森脇良尚(東部方面総監部幕僚副長・陸将補)|第31期・陸上自衛隊

森脇良尚(もりわき・よしなお)は昭和40年1月生まれ、兵庫県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第31期の卒業で幹候68期、出身職種は普通科だ。

平成30年8月(2018年8月) 東部方面総監部幕僚副長・陸将補

前職は第2師団副師団長兼ねて旭川駐屯地司令であった。

(画像提供:陸上自衛隊福島駐屯地公式Webサイト

2019年3月現在、我が国の政治経済の中枢の防衛を担う東部方面隊で、幕僚副長を務める森脇だ。

東部方面隊は東京都の練馬駐屯地にその司令部を置き、首都圏の防衛のみならず、来賓や国賓の接遇など、国家的行事も支援する非常に重要な役割を担う。

特に2018年-2019年にかけては、観閲式に即位の礼と、まさに失敗の許されない国家的重要行事が続く年なので、実務を担う幕僚副長たる森脇にかかる陸自内外の期待は非常に大きい。

これだけの要職を任される森脇のことだ。

そのキャリアはいずれも印象深いものばかりだが、敢えて一つ上げるとすれば、それは連隊長ポストを福島県に所在する第44普通科連隊で務めたことであろうか。

44普連は、44という数字の響きから44獅子(しし)連隊と呼ばれる、精強で知られる東北の曹士の中でも、特にその士気と練度の高さで知られる部隊だ。

そして森脇は、ここ福島駐屯地で、生涯忘れ得ぬ大きな任務にあたることになる。

森脇が44普連長に着任したのは、平成22年3月であった。

そして着任から初めてとなる正月を迎えた平成23年1月11日、正月恒例となる44普連伝統の騎馬戦が行われ、森脇は

「平成23年は挑戦の年と位置づけ、隊員諸君にはより一層の精励精進を期待する」

と激を飛ばす。

あの未曾有の惨劇は、そのちょうど2ヶ月後だった。

2011年3月11日、東日本大震災だ。

森脇が指揮する第44普通科連隊が所在する福島駐屯地は、まさにこの激甚災害を受けたど真ん中に位置する部隊となった。

震災当日、その混乱は行政にも広がり、福島県や福島市も為すべきことを見失う。

そして自衛隊員やその家族にも被害が及ぶ中、森脇はいち早く災派(災害派遣)への出動準備を下令し、被災者たちの救出活動に着手を始めた。

そしてその際、出動した地域の一つが、すでに爆発を起こし極めて危険な状態に陥っていた福島第1原発付近である。

当然その中には、放射線による汚染が深刻であることが予想される、双葉町や浪江町も含まれていた。

しかし周辺一帯は、すでに津波が破壊し尽くして一面瓦礫の荒野。

全てが破壊され失われてしまった光景に森脇は言葉に尽くせない胸の痛みを感じたことを後日述懐しているが、考えている暇はない。

要救助者は森脇以下、助けに来てくれるであろう44普連の精鋭だけが最後の拠り所であると、その到着を待ちわびている。

そのことをよくわかっていた森脇は、隊員たちとともに危険を顧みず、瓦礫を取り除き生存者を探して回った。

さらに初動の救助活動が終わると、次に森脇以下に与えられた任務は、原発30km圏内に居住する住民への個別訪問とその保護だ。

そして周辺一帯の除染活動を行い、避難者が帰還できるための復興作業も長期に渡ったが、放射線測定装置は警報を鳴らしっぱなしという過酷な環境。

それでも森脇は、

「郷土に根付いた部隊として誇りを持って取り組んでいる」

と獅子部隊の精鋭たちを鼓舞し、自らも現場で先頭に立ち続けた。

その危険な活動は1年近くにも及んだが、森脇以下44普連隊員たちの奮闘ぶりは国民の誰もが知るところになっていた。

そして隊員たちが車列をなし任務に向かう時、あるいは帰還する時には、住民の多くが手を振り、プラカードをもって

「ありがとう」「おかえりなさい」

と声をかける。

駐屯地からほど近い国道114号線沿いでは、毎日必ず自衛隊を迎えるために立ち続けた小学生の姉弟が、マスコミの話題になった。

その手には、「おかえりなさい」「おつかれさまです」と書かれた、小さな体に似つかわしくない大きなプラカード。

小さな体の子供たちが一生懸命隊員たちに手を振り、応援する様子を見て、どれだけ多くの自衛隊員たちが勇気づけられただろう。

被災し傷ついた小さな子供たちもまた、自衛隊に声援を送り一緒に戦っていた姿が、そこにはあった。

この小さな声援に心打たれた森脇以下、44連隊幹部曹士の活躍ぶりは、もはや多くの言葉は要らないはずだ。

神々しささえ感じる国民への献身的な活躍は、私たち国民の自衛隊に対する敬意と深い愛情を確認するには、十分すぎるものであった。

では、そんな極限状態で有事の最前線に立ち続けた森脇とは、これまでどのようなキャリアを歩んできた幹部なのだろうか。

少し詳細に、その経歴を見ていきたい。

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コメント

  1. 退役自衛官 より:

    東日本橋大震災時の森脇連隊長と44連隊の活躍については是非「大鷲の憂愁獅子の涙」を検索して閲覧して下さい。

    • ytamon より:

      退役自衛官様コメントありがとうございました。
      また、お仕事大変お疲れ様でした。

      検索しましたが、このような記事があったのですね!
      数が多いようですので、ゆっくり拝読させて頂きます。
      貴重な情報提供、ありがとうございました。