荒木文博は昭和36年10月生まれ、長崎県出身の航空自衛官。
防衛大学校は第28期、幹候は第74期の卒業だ。
平成29年12月(2017年12月) 航空幕僚副長・空将
前職は航空開発実験集団司令官であった。
2018年5月現在、航空幕僚副長を務める荒木だ。
幕僚副長は航空自衛隊の場合、陸自と違い後職で航空幕僚長に直接ジャンプアップすることもあり得る、頂点の一つ手前のポストという位置づけになる。
実際に、第35代にして現航空幕僚長の丸茂吉成(第27期)も、2017年12月に航空幕僚副長から航空幕僚長に昇っており、そしてその後任に荒木が就いた形だ。
その荒木だが、前職は航空開発実験集団司令官。
我が国の航空戦力を維持・発展させるため、装備面や医学面から様々な実験開発を行う極めて重要な組織を指揮した。
「空の勝利は技術に在り」の合言葉通り、新技術の実験や導入を担い、また既存の航空機に対する新たな兵装の装備実験や運用試験も行う。
防衛大臣の直轄組織となっており、その仕事ぶりや成果は我が国の防衛政策そのものをも左右する事になる。
荒木はその19代目の司令官であった。
また荒木は、1等空佐時代に防衛駐在官のポストも経験しているが、その赴任先は韓国。
2018年4月になり、にわかに緊張緩和が演出されるようになった朝鮮半島情勢だが、2017年にはいつ戦争が始まってもおかしくないほどに緊張が高まった時期が続いた。
そういった意味では、防衛駐在官時代の経験と人脈もまた、荒木には大きな資産にあり、国防に大きく貢献できる材料になったかも知れない。
さて次に、荒木と、荒木を含む28期組の動向について見ていきたい。
なお上記写真は、荒木が幕僚副長に着任後の2018年2月、アメリカのペンス副大統領が来日した際、習志野分屯基地を訪問した際のものだ。
ペンス氏の左には小野寺防衛大臣、右側に荒木が見える。
いろいろと説明をしている三ツ星は、金古真一(第30期)・中部航空方面隊司令官である。
荒木が航空自衛隊に入隊したのは昭和59年3月。
1等空佐に昇ったのが平成15年1月なので、28期組1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。
そして空将補に昇ったのが22年3月、空将に昇ったのが27年8月であり、ついに頂点の一つ手前、航空幕僚副長まで昇り詰めた。
なお、その28期組で空将にあるものは2018年5月現在で以下の通りとなっている。
武藤茂樹(第28期)・航空総隊副司令官(2015年3月)
荒木文博(第28期)・航空幕僚副長(2015年8月)
山田真史(第28期)・航空支援集団司令官(2015年12月)
※肩書はいずれも2018年5月現在。( )は空将昇任時期。
上記のような状況になっており、キャリアやこれまでの活躍を考えると、上記3人はいずれも航空幕僚長候補と言っても差し支えないほどの活躍をしてきた逸材ばかりだ。
一方で、第35代にあたる現航空幕僚長は丸茂吉成(第27期)。
現在のところ、もっとも若返りと世代交代が進んでいるのは陸上自衛隊なので、陸上自衛隊では第36代にあたる現陸幕長・山崎幸二(第27期)の後任は28期組から選抜され着任する可能性が高いが、空自では連続期は難しいかも知れない。
もし、いろいろな慣例が破られ、現統合幕僚長である河野克俊(第21期)の後任に空幕長の丸茂が選ばれた際にはあるいはその可能性も考えられるが、おそらくその可能性は低いだろう。
つまり、空幕副長という頂点一歩手前のポストに就いたものの宿命として、荒木は後職では、頂点を極めるか退役のどちらかである。
そしておそらく、退役となる可能性が高いのではないだろうか。
いずれにせよ、まだまだ予断を許さない東アジア情勢の中で、その安全保障に大きな役割を担う荒木である。
その活躍には最後まで注目し、そして応援して行きたい。
※
本記事は当初2017年9月18日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年5月2日に整理し、改めて公開した。
◆荒木文博(航空自衛隊) 主要経歴
昭和
59年3月 航空自衛隊入隊
平成
7年1月 3等空佐
10年7月 2等空佐
11年2月 航空幕僚監部防衛課
13年4月 航空中央業務隊付
15年1月 1等空佐
15年6月 防衛駐在官(韓国)
18年7月 航空幕僚監部情報課
18年8月 航空幕僚監部情報運用室長
19年7月 航空幕僚監部庶務室長
21年4月 航空幕僚監部教育課長
22年3月 航空自衛隊第4術科学校長 空将補
23年8月 第5航空団司令
24年12月 航空幕僚監部総務部長
27年8月 航空開発実験集団司令官 空将
29年12月 航空幕僚副長
【注記】
このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。
自衛官各位の敬称略。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。
【引用元】
防衛省航空自衛隊 航空開発実験集団公式Webサイト(顔写真)
http://www.mod.go.jp/asdf/adtc/3-sireikannentounoji.html
防衛省航空自衛隊 習志野分屯基地公式Webサイト(ペンス米副大統領随行写真)
http://www.mod.go.jp/asdf/narashino/katsudoujyoukyou29/index.html
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