海将・海将補人事|2021年12月・海上自衛隊

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2021年12月、海上自衛隊の海将・海将補の人事異動が防衛省から発令された。

 

今回の人事の最大の注目点と言えば、やはり海将人事だろう。

今回海将に昇任したのは2名で、俵千城(第33期)福田達也(第34期)である。

今回の人事は、本来であれば2021年夏の将官人事で発令されるべき異動であったが、定年延長の関係で少し人事が不規則になっている。

そのため少しわかりにくくなっているが、この冬の人事が「1選抜人事」だ。

そして第34期1番乗りで海将に昇ったのが、福田ということである。

 

読者の皆様であればご存知であると思うが、今現在、南西方面に関する有事の可能性は非常に逼迫している。

そしてそれは、おそらく尖閣ではなく台湾だ。

一つのシナリオとして、中国は台湾本土を攻撃するのではなく、海上で台湾軍との限定的な衝突を意図的に発生させ、その際に尖閣を抑える。

自衛隊の今の防衛シナリオを見ていると、おそらく上陸を阻止するのではなく、上陸された島を奪い返すという訓練を中心に行っているので、上陸そのものは非常に容易いはずだ。

というよりも、「殴られるまでは殴れない」という憲法の制約もあり、そのような作戦を採らざるを得ない。

そして紛争の手打ちとして中国が尖閣をそのまま領有すれば、国際社会は決して、日本による尖閣奪還作戦を支持しないだろう。

台湾と中国の衝突が、世界的な全面戦争に繋がりかねない日中の衝突にまで発展するくらいなら、日本に「そんな小島、くれてやれ」と迫ると考えるほうが現実的だ。

日本の政治家が、それでもなお尖閣を維持するほどの外交力と政治力を発揮できるとは、到底思えない。

そして「この程度ヤンチャ」であれば、国際社会は形ばかりの経済制裁を中国に課すだけで、尖閣は永遠に中国の実質支配下に入る。

 

そうなった時、日本は何ができるだろうか。

というよりも、そのような事態を生起させないために、この緊迫した情勢の中で日本には何ができるか。

その一つが、この海将人事に込められたメッセージ性だと考えている。

今回、1選抜で海将に昇った福田は、艦艇畑のど真ん中を歩んできた海自のエース中のエースだ。

平成15年に2等海佐であった頃には、旧テロ特措法に基づくインド洋での洋上給油のため、護衛艦「ありあけ」の砲雷長としてインド洋に赴いた経験を持つ。

また平成29年3月からは、アフリカ・ソマリア沖の海賊対処にあたる多国籍部隊、第151連合任務部隊の司令官も務めた。

その他、第4護衛隊群司令の際には就役したばかりの最新鋭護衛艦「かが」を預かり、フィリピンのドゥテルテ大統領の接遇役を務めるなど、国際舞台での活躍も枚挙にいとまがない。

前職のポストである掃海隊群司令も、いまや日本にとって、国家の安全保障を担う実務責任者ともいえるポジションであった。

1選抜で海将に昇り、日本の海の平和を任されるうえで、まさに適任と言える最高幹部だ。

 

そして、各種メディア向けに発信したメッセージから感じられるその人柄は、とにかくストイックで頭の回転が早く、なおかつ「絶対に妥協しない」強い信念と知性である。

どのような言葉が適切か迷うところだが、この男が指揮する部隊を相手には戦いたくないと、つつけば躊躇なく反撃を受けるような、細心さと大胆さを兼ね備えた指揮官ではないだろうか。

今回、34期の1番乗りで海将に昇り、そして護衛艦隊司令官として洋上戦力の大部分を任されることになった福田とは、そのような将官である。

次に佐世保か横須賀の地方総監を挟むかどうかまではさすがにわからないが、いずれ自衛艦隊司令官に昇ることもまず間違いがないだろう。

 

米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官が2021年12月、

「今後6年以内に、中国は台湾に侵攻する可能性が高い」

と言及したように、事態は私たちが考えるよりも相当逼迫している。

そしてその有事の際、自衛艦隊を率いているのはあるいは福田ではないだろうか。

一般国民には余り知らされていない事実だが、今、航空自衛隊は航空機をどんどんハイビジ(高視認性)からロービジ(低視認性)に塗り替えている。

海自の艦艇も同様であり、要するに自衛隊は今、いつでも紛争を戦える準備を着々と進めているということだ。

今回の海将人事は既定路線と言えば既定路線ではあるが、その上でさらに、いつでも戦えるという国家としての意思表示でもある。

ぜひ、読者の皆さんには改めて、今回の人事からそのようなメッセージを感じ取ってもらいたいと考えている。

そして海将に昇ったこの福田という男の活躍に、より一層注目して貰えればと願っている。

 

