高橋洋二(島根地方協力本部長・1等陸佐)|第37期・陸上自衛隊

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高橋洋二(たかはし・ようじ)は昭和46年3月12日生まれ、熊本県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第37期の卒業で幹候74期、職種は野戦特科だ。

 

平成29年3月(2017年3月) 自衛隊島根地方協力本部長・1等陸佐

前職は第2特科連隊長であった。

なお、第2特科連隊長であった時の指導方針は以下の通りであった。

 

【連隊長統率方針】

「即動必遂」

【連隊長要望事項】

「有言実行」「一致団結」

(画像提供:陸上自衛隊第2特科連隊公式Webサイト

(画像提供:陸上自衛隊第2特科連隊公式Webサイト

2019年3月現在、自衛隊島根地方協力本部長を務める高橋だ。

地方協力本部は自衛官の採用と退職自衛官の援護(再就職)、それに地域社会との連携で自衛隊の知見を民生に活かしてもらう架け橋などとして活躍する。

特に、自衛官の採用という面での活躍が、一般の国民には馴染み深いのではないだろうか。

今から30年ほど前には、よく駅前などで地本(当時は地連:地方連絡部)の隊員さんから、

「君!!良い体してるなあ~ 自衛隊に入らないか?」

と、怪しい勧誘を受けたものだが、最近ではすっかり、この手のキャッチな勧誘は無くなった気がする・・・。

 

さて、そんな「自衛官の入口と出口」とも言うべき要職を務める高橋である。

そのキャリアはいずれも印象深い補職ばかりだが、敢えて一つ挙げるとすれば、それは前職である第2特科連隊長のポストだろうか。

第2特科連隊は「北鎮師団」の尊称を持つ第2師団の隷下にあり、我が国で最大の規模を誇る特科連隊だ。

北鎮師団はその名の通り我が国の最北の国境を護り、その仮想敵は言うまでもなくロシア(ソ連)である。

異常な物量と人命すら消耗品とする戦闘思想で、ひたすら力押しする伝統を誇るヤバイ連中に、正面から対峙することが求められる。

その第2師団にあって、師団の基幹となる大火力で戦場を面で制圧し、もって戦闘の帰結を決定づける切り札となる。

11個射撃中隊の規模は圧巻であり、北海道ならではの規模と火力はまさに日本の守護神だ。

 

ところでこの野戦特科部隊。

点ではなく面で遠距離射撃をする部隊が戦場でどういう働きをするのか、ピンとこない人も多いかも知れないが、近現代の陸戦においては、この野戦特科がその勝利を決定づける戦いをするものだ。

例えるならば、イラク戦争でアメリカ軍がみせた、地上戦の前の空爆に相当する働きがこれにあたる。

野戦特科はまず、広く敵が存在しているであろうエリアに攻撃を仕掛け、所在する敵の損耗を試みる。

空爆と同様に面攻撃なので、全ての敵勢力を無力化できるわけではないが、まともな作戦行動ができなくなるようダメージを与える上ではもちろん有効だ。

そのため陸戦初期では通常、この野戦特科部隊同士による遠距離砲撃で、敵の展開地域を制圧する闘いとなる。

そして野戦特科部隊が戦いを有利に進められれば、当然歩兵や戦車といった照準射撃で敵を制圧する部隊が有利に戦いを進められ、最終的に敵の制圧に成功することになる。

陸上自衛隊の師団や駐屯地祭に出かけたことがある人であれば、模擬戦闘を見たことがある人も多いだろう、あの通りの流れだ。

 

しかしこの役割を理解した上で、

「今どき、北海道で上陸戦なんか起こるわけ無いだろう」

と反論する人がいるが、これは因果関係を間違っている。

逆に北海道から第2特科連隊をはじめとした重火砲が廃止された場合、敵目線になるとどう考えるだろうか。

確かに、わかりやすい正面戦争であれば海空自衛隊が敵性勢力を排除することを期待して、野戦特科の活躍の場は想定しづらいかも知れない。

しかし、小規模な敵性勢力が奇襲攻撃の形で我が国の沿岸部や島嶼部に対し攻撃を仕掛けてくることを想定した場合はどうだろうか。

小規模な舟艇で海岸線に近接する敵性勢力を全て補足できないことは、北朝鮮の工作船の例でも明らかだ。

そして迎撃する我が国に強力な野砲が存在しないということは、上陸側は迫撃砲などで軽武装するだけでも、作戦の自由度が相当上がることになる。

逆に言うと、上陸側にとっては反撃の想定も限定することができる上に、コストが安くなることを意味する。

つまり重火砲の野戦特科部隊は、精鋭部隊として存在するだけで、近隣諸国に対し強力な抑止力になるということだ。

上陸戦が想定できない状況ということは、つまり守備側が強力であり、コストが合わないということである。

野戦特科部隊が存在する意味はここにある。

 

鍛え上げた真剣を、抜こうと思えばいつでも抜ける、殺気をまとった武士にも例えられるだろう。

決して軽々しく抜くことはない。

しかし、いったん抜けばただでは済まない。

抑止力とはどういうものかを体現するのが、我が国の野戦特科の精鋭たちだ。

 

では、そんな北鎮の精鋭部隊を率いた高橋とはこれまで、どのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

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