俵千城(たわら・たてき)|第33期・海上自衛隊

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俵千城(俵干城)は昭和42年2月生まれ、島根県出身の海上自衛官。

防衛大学校第33期の卒業で幹候40期、潜水艦搭乗員の出身だ。

 

平成30年3月(2018年3月) 第2代海洋業務・対潜支援群司令・海将補

前職は防衛大学校訓練部長であった。

 

2018年3月現在、海洋業務・対潜支援群司令を務める俵だ。

なお、海洋業務・対潜支援群は2015年12月、海洋業務群を拡充する形で新編になった部隊であり、海洋業務群時代から数えると、第24代の司令ということになる。

 

なお俵の名前だが、「たてき」であれば本来、漢字表記は「干城」のはずだ。

「千城」は、少なくとも「たてき」ではgoole辞書ツールやIME辞書ツールでは変換されない。

明治陸軍創成期に活躍し、後に政治家に転身して第1次伊藤内閣の初代農商務大臣を務めたことで知られる名将・谷干城を思い出させる名前だが、防衛省の人事異動発令や防衛年間では「俵千城」となっている。

一方で、同様に防衛省の別の公式Webページや防衛白書では「俵干城」と記している頁もあるので、一体どちらが本当の名前なのか、謎である・・・。

 

さて、その俵が務める海洋業務・対潜支援群だが、この組織は「海中の気象予報士」と例えられるだろうか。

対潜水艦戦闘に必要な海中の地形や水温、海流と言ったデータを絶えず取得・予報し、僚機や護衛艦に情報提供を行う。

そして、ただ気象状況を把握するだけでなく、音響測定艦「ひびき」「はりま」などを運用し、特定環境下における音響の状況なども調査することで敵性潜水艦の補足に力を発揮し、また僚艦の秘匿化技術にも貢献する。

 

いわば、我が国潜水艦隊の能力だけでなく、対潜水艦戦闘に於いても世界最強と言われるその強さを、縁の下で支えるスーパー職人集団といったところだ。

潜水艦を知り尽くす男だからこそできる、俵にとって最適任のポストと言えるだろう。

 

 

なお俵の前職は、防衛大学校訓練部長。

上記集合写真の左端に写るのが、訓練部長時代の俵だ。

その前職は統合幕僚監部運用部副部長で、同配置に就くタイミングで海将補に昇っているので、3配置目にして、将官に昇ってからは初の司令ポストということになる。

 

次に、第33期組である俵と、同期の人事の動きについて見てみたい。

俵が海上自衛隊に入隊したのは平成元年。

1等海佐に昇ったのが平成20年1月なので、33期組1選抜のスピード出世だ。

海将補に昇ったのは27年3月なので、こちらは同期1選抜から半年余りの遅れとなったが、そもそも将官に昇る幹部の数が少ない海上自衛隊では、1選抜から1年以内の昇任は十分なスピード出世だ。

33期組の海将候補であり、近い将来に海上幕僚長候補になる可能性もある幹部であると言って良いだろう。

 

そして2018年4月現在、海将補にある幹部は以下の者たちだ。

33期組は2020年に最初の海将が選抜される年次にあたるので、出世頭のスーパーエリートと言って良いだろう。

 

関口雄輝(第33期)・統合幕僚監部指揮通信システム部長(2014年6月?)

齋藤聡(第33期)・海上自衛隊幹部候補生学校長(2014年8月)

真殿知彦(第33期)・統合幕僚監部防衛計画部副部長(2014年8月)

俵干城(第33期)・海洋業務・対潜支援群司令(2015年3月)

市田章(第33期)・第5航空群司令(2015年8月)

小峯雅登(第33期相当)・呉地方総監部幕僚長(2016年3月)

近藤奈津枝(第33期相当)・統合幕僚監部首席後方補給官(2016年12月)

今吉真一(第33期)・防衛装備庁長官官房艦船設計官(2017年3月)

※肩書は全て2018年4月現在。( )は海将補昇任時期。

※2018年3月の昇任海将補については、期別の確認ができていないために追記する可能性あり。

※関口については、2014年6月から米国防衛駐在官に着任しており、この際に海将補に昇任していると思われるものの、防衛省定員外であるため防衛省の人事記録で確認ができない。

 

以上のような状況になっており、まずは関口から市田までの5名が、海将補昇任後の期間を考えても、33期1選抜での海将に昇る候補者ということになるだろう。

俵については、我が国の安全保障の根幹とも言える潜水艦部隊のエキスパートとしてさらに活躍の場を広げ、要職を歴任していくことになるはずだ。

 

その動向には要注目であり、今後とも応援していきたい。

 

◆俵千城(海上自衛隊) 主要経歴

平成
元年3月 海上自衛隊入隊(第33期)
12年1月 3等海佐
16年1月 2等海佐
16年8月 わかしお副長兼航海長
17年8月 潜水艦隊司令部
18年3月 たかしお艦長
19年3月 統合幕僚監部計画課
20年1月 1等海佐
21年 月 インド国防大学留学
21年12月 海上幕僚監部指揮通信課
22年4月 海上幕僚監部指揮通信課指揮通信班長
23年8月 第3潜水隊司令
24年8月 海上幕僚監部防衛課防衛調整官
24年12月 海上幕僚監部運用支援課長
27年3月 統合幕僚監部運用部副部長 海将補
28年3月 防衛大学校訓練部長
30年3月 海洋業務・対潜支援群司令

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省 防衛白書2009公式Webサイト(留学中写真)

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2009/2009/html/lc336000.html

防衛省 防衛大学校公式Webサイト(イベント集合写真)

http://www.mod.go.jp/nda/times/no195.html

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