倉は防衛駐在官として中国に在る時に、あの「政権交代」劇を経験していることになる。
そしてこの民主党政権時代、日本と中国の関係は急速に悪化し、尖閣諸島を巡る中国の極めて横暴な振舞いが常態化。
2010年9月にはついにあの「漁船体当たり」事件が発生し、中国漁船が海上保安庁の船を損壊させる衝撃的な映像が繰り返しメディアで流された。
なおこの際は、民主党政権で最初の総理大臣に就いた鳩山由紀夫が既に退陣に追い込まれ、2代目総理である菅直人と、官房長官であった仙谷由人が事件の対応にあたっている。
そしてこの両名は、日本国内においてあれほどの違法行為を働いた中国漁船の船長を”超法規的措置”とも言えるまさかの不起訴処分にするよう影響力を行使したとされる。
具体的には、外務省の職員を那覇地検に派遣した事実があるとされているが、さすがに公判が開かれれば裁判所の判断に政府として影響力を行使することはできない。
行政の影響力で対応できる範囲で早々に帰国をさせてしまう方法を選んだということだと思われるが、言うまでもなくこの件は後に検察審査会で起訴相当と議決され、強制起訴されるものの、もちろん中国人船長は既に帰国済みであった。
sengoku38の名前で中国漁船の体当たり画像をyoutubeに公開した一色正春氏の、職を賭したとも言える行動で、尖閣諸島で今何が起こっているのか。
その事実が明るみになったものの、一色氏は守秘義務違反で海上保安庁を追われることになる。
まさに日本中が「政府の不正義」と「中国の横暴さ」に怒りを沸騰させていた2010年。
船倉が防衛駐在官として中国にいたのは、まさにこの真っ只中であった。
おそらく、「軍人外交」を担う防衛駐在官としても、相当タフな仕事になったのではないだろうか。
これ以上無い厳しい時代に中国に赴き、日中の軍事当局者にあるものとして衝突のエスカレート阻止に奔走したであろう船倉。
きっと現場での苦労は、並大抵のものではなかったはずだ。
このような知見は今に至るも、航空自衛隊のみならず自衛隊全体として、極めて重要な財産になっているのではないだろうか。
小牧基地で精鋭部隊を率いる船倉の、少し意外とも言えるキャリアの一つである。
ではそんな船倉とはこれまで、どのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。
少し詳細に、その経歴を見ていきたい。
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