杵淵賢一(きねぶち・けんいち)|第39期相当・陸上自衛隊

杵淵賢一は昭和46年生まれ、埼玉県出身の陸上自衛官。

桜美林大国際学部を卒業し平成7年に陸上自衛隊に入隊しているので幹候76期、防衛大学校第39期相当の幹部ということになる。

職種は普通科だ。

 

令和元年12月(2019年12月) 第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令・1等陸佐

前職は統合幕僚監部総務部人事教育課人材育成班長であった。

なお、第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令としての指導方針は以下の通り。

 

【統率方針】
「任務完遂」

【要望事項】
「使命の確立」「状況判断」「実践」

(画像提供:陸上自衛隊山口駐屯地公式Webサイト

(画像提供:陸上自衛隊山口駐屯地公式ツイッター

2020年6月現在、第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令を務める杵淵だ。

第17普通科連隊は山口県山口市に所在する部隊で、中国地方を担当地域とする第13旅団の隷下に在る。

軽編成の部隊なので隊員数は概ね650名前後と思われ、軽武装高機動力を活かし、日本全国あらゆる危機にいち早く駆けつける。

2018年3月から始まった陸自大改革でもっとも重視される戦略思想、すなわち戦力の集中と機動力の追求という新たな時代の価値観の中で、非常に重要な戦力として期待される部隊の一つだ。

 

ところで、率直に言って山口市の普通科戦力といえば、例えば東北や北海道のような”強兵”のイメージがあるわけではないかも知れない。

やはり我が国の国防史を紐解いた時、日清日露戦争での活躍がどうしてもクローズアップされるので、東北・北海道の活躍ばかり注目されるのが正直なところだ。

しかしながら、17普連の前身は日本陸軍歩兵42聯隊であり、同聯隊もまた我が国の歴史に残る活躍を残している。

日露戦争においては、前半戦の天王山となった遼陽会戦、そして日露両国の関が原となった奉天会戦にも参加し、それぞれ日本軍の勝利に大いに貢献した。

また先の大戦においても、その初期においてマレー作戦に参加し、難攻不落の要塞とされたシンガポールを落とすなど、同聯隊の精強さを伝える記録は数多い。

極寒の満州から灼熱の東南アジアまで、縦横無尽に活躍した歩兵42聯隊のDNAを受け継ぐのが、この杵淵率いる第17普通科連隊であるということだ。

 

そんなこともあるのだろう。

同連隊を率いた指揮官もまた、非常に優秀で注目すべき幹部が多い。

第13代で連隊長を務めた寺島泰三などは、第21代陸上幕僚長、第18代統合幕僚会議議長にまで昇っている。

現役の幹部では、管理人(私)もとても大好きな幹部の一人である岩上隆安(第39期)が、第30代の連隊長を務めていることも印象的なポストだ。

 

ちなみに岩上は杵淵の同期であり、現在は中央即応連隊長を務めている。

このように、「連隊長」と名前がつくポストを歴任することは、全く無いわけではないがとても稀だ。

数年に1回程度、たまにそのような人事を見ることがあるが、あるいは海上自衛隊の「艦方」という考え方のように、陸自にもそんな運用があるのかも知れない。

すなわち、現場指揮官ポストを歴任させたいような、幹部曹士の心を掴むことに長けた、マンガに出てくるようないかにも指揮官という幹部だ。

そういった意味では、杵淵と併せてその同期である岩上の活躍にもまた、注目して欲しいと願っている。

 

