大島孝二(おおしま・こうじ)|第29期・海上自衛隊

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大島孝二は昭和37年8月生まれ、福島県会津市出身(※1)の海上自衛官。

防衛大学校第29期の卒業(応用物理:工学博士)で36幹候だ。

 

平成28年3月(2016年3月) 第3術科学校長・海将補

前職は補給本部副本部長であった。

なお、第3術科学校長としての指導方針は以下の通り。

 

【指導方針】

変化に対応した「教育の充実」「研究の推進」

 

第29期組で昭和60年3月に海上自衛隊に入隊した大島だが、その出世は非常に早く1等海佐に昇ったのが平成16年1月。

29期組の一番乗りであり、文句なしの1選抜での出世だ。

1等海佐では海上幕僚監部技術2課や技術課技術班長、技術課長などの要職を歴任し、海将補に昇ったのが平成26年3月。

1等海佐を10年掛けての将補なので、同期の1番出世からはやや置いて行かれた形だが、その分技術の現場で非常に厚みのあるポストを経験しており、上滑りしない確かな知見を得ての将補昇進になったといえるだろう。

 

なお大島には、2等海佐の時代に

「海洋における音波伝搬 (4) ハイブリッド音線‐ノーマルモードによる音波伝搬の近似解析」

というタイトルで、防衛大学校の出版物に寄稿している研究成果があるので、あるいは通信や探知、或いは逆に遮蔽といった技術分野がその専門領域であるのかも知れない。

 

護衛艦の艦長を務めるわけでもなく、哨戒機や哨戒ヘリの運用を行うわけでもない部署なので、その存在は極めて地味だ。

一般国民との接点もほとんど無く、おそらく大島は、そのキャリアの中では海上自衛隊の基地祭などのようなイベントにも、ほとんど関わっていないのではないだろうか。

 

それほどまでに、一般国民には認知されづらい仕事をしていると言えるかもしれないが、海上自衛隊のようなビークルコンバットの世界は、技術力に寄るところが極めて大きい。

新しい技術の開発だけでなく、既知の技術を安定的に運用し、また高い信頼性で現場の要望に応え続けるクオリティも必要になり、技術力の維持向上は防衛力そのものであると言ってもいいだろう。

特に我が国の場合、防衛予算は非常に限られ、自衛隊員の定数も十分とはいえず、そのような環境の中で中国人民解放軍に対し優位を維持する必要に迫られている。

 

必然的に、技術力にその活路を見出さざるを得ず、なおかつこの分野でアドバンテージを維持できていることが、我が国の平和と安全を担保できる唯一の拠り所と言っても良い。

大島を始めとした技術畑で指揮を執る高級幹部に対する期待は、国防に対する期待そのものでもある。

 

 

さてそんな大島が2017年10月現在で指揮を執るのは第3術科学校で、その校長職だ。

海上自衛隊が運用するP-1哨戒機やP-3C哨戒機、SH-60J、SH-60Kなどの主力機はもちろん、C-130R輸送機、救難隊が運用するUS-2など、ありとあらゆる航空機の整備と補修を行う技術者を養成する学校で、我が国の海上兵力らしさを維持し、精強たらしめる精鋭を育成する機関でもある。

 

我が国の整備兵の能力の高さと創意工夫、なんとしても任務をやり遂げる意志の強さには世界的な定評がある。

就役からすでに長い期間が経過した艦体や機体も、まるで昨年就役したばかりであるかのような状態に維持してしまう仕事ぶりは呆れ返るほどであるが、その源は皆、この第3術科学校から始まっていると言っても過言ではないだろう。

限られた予算にも関わらず、我が国が精強さを維持し技術力のアドバンテージを維持することができる要因の一つであり、大島に課せられた責任と期待は極めて大きい。

 

ぜひ、この海上自衛隊に伝わる良き伝統を継承し、さらに維持発展させて、日本の平和と安全を支えるいぶし銀の活躍を続けられることを、今後も期待したい。

 

※1

出身地については、防衛年鑑2017年版と自衛隊年鑑2016~7年版には神奈川県と記載されている。

一方で、第3術科学校の公式Webサイトには福島と記載があるので、公式サイト情報を優先した。

自衛隊年鑑でも防衛年鑑でも、出身地については食い違いが目立つが、あるいは現住所を回答する幹部が多いのであろうか。

原因は不明だが、高級幹部たちは余りにも引っ越しを重ねすぎて、一番気に入った街を回答しているのかも知れない・・・。

ちなみに自衛隊年鑑に収録されている大島の顔写真は相当なイケメンである。

プロが撮った上記の写真よりもよほど男前に写っていて、ぜひご紹介したいくらいだが、著作権は無視できないのでとても残念だ。

 

◆大島孝二(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
60年3月 海上自衛隊入隊

平成
8年1月 3等海佐
11年7月 2等海佐
16年1月 1等海佐
17年7月 海上幕僚監部技術2課技術2班長
18年3月 海上幕僚監部技術課技術班長
18年12月 海上幕僚監部装備体系課装備体系班長
19年12月 防衛研究所主任教官
21年8月 第2整備補給隊司令
23年4月 海上幕僚監部技術課長
26年3月 補給本部副本部長 海将補
28年3月 第3術科学校長

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊 第3術科学校公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/3mss/greet.html

防衛省海上自衛隊 自衛隊ニュース公式Webサイト(P-3C写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/formal/jmsdf_news/201507.html

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