なお例によって、アイキャッチ画像の美しい女性は人事異動とは何の関係もない。

3月8日の「国際女性デー(International Women’s Day)」に合わせ海上自衛隊が広報した、活躍する女性隊員の元気な様子を撮影した一コマだ。

バックに写っているのはもちろん南極観測船しらせであり、手前で元気に跳ぶ女性隊員たちの画像は、「合成ではありません」とのことである。

優秀な女性の活躍の場は、ついに南極にまで拡がってしまった・・・。

余り家から出ずに仕事をしているオヂサンにとっては、余りにも眩しくてパワフルで、とても頼もしいのである。

(●´ω`●)

世の中の若い男性諸君!

自衛隊はもはや男性であるというだけでは、何一つ有利な要素がない組織になってしまったが、だからこそ素敵で強い女性がたくさん勤務しているぞ!

さあ、彼女たちに負けること無く、今すぐ最寄りの地本に願書を取りに行き、南極を目指すんだ!

(`・ω・´)

 

その他、詳細な人事異動の内容は以下の通り。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:海上自衛隊公式ツイッター

海将に昇任させる
(海上幕僚監部指揮通信情報部長)
海将補 俵千城

(掃海隊群司令)
海将補 福田達也

 

海上幕僚副長を命ずる
(護衛艦隊司令官)
海将 齋藤聡

 

護衛艦隊司令官を命ずる
(掃海隊群司令)
海将 福田達也

 

潜水艦隊司令官を命ずる
(海上幕僚監部指揮通信情報部長)
海将 俵千城

 

佐世保地方総監を命ずる
(海上幕僚副長)
海将 西成人

 

海上自衛隊補給本部長を命ずる
(潜水艦隊司令官)
海将 小座間善隆

 

退職を承認する
(佐世保地方総監)
海将 出口佳努

(海上自衛隊補給本部長)
海将 中畑康樹

令和3年12月22日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2021/1222a.pdf

 

 

海将補 に昇任させる
(海上幕僚監部総務部総務課長)
1等海佐 松浦正裕

(海上幕僚監部防衛部運用支援課長)
1等海佐 櫻井真啓

(統合幕僚監部防衛計画部防衛課長)
1等海佐 西山高広

 

統合幕僚監部総務部長を命ずる
(幹部学校副校長)
海将補 伍賀祥裕

 

海上幕僚監部総務部長を命ずる
(第4術科学校長)
海将補 稲田丈司

 

海上幕僚監部指揮通信情報部長を命ずる
(舞鶴地方総監部幕僚長)
海将補 吉岡猛

 

自衛艦隊司令部幕僚長を命ずる
(幹部候補生学校長)
海将補 八木浩二

 

第1護衛隊群司令を命ずる
(統合幕僚監部防衛計画部防衛課長)
海将補 西山高広

 

掃海隊群司令を命ずる
(統合幕僚監部首席後方補給官)
海将補 金刺基幸

 

佐世保地方総監部幕僚長を命ずる
(自衛艦隊司令部幕僚長)
海将補 市田章

 

舞鶴地方総監部幕僚長を命ずる
(海上幕僚監部防衛部運用支援課長)
海将補 櫻井真啓

 

練習艦隊司令官を命ずる
(第1護衛隊群司令)
海将補 小牟田秀覚

 

幹部学校副校長を命ずる
(第2術科学校長)
海将補 関口雄輝

 

幹部候補生学校長を命ずる
(海上幕僚監部総務部長)
海将補 梶元大介

 

第1術科学校長を命ずる
(佐世保地方総監部幕僚長)
海将補 白根勉

 

第2術科学校長を命ずる
(練習艦隊司令官)
海将補 石巻義康

 

第4術科学校長を命ずる
(防衛装備庁調達事業部総括装備調達官)
海将補 近藤奈津枝

 

防衛装備庁調達事業部総括装備調達官を命ずる
(海上幕僚監部総務部総務課長)
海将補 松浦正裕

 

退職を承認する
(第1術科学校長)
海将補 岩﨑英俊

令和3年12月22日付
https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2021/1222b.pdf

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