では、そんな杵淵とはこれまで、どのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を追っていきたい。

(画像提供:陸上自衛隊山口駐屯地公式Webサイト

杵淵が陸上自衛隊に入隊したのは平成7年3月。

先述のように、桜美林大の国際学部を卒業しているが、在学中は主に戦争や紛争を防止する研究に注力をした。

タナゴ釣りと映画鑑賞を好むなど、忙しさの中でも思考をリセットする時間を確保しようと、努力を重ねている。

(画像提供:陸上自衛隊山口駐屯地公式ツイッター

入隊後、中隊長ポストは別海駐屯地に所在する第27普通科連隊の第3中隊長で上番するが、以降は職種部隊の現場をしばらく離れる。

スタッフや幕僚のポジションでは、陸幕の人事部人事計画課服務室心理適性係長、幹部学校の教育部第1戦術教官室教官、第15旅団司令部の第1部長、北部方面総監部の防衛部防衛課総括班長などを歴任。

中央での班長ポストは、統合幕僚監部総務部人事教育課の人材育成班長で務めている。

そして令和元年12月から、久しぶりの職種部隊勤務となる、第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令に上番し活躍しているということになる。

 

なお、杵淵が中隊長を務めた第27普通科連隊は北海道釧路市に所在する、第5旅団隷下の基幹部隊だ。

そして第27普通科連隊もまた、杵淵が連隊長を務める第17普通科連隊と同様に軽編成の普通科連隊である。

そして27普連は、平成31年の中期防衛力整備計画において即応機動連隊への衣替えが予定されている。

ちなみに2020年6月現在、第27普通科連隊長を務めるのは我が国が誇る第1空挺団出身の猛者・井川三典(第40期相当)

言い換えれば、即応機動連隊への衣替えを予定された部隊に、第1空挺団のDNAを送り込むことで、その打撃力と機動力を確かなものにしようという意図が込められた人事である。

そして杵淵のキャリアでもう一つ目を引くのが、沖縄・那覇に所在する第15旅団司令部の第1部長のポストである。

ご存知のように第15旅団は、2020年現在の我が国の安全保障環境を概観すると、現実的な武力衝突にもっとも近い戦力となっている。

そしてその担当地域は申し上げるまでもなく離島が多く、機動力や即応力がもっとも重視される部隊である。

 

つまり杵淵のキャリアから見えるその強みは、現職を含めて、「軽武装高機動力の即応部隊」を指揮する能力の高さであり、あるいは組織運用の強さだ。

第27普連での中隊長ポスト。

第15旅団における第一部長ポスト。

第17普通科連隊の連隊長ポスト。

それらのキャリアが、杵淵の強さを雄弁に物語っている。

加えて申し上げると、そのスタッフや幕僚のポジションでも

・陸幕人事計画課服務室心理適性係長

・統幕人事教育課人材育成班長

など、人心を理解し、把握し、戦力化を委ねられているポストを歴任しており、お人柄が窺えるような活躍の足跡である。

まさに、就くべくして就いた第17普通科連隊長のポストであったと言ってよいだろう。

現職でこの組織をどこまで精強に導いてくれるのか。

その活躍がとても楽しみな幹部の一人だ。

 

では最後に、その杵淵と同期である39期組の人事の動向について見てみたい・・・ところだが、39期組は2020年、すなわち間もなく、最初の陸将補が選抜される年次だ。

そのため2020年6月現在では、1選抜の幹部でも1等陸佐であり非常に数が多いので、個別のご紹介は割愛したい。

また将官人事が発令された後に、追記をさせて頂く。

 

いずれにせよ、第39期組はこの先、2030年代の前半にかけて我が国と世界の平和と安全にもっとも重い責任を担う世代である。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊山口駐屯地公式ツイッター

◆杵淵賢一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
7年3月 陸上自衛隊入隊(第39期)
20年8月 第27普通科連隊第3中隊長(別海)
22年8月 陸上幕僚監部人事部人事計画課服務室心理適性係長(市ヶ谷)
23年8月 陸上自衛隊幹部学校教育部第1戦術教官室教官(目黒)
25年8月 第15旅団司令部第1部長(那覇)
27年8月 北部方面総監部防衛部防衛課総括班長(札幌)
29年7月 1等陸佐
29年8月 統合幕僚監部総務部人事教育課人材育成班長(市ヶ谷)

令和
元年12月 第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令(山口)

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